〇 インプレッションズ ゴスペル曲としての「ピープル・ゲット・レディー」と「ヒーズ・ア・フレンド | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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〇ゴスペル曲としての「ピープル・ゲット・レディー」と「ヒーズ・ア・フレンド」

 

【”People Get Ready” & “He’s A Friend” As Gospel Song】

 

ゴスペル。

 

初めての来日にして、最後の来日となったシカゴのソウル・ヴォーカル・グループ、インプレッションズ。その彼らのライヴの中で、ユニークな選曲があった。エディー・ケンドリックスの1976年のヒット「ヒーズ・ア・フレンド」という曲だ。

 

ライヴ会場では、なぜこれが演奏されるのかわからなかった。というのはインプレッションズのヒットは数十曲あり、このライヴで演奏された16曲程度以外にも多数のヒットがあるので、なぜわざわざ自分たち以外のヒットを歌うのかという疑問だ。

 

バンドメンバーによると、しばらく前からこの曲をセットリストの中に加えたところ、反応もいいので、最近はよくやっているという。

 

Eddie Kendricks: He's a friend

https://www.youtube.com/watch?v=T3bdIRBBoNE

 

 

 

これはモータウンのエディー・ケンドリックス(元テンプテーションズのリード・シンガーの一人)がフィラデルフィアに出向き、同地のノーマン・ハリスのプロデュースで制作したフィリー・ディスコだ。ディスコ・チャートでも好成績を記録している。

 

僕も当時ディスコでよくかけていたのだが、その歌詞までは聞いていなかった。だが、今回、この歌詞を見た。

 

そして、この歌詞が実はゴスペルだった。ここでの「He」は「God」神だったのだ。ゴスペルにルーツを持つカーティス・メイフィールドとインプレッションズがこの曲をセットリストの中に入れることは自然なことだった。

 

He's A Friend

https://goo.gl/DbQoQB

 

HE'S A FRIEND - ALBUM VERSION

エディー・ケンドリックス

 

He's a friend of mine,

He's a friend of mine,

There was a time, I didn't believe at all,

Then one day, I had to give him a call,

There I was lying flat on my back,

The doctor said, I had a heart attack,

I said a prayer, before I went to sleep,

Next day you'll know, I was back up on my feet,

Oh,

He's a friend of mine, ( He's a friend of mine, )

He's a friend of mine, ( I want everybody to know it, )

He's a friend of mine, ( Yeah, He is. )

He's a friend of mine, ( He is a friend of mine, )

I don't say much, but I speak to Him every day,

He's always there, to help me find my way,

I don't deny, our close association,

He helps me out, of any situation,

If you read the book, of Revelations,

You'll find that He's, your only salvation,

Oh,

He's a friend of mine, ( Yeah, )

He's a friend of mine, ( I want everybody to know, )

He's a friend of mine, ( He is a friend of mine, )

He's a friend of mine, ( Ooh, He is a friend of mine, )

I don't deny, our close association,

He helps me out, of any situation,

If you read the book, of Revelations,

You'll find that He's, your only salvation,

He's a friend of mine, (He's a friend of mine, )

He's a friend of mine, ( I want everybody to know, )

He's a friend of mine, ( He is a friend of mine, )

He's a friend of mine, ( A friend, )

Log on to kill this message.

He's a friend of mine, ( Oooh, )

He's a friend of mine, ( Everybody's friend, )

He's a friend of mine, ( Everyday, in every way, )

He's a friend of mine, (Every way, a friend of mine, )

He's a friend of mine, (He is a friend of mine, )

He's in my heart,

He is,

He's in my mind,

All the time,

He's all I need,

He's a friend of mine, (Don't you need a friend, )

He's a friend of mine,

He's a friend of mine, ( Don't you need a friend, )

He's a friend of mine, (Don't you need a friend, )

He's a friend of mine,

 

~~~~

 

そして、インプレッションズの作品の中では、「ピープル・ゲット・レディー」がゴスペル曲とも言える作品だ。

 

"People Get Ready" The Impressions

https://www.youtube.com/watch?v=l04yM7-BWbg

 

ピープル・ゲット・レディ

インプレッションズ

USMジャパン (2012-10-17)

https://goo.gl/Kd7yKq

 

 

オーサカ=モノレールの中田さんが、これを見事に訳している。

 

 

http://osakamonaurail.com/nakata/2018/09/people-get-ready-1965.html

(2018年9月2日)

 

ピープル・ゲット・レディー

(インプレッションズ)

訳詞・中田亮

 

みなさまご準備ください

列車がまいります

荷物は要りませんので

ご乗車ください

 

信仰をお持ちの方だけに

ディーゼルエンジンの音がきこえます

切符も必要ありません

神に感謝するだけで良いのです

 

みなさまご準備ください

終着駅はヨルダンでございます

大陸を横断して

停車駅でみなさまを拾って参ります

 

信仰がカギとなっております

ゲートを開けてご乗車ください

神から愛されている人すべてに

希望をご用意してございます

 

のぞみがない罪人には

座席はございません

例えば自分のためならば

人を傷つけるような方

 

席が見つけられない方は

誠にお気の毒でございます

かの王国に到着しましても

隠れ場所はございません

 

みなさまご準備ください

列車がまいります

荷物は要りませんから

ご乗車ください

 

信仰をお持ちの方だけに

ディーゼルエンジンの音がきこえます

切符も必要ありません

神に感謝するだけで良いのです

 

People Get Ready

 

People, get ready

There's a train a-coming

You don't need no ticket

You just get on board

All you need is faith

To hear the diesels humming

Don't need no ticket

You just thank the Lord

People get ready

For the train to Jordan

Picking up passengers

From coast to coast

Faith is the key

Open the doors and board them

There's room for all

Amongst the loved the most

There ain't no room

For the hopeless sinner

Who would hurt all mankind

Just to save his own

Have pity on those

Whose chances are thinner

'Cause there's no hiding place

From the kingdom's throne

So people get ready

For the train a-comin'

You don't need no ticket

You just get on board

All you need is faith

To hear the diesels humming

Don't need no ticket

You just thank the Lord

I'm getting ready

I'm getting ready

This time I'm ready

This time I'm ready

I'm getting ready

Getting ready, oh yeah

I'm getting ready, yes I am

 

ソングライター: Curtis Mayfield

People Get Ready 歌詞 © Sony/ATV Music Publishing LLC, Warner/Chappell Music, Inc

 

アレサのヴァージョンも大好きでよく聴いた。

 

Aretha Franklin - People Get Ready

https://www.youtube.com/watch?v=V4cknWqVnVg

 

レディ・ソウル+4

アレサ・フランクリン

Warner Music Japan =music= (2008-09-24)

https://goo.gl/WEnih9

 

アレサが歌うとゴスペル度が200%にアップする。

 

その昔、こんなコラムで、この曲を取り上げた。

 

http://www.soulsearchin.com/periodical/l&g/l&g03.html

 

 

『その列車は、希望の灯火

その列車の乗車券は、信念』

 

曲:  『ピープル・ゲット・レディー』

        (People Get Ready)

歌:  インプレッションズ(Impressions)

年:  1965年

 

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『その列車は、希望の灯火

その列車の乗車券は、信念』

 

 

   人々はその列車に乗る心の準備はできている。だがその列車に乗るために切符は必要ない。必要なのは、信念だけ。人種差別がまだまだ残る1965年のアメリカで、この叙情的な美しいメロディーを持つ「ピープル・ゲット・レディー」という傑作はヒットした。

シカゴ出身のカーティス・メイフィールドという歌手が自らのグループ、インプレッションズとともに歌った作品だ。その後ロック歌

手、ロッド・スチュワートもヒットさせ、多くの人に知られる。

 

   60年代に入り、公民権、人権問題などの運動が活発になりはじめ、カーティス・メイフィールドは、自らが作りだす歌の中に、社

会的、政治的主張をこめるようになった。この歌で歌われる列車はヨルダンへと向かう。列車を精神的、普遍的な目的地、約束の地へ

到達するものとして比喩(ひゆ)している。

 

   カーティスはその後グループから独立し、ソロ・シンガーとして「スーパーフライ」などの大ヒットを放ち、天才シンガー/ソング

ライターとしての才能を発揮する。

 

   だが、90年8月、ニューヨークの屋外でのコンサート前に、突風にあおられた機材が倒れ、彼の上に覆いかぶさった。一命は取り

とめたものの下半身不随の重症をおう。その後、必死のリハビリのおかげで徐々に復活。

 

   94年3月、彼はグラミー賞授賞式で、特別功労賞を受ける。司会者が紹介して始まったカーティス・メドレーのトップを飾った曲

こそ「ピープル・ゲット・レディー」だった。最初のフレーズをブルース・スプリングスティーンが歌い、さらにボニー・レイットが

引き継ぐ。続いて、BBキングらそうそうたるメンバーが登場。そして、カーティスが車椅子に乗ってゆっくり舞台中央に進んだ。タ

キシードや派手なスーツに身を包んだ会場の全員から万雷の拍手がずっと続く。

 

   彼が二度三度、発する「サンキュー」という言葉が拍手の洪水にかき消される。喧騒が静寂に変わり、彼はあいさつを始めた。その

声はかつてソウルフルな歌を堂々と歌っていた頃とは別人のように弱々しかった。そして最後に「みなさんに支えられた35年の音楽

人生に感謝したい」と結んだ。

 

   人種差別は表面的にはなくなったが、逆に根の奥深いところではより陰湿になってきていると言われる今日。この曲が持つ普遍的な

メッセージは、21世紀の夜明けともいえる今にも大きな意味を持つ。

 

   30年以上前に、「信念さえ持てば約束の地に向かう列車に乗れる」と信じてその列車に乗った人々は、今どこで何をしているのだ

ろうか。例えば、戦火の続くユーゴからの難民は、こんな列車に乗りたいに違いない。そして今日、この列車に乗りたいと思っている

人は、世界中のどこにでも大勢いる。カーティスの生み出した列車は、希望の灯火(ともしび)となった。

 

 

(2002年11月5日アップ)

   

1999年6月号、L&G誌に掲載

 

この曲は、間違いなくゴスペル曲だ。

 

ENT>MUSIC>SONG>He’s A Friend

ENT>MUSIC>SONG>People Get Ready