キャバリアのキアリ様奇形 | 草村動物病院 「動物の診察室から」

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新潟市の草村動物病院のブログです。
高度獣医療のこと、日々の診療で思うこと、動物たちのことなど書いていきます。

 狂犬病とフィラリア予防がひと段落したのですが、重症の動物たちがたくさん入院しています。

 キャバリア犬の「アロマちゃん」は、6歳になる女の子です。

 最近、右の前後肢が震えて、急な呼吸不全を起こすことで今週の月曜日に診察に来られました。

 症状から考えられるのは、頸部神経の疾患。

 一番疑わしいのは「キアリ様奇形」です。

 この病気は、キャバリア犬の多くが抱えている疾患ですが、症状がでる子が少ないためあまり知られてはいません。

 小型犬でよくある、「後頭骨形成不全、COMS」と同じで、後頭骨が小脳を圧迫するため神経症状が出て、脊髄空洞症も併発していることが多い病気です。

 耳がかゆいわけではないのですが、急に後ろ足でカリカリカリと脇腹をかきむしり症状、猫の様に前足を伸ばして頭を低くする「おがみのポーズ」をとったりします。

 アロマちゃんは、症状が進行してきているため、火曜日にMRI検査を行いました。

 結果はやはり、「キアリ様奇形」でした。

 内服薬の治療を始めたのですが、その日の夜中にも突っ張る様な痙攣を起こし入院しました。

 手術は、後頭骨を削ってしまう、「大孔拡大術」です。

 COMSの時に行う手術で、一般的には行う病院は限られている手術です。

 時間もかかり難易度も高い手術なので、今週は予定を入れることができませんでしたので、19日に手術予定です。

 私は今日と明日、奈良で「獣医神経病学会」に参加です。

 この学会は、日本の脳神経の獣医師が集まる学会で、ちょうどアロマちゃんの手術に関しても、他の先生方と情報交換をしてこようと思います。

 月曜日は、セントバーナードの「イブちゃん」の前十字靭帯の手術「TPLO」を大学の先生が来て行う予定です。

 なかなかブログを書く時間がないのですが、時間を見て更新したいと思います。

 学会は、奈良公園内の施設で、どうゆうわけかお昼休みに東大寺見学も入っています。

 それでは、奈良にいってきまァ〜す。







アロマちゃんです。可愛い子です!