今日は「THE DIVINE COMEDY」本編最後の曲であるDAUGHTERのMedicineを解説致します。
この曲は、今回カバーした作品の中で一番最近リリースされたものです。
2015年。
私達は前年にリリースした「Romanesque」を引っさげ、日本全国、そしてアメリカNYと様々な場所でLIVEツアーをしておりました。
3作目となるアルバムを発表し、それまで自分達の中にあった音楽への衝動や原体験を全て余す事なく出し切った、そして出し尽くした気にさえなっていたかもしれません。
もちろん「Romanesque」リリース以降も曲は作り続けていましたし、アイデアが枯渇する事はありませんでした。
世の中は音楽で溢れていて、毎日新しい刺激がもたらされますからね。
しかしそれは、以前の「自身のルーツを掘り下げる作業」というより、新しく出会った未知のワクワクを曲に投影するというチャレンジに近い感覚でした。
実際色んな音楽的要素をさらに広く取り入れて、新たなスタイルをどんどん消化吸収していた時期でもあります。
そんな中で出逢ったのがDaughterの「Medicine」でした。
これは本気でヤバイと思いました。
使用されている声色や音色やノイズのセンスはもちろんなんですが、とにかく鳴っている全ての音の配置バランスが神がかっていました。
全体を支配するウィンドノイズ、「It’s just medicine」と脳に直接語りかけてくる声、徐々に高まる心音。
外からの音を聞いているのではなく、自分の内側から発せられた音かの様に錯覚してしまうのです。
そしてその音達は血管を伝ってジワ〜と全身を巡り、何とも言えない安心感と温かさに包み込まれます。
この曲を聴くと、軽い頭痛や腹痛、車酔いくらいなら治るんですよ!ホントに!!
ガチでMedicine!!!
それと同時に、脳みそを直に掴んで共鳴させる様なエグさに、私はもはや恐怖心すら覚えゾクゾクしました。
これこそまさに「リスナーに一番近い」状態なんですから。
一聴すると「静かな良い曲」なのかもしれません。でもそれだけじゃないんです。
恍惚感に耽った後、はたと思い知らされるのは「人間はひとりである」という事実。
寂しいとか孤独とかそういう感傷的なものではなく、事実として「ひとり」だという事。
曲とリスナーの関係が、極限の「1 対 1」を表している様に思える作品でもあるのです。
色んな意味で内側を抉られました。
そうか、こんな手法がまだあったのか!
出し尽くしたと思われた「己の深淵」を、こんな風に音に変換する手法がまだあったのかと、もの凄い衝撃を受け、この出逢いは本当に目から鱗でした。
新しい出逢いというものは、自分が持ってなかった感性を得るだけではなく、自分の奥底に元より存在した「根本」をより的確に明示する為の道しるべになる。
そんな事をふと思い、新たなチャレンジを表面的な部分だけで終わらせない様にしようと固く心に誓いました。
と、ここまでが「Medicine」との馴れ初めでごさいます。
SOUNDWITCHのMedicineは如何でしたか?
イントロでチープな音質のガットギターがまるで回想の様に流れ、徐々にノイズで全て耳が支配されたところで、心拍に似たビートが打って替わる。
外からの音より内なる音が大きくなり、時折無秩序な心音が入り混じりながらも、その頃にはコーラスワークが全身を巡って痛みや苦しみから解放されているはず。
原曲に受けた衝撃を、とてもSOUNDWITCHらしい形で表現できたと思います。
でも実はこのアレンジに至るまでかなりの紆余曲折がございました。
お気づきかと思いますが、イントロのガットギターパートを除けば、ギターもベースもドラムも入ってないんです。
これは元々入れてなかったのではなく、最終的に全て削ぎ落とした結果なのです。
手始めの完全コピー作業を終え、まずMaidenが素晴らしいシンセトラックを作り上げました。
テンポ感もリズム感も絶妙で、この感触が曲全体を支配するベースになるなと。
それと並行して他の楽器陣も各々のアレンジを何パターンも作り、Dragonはガットギターまで用いるに至りました。
たぶんアレンジパターン数が最多の曲じゃないかしら。
歌をレコーディングする際もまだ「これだ!」というアレンジは決まっておらず、私は全編にガットギターが入った状態のガイドバッキングで歌ったのです。
逆に歌に関してはあまり悩まなかったですね。主メロディは息をする様に自然に歌い、「一発録り」で録り直しも重ね録りもしていません。
前述した「内なる声」を再現するには、そうする事がこの曲に於いての正解だと確信しておりましたので。
ただコーラスワークは別でめちゃくちゃ拘りました。頭の先から爪の先まで全身に巡る様、鼻濁音やファルセットや地声を幾重にも重ねて丁寧に仕上げました。
そんなこんなで歌が入ったら何となく、在るべき音、在るべき場所が明確になってきました。
整理していく内に、ギターもベースもドラムも入れず、最初にMaidenが作ったシンセトラックだけで構成しようという結果に至ったのです。
ただこの紆余曲折も曲に反映させたかったので、Dragonの弾くガットギターをイントロにもってきたら何とまぁドラマチックな事か!
壊れかけのradioから流れる回想みたい!
かくしてそんな工程を経て、このアレンジが完成しました。
天国編、そして「THE DIVINE COMEDY」最後を飾るに相応しい曲に仕上がったと思います。
てはまた次回、いよいよラスト!
BAUHAUSの「Dark Entries」をお楽しみに。
SOUNDWITCH - THE DIVINE COMEDY CROSSFADE SAMPLE
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Miss Murder (AFI)編
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Going Under (EVANESCENCE)編
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一輪の花 (HIGH and MIGHTY COLOR)編
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Trouble (SAMPOO)編
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Synchronicity (THE POLICE)編
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Love Your Money (DAISY CHAINSAW)編
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White Shaman (SOFT BALLET)編
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『THE DIVINE COMEDY』
PHYSICAL ONLY OUT NOW
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