肉芽腫性髄膜脳炎(GME) | 草村動物病院 「動物の診察室から」

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新潟市の草村動物病院のブログです。
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 昨日佐渡市よりヨークシャーテリアを連れておいでになった患者様がいました。

 その子の名前は「のぶなが君」まだ5歳半の男の子です。半年前から片方に傾き、食欲はあるのですが、すでにうまく起立することができません。

 つねに小刻みに震える小発作が起こっており、脳の疾患が強く疑われました。

 遠方からということもあり、昨日MRI検査を行いました。

 画像及び臨床経過より、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)の可能性か高かったのです。

 脳腫瘍、壊死性髄膜脳炎(NME)、水頭症、は否定されました。

 脳炎なのですが、ジステンパー脳炎の臨床経過とも当てはまりません。リンパ腫で症状が出てから半年というのも一致しません。

 残るのはGMEです。

 GMEはステロイドによく反応するとの意見も多くありますが、私が実際に治療して思うのは、ステロイドに反応しているのはGME以外の「ステロイド反応性脳炎」も含まれているように思います。

 実際GMEの治療でステロイドだけでよくなった例はあまりありません。

 GMEが強く疑われる場合には、私は抗ガン剤の「ロムスチン」を使います。

 ロムスリンは日本にはありませんが輸入することができます。脳腫瘍の場合にも使います。脳には有害なものが入っていかないように血液脳関門があり。多くの抗ガン剤は脳組織に到着しないのです。

 のぶなが君は昨日そのまま入院して、今日1回目のロムスチンの投与が行われました。

 4週間後もう一度ロムスチンを内服し、その後2週間後に再度MRI検査で病変が小さくなって症状の改善があればその後2回のロムスチンを投与して終わりです。

 しかし、症状が発症してからすでに6ヶ月です。

 佐渡から大変でしょうが、がんばりましょうね!



 

今日、抗ガン剤の「のぶなが君」です。