〇ブライアン・ジャクソン初来日ライヴ~社会派ギル・スコットの音楽的パートナー | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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〇ブライアン・ジャクソン初来日ライヴ~社会派ギル・スコットの音楽的パートナー

 

【Brian Jackson Live: First Ever Concert In Japan】

 

(ネタばれが含まれます。これからご覧になる方で事前に情報を入れたくない方はご注意ください。すでにご覧になったかた、ご覧になる予定のない方はどうぞ)

 

初。

 

1960年代後期から70年代初期にかけて多くの作品を作りあげてきた(故)ギル・スコット・ヘロン&ブライアン・ジャクソンのうち、ブライアン・ジャクソンが新しいミュージシャンを率いて初来日した。

 

サイン会でのブライアン・ジャクソン

 

ギル・スコット・ヘロン訃報・評伝

ギル・スコット・ヘロン62歳で死去~黒人吟遊詩人

2011年05月29日(日)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10906038516.html

 

ギル・スコットが逝去して、はや8年。まさか、ブライアンが単独で来日するとは思ってもみなかった。

 

ギル&ブライアンのコンビは、ブルーズ、ソウル、ジャズ、R&Bなどにナレーティヴという詩の朗読のような語りを入れたもので、強烈な社会派メッセージを語り人気を博した。

 

二人は、音楽的には、少しわかりやすく言えば(あまりわかりやすくないかもw)、ギャンブル&ハフ、あるいは、ジャム&ルイス的なコンビだ。つまり、役割分担がしっかりされているという意味においてだ。ギルが詞の面で作品をリードし、ブライアンは音楽的に、曲を書いたり、その歌詞にあう音などを作る。(ちなみに、ギャンブルがビジネス面と歌詞、メッセージ、ハフはキーボード使いの音楽面を担当、また、ジャムがキーボードで音楽面、ルイスがビジネス面といった具合)

 

ギルは1993年一度来日していたが、このときはブライアンは帯同していなかったので、ブライアンは初来日。今回のライヴのために、このバンドを集めたという。音楽ディレクターのギターのベニー(愛称ビンク)・ブライスによると、「メンバーを集めたのはブライアン。ちなみに、僕はウィル・ダウニングで一度来日した。今回が2度目の来日。前回は1988年暮れから1989年1月にかけての天皇崩御のときだった。それでよく覚えてる。フランス人のベース奏者は、今はLAに住んでる。ほかにイギリス、ジャージー・シティー、LAなどいろいろだな。なかなかグルーヴィーなバンドだろう」という。

 

キーボード2(うち一台はブライアン)、ベース、ギター、ドラムス、パーカッションの6人バンド。

 

ブライアンは終始ローズのキーボードを扱い、歌う。渋いギルのヴォーカル同様のトーンで、さまざまな曲を披露する。スロー、ミディアム調とほぼ交互に演奏する感じだ。一曲ごとに簡単な解説をしながら歌うが、英語がわからないとちょっと厳しいかもしれない。僕も全部はわからない。ちょっと通訳が欲しいかな。

 

おもしろかったのが、7曲目の「ウィンター・イン・アメリカ」を始めるとき。

 

「この中で、最近の気候変動問題に興味ある人はいるかな?」と観客に尋ねるが、「シーン」として何も返事はなし。ここ数日、本ソウル・サーチン・ブログでも大きな話題になっていたトピックだったが、「まあ、ここはアメリカじゃないからね」と苦笑いしながら、「この曲は50年ほどまえに書いた曲で、今の時代にもあってるものだ」といった趣旨のことを説明して歌に入った。帰ってからちょっと調べたら、この作品は1973年9月から10月にかけて録音され、翌1974年5月にリリースされたアルバムの題名曲だ。ひとしきり解説が終わると、ブライアンはさっと立ち上がり、マイクの位置を少し上げ、フルートを噴き始めた。

 

Gil Scott Heron "Winter In America" (1974) HIGH QUALITY

https://www.youtube.com/watch?v=m2zKdIcOV5s

 

 

 

Winter in America

Gil Scott-Heron

Charly (UK) (2010-04-13)

https://amzn.to/2n5eSm4

 

またギルとのことについて「ギルとの間のケミストリーについては話しきれない。面白かったのはそのパーソナリティー、キャラクターが僕と彼とではまったく真逆だったということだ。ギルはエイリアス(牡羊座)で僕はリブラ(てんびん座)だった。ビリー・ホリデイは牡羊座で、ジョン・コルトレーンはてんびん座だった。それをテーマにしたのが、『レディー・デイとジョン・コルトレーン』」といった具合。

 

1曲(5曲目)「ピーセス・オブ・ア・マン」だけ、ブライアンがピアノに行き、彼の一人弾き語りでしっとりと歌った。

 

ジャズ、ファンク、ソウル、ブルーズ、そしてそこにナレーティヴ(詩の朗読のようなもの)をいれたメッセージ・ソングの数々。なかなか日本では理解されづらいので、爆発的人気をかくとくすることはないだろうが、こうして来日してくれたこと自体が嬉しい。

 

アンコールが一番有名な「ボトル」。

 

スロー曲もアップテンポの曲も、そのメッセージの強さも、いかにもニューヨークの主張強い派のもので、ニューヨークに行かずして、同地のWBLSあたりを聞いてるようなニューヨークの雰囲気をたっぷり味合わせてもらった。

 

ライヴ後はすぐにサイン会。この後、金曜(9月27日)に大阪ビルボードライブで。

 

■セットリスト

Setlist : Brian Jackson, September 26, 2019 @ Billboard Live Tokyo

 

Show started 21:32

01.   Offering

02.   Lady Day And John Coltrane

03.   Save The Children

04.   Home Is Where The Hatred Is

05.   Piece Of A Man (Brian on piano)

06.   Guerilla

07.   Winter In America

08.   It’s Your World

Enc. The Bottle

Show ended 23:04

 

Members

 

ブライアン・ジャクソン / Brian Jackson(Vocals,Keyboards)

レックス・キャメロン / Lex Cameron(Back Vocals,Keyboards)

クラーレンス・ブライス / Clarence “Bennie”  Brice(Guitar)(MD)

アントアーヌ・カッツ / Antoine Katz(Bass)

マーク・ホイットフィールド Jr. / Mark Whitfield Jr.(Drums)

アラコイ・"ミック ホールデン"・ピート / Allakoi "Mic Holden" Peete(Percussion)

 

(2019年9月26日、ブライアン・ジャクソン・ライヴ、ビルボードライブ東京)

 

ENT>MUSIC>LIVE>Jackson, Brian

 

 

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