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◎ 「ソウル・サーチン・ラウンジ36」(パート2)~『ドゥー・ワップ・ナゲッツ』発売記念、ドゥ・ワップ特集、鈴木啓志氏、宮治淳一氏語る

 

【Soul Searchin Lounge 36 Report (Part 2)】

 

(昨日の続き)

 

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起源。

 

どのあたりからドゥー・ワップという言葉が使われるようになったか、の話。

 

その昔は、こうしたものも含めて、ひっくるめてすべて「オールディーズ」と言っていた。「オールディーズ・バット・グッディーズ」、「ゴールデン・オールディーズ」などと言っていた。

 

現時点では「ドゥー・ワップ」というと、1950年代後期から60年代初期にかけて一世を風靡したヴォーカル・グループで、コーラスが「ドゥー・ドゥー」とか「ワッワッ」とつけるようなグループのことを示す、というのが定説となったが、では60年代初期に「ドゥー・ワップ」と言われていたがというとそうでもないらしい。

 

鈴木さんは、その昔、1965年か1966年あたりどこかでその存在を聴いた「渋谷の恋文横丁のレコードを売っているところ」に行って、当時レコードを買った、という。この「渋谷の恋文横丁」について、宮治さんは笑いながら「文字でしか知りません」。僕も、「話だけしか聴いたことがない」。

 

オサがその頃の写真をネットで見つけて、映してくれたが、米軍の闇卸品などが売られていた「市場」のような商店街だ。そこでおそらく米兵が売り払った中古レコードなどを、日本盤のレコードよりはるかに安く放出していて、それを買い求めた。そこで買った1枚が『ゴールデン・オールディーズ』というLPで、1966年に買った。このアルバムで、こういう音楽があることを知った。そこに入っていたのが、チャネルズの「ザ・クローサー・ユー・アー」。それを聞きましょう。

 

THE CHANNELS - "THE CLOSER YOU ARE" (1956)

https://www.youtube.com/watch?v=l0Qx44tDvkc&start_radio=1&list=RDl0Qx44tDvkc&t=5

 

 

 

これも、オリジナルらしい7インチ・シングル盤でかけた。1958年頃のヒットらしい。このあたりが、当時はドゥー・ワップという名前は知らなかったが、この種の音楽と初めて遭遇した時期、楽曲だった。

 

同じころ、ABCレコードから出たマーヴェロウズというグループのLPを手に入れた。これがちょっとドゥー・ワップっぽかった。ただ、これは、「I Do」というタイトル、歌詞で「ドゥー、ドゥー」というのはコーラスに入ってるが、「ワップ」はない。このグループは、同レーベルに在籍していたインプレッションズ(カーティス・メイフィールド)をプロデュースしていたジョニー・ペイとがプロデュースしていて、この時期にも、時代は「ドゥー・ワップ」の時代は終わっていたが、「そのタイプをやっていた。同じシカゴの5人組。これは、ヒットした。FENでよくかかってました。1965年。

 

THE MARVELOWS - "I DO" (1965)

https://www.youtube.com/watch?v=KY9FyR-vUFI

 

 

 

同じアルバムに入ってる「イン・ザ・モーニング」という曲を、ちょっと頭のあたりだけかけてみましょう。

 

The Mighty Marvelows - In The Morning.wmv

https://www.youtube.com/watch?v=VskB-GGoIt4

 

 

 

これなんか、完全に「ドゥー・ワップ」でしょうね。当時はわからなかったけど、後から、「ドゥー・ワップ」の香りだったのかなあ、と思ったわけです。

 

~~~

 

その後、「ドゥー・ワップ」のLPを1967年の暮れから1968年にかけてまとめて買ったんですよ。ちょうどその頃、大学生でアルバイトやって、その金で何かの帰りに高田馬場に行って、レコード屋で、名前は覚えてないけど、5-6枚買った。

 

それがオリジナル・サウンド・レーベルから出てる『オールディーズ・バット・グッディーズ』のコンピの金色とか銀色のジャケットのアルバムや、「イン・ザ・スティル・オブ・ザ・ナイト」などが入ってた『バンチ・オブ・グッディーズ』というコンピ・アルバムを買った。

 

アルバムはこれ

https://www.discogs.com/ja/Various-Bunch-Of-Goodies/release/5089798

 

チェスからのものを集めたもので、ムーングロウズが多いんですが、達郎さんは「モースと・オブ・オール」と「テン・コマンドメンツ・オブ・ラヴ」をやりましたが、今日は、「ホエン・アイム・ウィズ・ユー」を聴きましょう。これは私が特にしびれた一曲でした。

 

The Moonglows - When I'm With You

https://www.youtube.com/watch?v=Avx7bT1e4zs

 

 

 

リード・ヴォーカルは、ボビー・レスター。

 

当時日給が900円くらいで10日働いても9000円くらいにしかならない。それでLP4-5枚、それも中古盤しか買えなかったから、本当にレコードを大事によく聞いてました。今でも自分のベスト3に入る。

 

当時レコードは手に入れにくかったが、ラジオですね。達郎さんも今度のライナーで書いてたFENのオールディーズ番組『ジム・ピューター・ショー』がおそらく66年頃始まって、それをよく聴いてた。聴いても曲とかわからないので、そこでかかった曲をノートに書いてた。(それをみんなに見せる)

 

鉛筆で小さな字でぎっしり書かれている。これを見た宮治さん、「これは、すごい、正倉院にでも入る古文書だね」。

 

ジム・ピューター・ショー

https://www.youtube.com/watch?v=-__JQ_1N1ew

 

たぶん、達郎さんもこの特集を聴いてたと思う。で、このジム・ピューターが影響を受けていたのが、アラン・フリード。アラン・フリードは、ロックを紹介した名物DJ。そのアラン・フリードはペイオラ(贈賄)で業界から追放されてしまうが、当初は大変な影響力があって、自分のDJショーだけでなく、自分の名前を冠したライヴをやったり、コンピ・アルバムをだしたりしていた。その中の1枚から、ペンギンズの「アース・エンジェル」をかけましょう。

 

といってレコードをDJオサに渡すものの、ライヴ盤なので、曲間の溝がない。鈴木さん曰く「2曲目の次あたりだよ」。宮治さん「そりゃ、3曲目は、2曲目の次だけど、溝がないんじゃわからないよ」(笑)

 

ところが目分量で針を落としたところ、なんとどんぴしゃで「アース・エンジェル」がかかったのだ。

 

アルバムはこれ。

https://www.discogs.com/ja/Various-Dedication-Vol3/release/6305041

 

EARTH ANGEL ~ The Penguins 1956 (live version).wmv

https://www.youtube.com/watch?v=1FZOkvRDRv8

 

 

 

1959年11月23日フェアウェルで、アラン・フリードは、ぺイオラで捕まり、仕事ができなくなる。

 

1967年、68年ではドゥー・ワップは盛り上がってなかった。

 

このあと、当時のいわゆるファンジン(マニア向けの雑誌)の紹介に。鈴木さんが、「ビッグ・バン・ブー」「レコード・エクスチェンジャーズ」などの小冊子を披露。1970年代初期にサンプルで送ってもらった。「レコード・エクスチェンジャー」はレコードのオークションの雑誌で、1969年12月創刊。ここにシングル盤やアルバムのリストが小さな文字でかかれ、欲しい物をピックアップし、それに自分の買値を書いて郵送する。そして、落ちると連絡が来て、送金して郵送されてくるのを待つわけだ。

 

で、当時は雑誌やレコードはほとんど船便で取り寄せていたが、この雑誌だけはエアメール(航空便)で取り寄せていた。というのも、船便で取り寄せていると、オークションに間に合わないため。エアメールはとにかく高い。エアメールで取ってた雑誌はこれだけ。でも、ここにドゥー・ワップの記事がでてたりする。

 

ドゥー・ワップの読者が多いので、ドゥー・ワップのレコードは高いから落ちない。僕は、ここで安かったブルーズのレコードを買ってた。(笑) で、ブルーズのファン雑誌では、ヴォーカル・グループのものが安いので、ドゥー・ワップとかはブルーズの方で買ってた。(笑) いろんなチャンネルを持ってないと、高くて買えない。

 

ビン・バン・ブーという雑誌は1971年のもの。1971年、72年頃から盛り上がり始めたようだ。

 

「ドゥー・ワップ」という言葉を好んで使ったDJがいた。それがチャールズ・ガス・ゴサートという人。

 

『ドゥ・ワップ』というコンピレーションが出て、広まり始めた。ただ、1960年代から「ドゥー・ワップ」という言葉はあるには、あったが、ジャンルとしては確立していなかった。

 

雑誌の中に、「ブリング・バック・ゾーズ・ドゥー・ワップス」というコラムがあった。昔の古い音楽全般を指していた。定着したのが、1972年~73年くらいじゃないかな、という見立てが鈴木さんのもの。

 

宮治さんは、コーラスで「ドゥー・ワップ」「ドゥー」とか「ワー」とか入っていれば、広義の意味で「ドゥー・ワップ」と言えると思う、という。

 

「ビッグ・バン・ブー」という雑誌の名前はここから取ったと思われる、その曲を一部の最後にかけましょう。鈴木さん曰く、「まあ、とりわけいい曲というわけじゃないんだけど」(観客爆笑)

 

THE EL DORADOS - ''BIM BAM BOOM!'' (1956)

https://www.youtube.com/watch?v=h5aa8lCI2DQ

 

 

 

「ドゥー・ワップ」という名称については、さらに調査して、改めてまとめます。

 

(この項続く)

 

■セットリスト

 

SOUL SEARCHIN LOUNGE #036、With Mr. Hiroshi Suzuki & Junichi Miyaji Commemorate Release Of Doo Wop Nuggets CD

(MC: Masaharu Yoshioka, Support DJ: OSA)

 

PART 1

 

19:25前説

Show started 19:31

Theme song : What’s Going On – David T. Walker

 

①   「シャマラマ・ディンドン」の謎

 

01  Shama Lama Ding Dong ("Animal House”より)‐Otis Day And The Knights (Lloyd Williams)

02  Rama Rama Ding Dong – Edsels

 

03.  The Closer You Are – Channels

04.  I Do – The Marvelows

(Xx.In The Morning – The Marvelows)ちょっとだけ

05.  When I Am With You – The Moonglows

06.  Earth Angel – Flamingos

07.  Bim Bam Boo – El Dorads

Ended 20:45

 

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PART 2 (21:00-22:00)

 

TM       

第2部 21時~22時

 

Show started 21:07

01.   That’s My Desire – The Channels

02.   We Go Together – The Moonglows

03.   Bob-O-Link – Sweet Tones

04.   The Wind – The Jesters

05.   The Wind – The Diablos

06.   Why Do Fool Fall In Love (Live Version) Frankie Lymon & Teenagers With Count Basie Orchestra

07.   Unchained Melody – Five Discs

08.   Golden Teardrops – The Modern Redcaps

09.   Would You – Could You – Stanley Mitchell & The Tornados

10.   That’s My Desire – The Belmonts

Show ended 22:34

 

■ドゥー・ワップ・ナゲッツ3タイトル

 

Doo Wop Nuggets Vol. 1 / ドゥー・ワップ・ナゲッツ Vol. 1

ALBUM 2018.08.08 発売¥1,852+税/WPCR-18040

https://goo.gl/TDZmRv

 

ドゥー・ワップ・ナゲッツ VOL.2

オムニバス (アーティスト)  形式: CD

価格:     ¥ 2,000

https://goo.gl/jcb9wW

 

ドゥー・ワップ・ナゲッツ VOL.3

オムニバス (アーティスト)  形式: CD

価格:     ¥ 2,000

https://goo.gl/BGjh2v

 

ワーナー・ミュージックのサイト

https://wmg.jp/artist/doo-wop-nuggets/WPCR000018040.html

 

 

ラジオ名盤アワーのホームページ

http://www.jorf.co.jp/?program=miyaji

 

ラジコのタイムフリーで聴取可

http://radiko.jp/#!/live/JORF

 

著作例

 

ゴースト・ミュージシャン ソウル黄金時代、アメリカ南部の真実

鈴木啓志

DU BOOKS 2013年9月13日発売

https://goo.gl/jeJ4xT

 

 

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