○カマシ・ワシントン語る~新作のコンセプト、LAから受けた影響など | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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○カマシ・ワシントン語る~新作のコンセプト、LAから受けた影響など

 

【Kamasi Washington Talks On Soul Searchin Radio】

 

インタヴュー。

 

先日(2017年10月10日)放送の『ソウル・サーチン・レイディオ』でご紹介したロスアンジェルスのサックス奏者、カマシ・ワシントンのインタヴュー。これはレコード会社(ビート・レコード)から提供していただいたもの。オンエアした部分の文字データをまとめます。

 

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『ハーモニー・オブ・ディファレンス』のそもそもの始まりについて。(2分45秒)

 

「『ハーモニー・オブ・ディファレンス』を作ったのは、ホイットニー美術館のビエンナーレ2年に一度の展覧会のためだった。自分が書いた組曲を中心にした作品で、A.G ロハスの映像や、僕の妹イマーニ・ワシントンが制作した絵のシリーズも含まれることになった。作品の展示は、多様性の祝福というアイディアのメタファー(隠喩)(たとえ)になることが目的だったんだ。というのも、作品を作っている時期、僕たちは皆、トランプ政権の現実に直面していて、多様性というアイディアにはネガティヴなイメージが向けられていたからね。異なる宗教、文化、言語のもと、皆が違いを持ちながら共に生活している。それが、抑制、排除されようと、もしくは、良くても容認されるだけでとどまろうとしている。

 

でも僕は、それは祝福されるべきことだと感じたんだ。そこで、異なる存在が共存することがいかに美しいかという例として『対位法』(カウンターポイント)というアイディア、手法を使って曲作りに着手した。対位法では、通常2つか3つ、時に4つのメロディの形があり、それを一つに織り交ぜ、ハーモニーにしていく。僕は、単体でも成り立ち、且つ互いを混ぜ合わせることで更に美しさを増す曲を5つ書くことから始めた。

 

その後のアイディアとして、そこに別のメディアを作りたかった僕は、A.G ロハスに、5曲が一斉にプレイされた『トゥルース』と呼ばれる第6部の組曲に合う映像を作ってくれと頼んだんだ。

 

それから、僕は妹のイマーニに頼んでそれぞれの曲と第6部『トゥルース』に合う絵を描いてもらった。なんというか、それが必要なことに思えたんだ。

 

アメリカの文化は様々な文化が一つになり、LAという目に見える全ての場所が多様性と違いであふれている街として成長し続けている。その文化がいかに美しいかについて語っている人は誰もいないし、それを誰かがやらなければと思ったんだ。多様性は自分が住んでいる街の中でも一番クールな部分だと思い、このEP『ハーモニー・オブ・ディファレンス』をリリースすることで、その美しさを皆とシェアしたかったんだよ」

 

「デザイアー」をかけてから、彼の音楽がロスアンジェルスという土地から受けた影響について。

 

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『ハーモニー・オブ・ディファレンス』がLAから受けた影響(1分36秒)

 

「LAで育った経験は、『ハーモニー・オブ・ディファレンス』に大きく影響している。LAは、多くの小さな町から成り立っている本当に大きな街。その町一つ一つが世界中の様々な国から来た人々によって築き上げられ、そんな街で育ったミュージシャンである僕は、様々な場所からのあらゆるタイプの音楽をプレイしてきた。

 

そして、音楽と人生に対して異なるアプローチで向き合う全ての人たちとの一体感、彼らに対する尊敬の念を築き上げてきた。

 

音楽だけではなく、食べ物、洋服、言語、文化といった一般的なもの全てにおいてそれを感じて来たんだ。人生に置いて、僕はそういった全ての文化に少しずつ触れあってきたし、違う言語を話そうが、それらが全て繋がっていることを感じていた。皆、感じることは同じなんだよ。違う食べ物を食べようが、皆互いに食を楽しんでいることに変わりはない。

 

この作品を作る過程において、僕は影響を受けてきた音楽とその他の刺激の両方を曲に落とし込もうと努めた。ロサンゼルスの街の周りで皆が聴きそうな様々なタイプのサウンドに、自分自身の文化的経験であるジャズという包括的なテーマが重なっている。

 

そういう意味で、LAは、この作品に大きなインパクトを与えているんだ。作品で演奏している全てのミュージシャンは皆LA出身かLA在住だし、絵を手がけた僕の妹もLA出身。そして、A.Gロハスが制作した映像は全てLAで撮影された。このプロジェクトでのLAの存在感はかなり強いね」

 

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そして、「ノウレッジ」をかけてから、彼やその音楽が受けた社会的影響、政治的影響についてのカマシ・ワシントンのコメント。(1分39秒)

 

「今僕たちが生きている社会や政治的環境に影響されずにアメリカを孤立させようと考えている人々が全く理解できないんだ。毎日何かしら新しい不正やそういったものが出て来て、それらには心を痛めずにはいられない。それに左右されないように、それらのせいで自分を失わないようにはしている。

 

でも、世界は僕たちが作るもので、それを地獄にしようとしている人々がいるのも事実。それは限りなく自己中心的で、憎しみに満ちている。だから、僕たちのような世界を天国にしたい側の人間、つまり、愛と思いやりに溢れている側の人々が、自分たちに出来ることをやる必要がある。

 

アクションを起こすか黙るか、みたいな感じだから、僕は一番自分が得意な音楽で今のこの時期に出来ることをやりたいと思った。

 

音楽はすごくパワフルなツールだと思うから、自分の音楽を使って、どうにか世界をより良いものにしたいと思っている。この世で何が起こっているかは、ある意味政権と人々によって動いているだろ? 

 

それは確実に僕の音楽に影響する。それはもちろん僕自身がそれに影響されるからだし、自分の音楽は僕自身の描写なんだ。

 

『ハーモニー・オブ・ディファレンス』は、今の世界の現状に大きくダイレクトに関係している。この作品は、僕がこうであって欲しいと望む世界にインスパイアされているんだ」

 

『ソウル・サーチン・レイディオ』87回~期間限定の同録

https://soundcloud.com/user-502652173/soul-searchin-radio-087-2017-10-10

カマシ・ワシントンの登場は33分頃から。

 

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■カマシ・ワシントン・ライヴ・レヴュー

 

カマシ・ワシントン・ライヴ(パート1)~広範なブラック・ミュージックの要素全部入れ~「俺のジャ

2015年11月01日(日)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12090418968.html

 

カマシ・ワシントン(パート2)~父リッキー・ワシントンの教え~ニュー・ジャック・ジャズの新スタ

2015年11月02日(月)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12090535232.html

カマシの父、リッキー・ワシントンが語る、その教え。カマシという名前の語源などカマシの魅力を知るストーリー。

 

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Harmony of Difference [帯・解説付 / 国内仕様輸入盤CD] (YTCD171JP)

Kamasi Washington カマシ・ワシントン

Young Turks (2017-09-22)

https://goo.gl/71cScC/

 

The Epic [帯解説 / 国内仕様輸入盤 / 3CD] (BRFD050)

KAMASI WASHINGTON カマシ・ワシントン

BEAT RECORDS / BRAINFEEDER (2015-05-16)

https://goo.gl/L1bDCZ

 

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