○スティーヴィー・ワンダーがひざまずくとき~シャーロッツヴィルに登場~ | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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○スティーヴィー・ワンダーがひざまずくとき~シャーロッツヴィルに登場~

 

【Stevie Wonder Took A Knee On Concert For Charlottesville】

 

サプライズ。

 

 

2017年9月23日(土)、ニューヨーク・セントラル・パークでのライヴに登場したスティーヴィー・ワンダーが翌日(24日・日曜)、ヴァージニア州シャーロッツヴィルのヴァージニア大学構内スコット・スタジアムで行われた「コンサート・フォー・シャーロッツヴィル」の最後、同ライヴ主催者のデイヴ・マシューズ・バンドにサプライズ飛び入りし、約9分スピーチし、ひざまずき、さらに3曲を歌った。コンサートは基本的には無料だったが、なんらかのドネーション(寄付)が求められた。スティーヴィーは前日のニューヨークで行われた『グローバル・シチズン・フェス』でも人種差別、トランプへ抗議を込めてひざまずいている。

 

動画。

https://www.youtube.com/watch?v=w7j1bKqbGNY&feature=youtu.be&t=44m15s

この44分30秒あたりでスティーヴィーが呼びこまれ、ひざまずく動画。彼は最後までいる。

 

 

 

 

記事

http://www.richmond.com/news/virginia/charlottesville-recovery-concert-includes-surprise-guest-stevie-wonder/article_6203e624-7f03-50e6-87b8-933c34d2d6fb.html

 

今回のスティーヴィー登場には、背景解説がいくつか必要だが、スティーヴィーのパフォーマンスをまず紹介しよう。スティーヴィーは感動的なスピーチの途中、アメリカの人種差別に反対の意思表明で跪き(ひざまずき)、さらに、セントラル・パークで歌ったように、小型キーボードを操りながらジョン・レノンの「イマジン」、続いて1976年のアルバム『キー・オブ・ライフ』のトップを飾る「ラヴズ・イン・ザ・ニード・オブ・ラヴ・トゥデイ」、そして、「スーパースティション」を披露した。30分以上ステージにいた。

 

スティーヴィーは前日のセントラル・パークでの「グローバル・シチズン・フェス」でもスピーチの中で跪いていた。

 

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まず、このコンサート、跪き(taking a knee)、国家斉唱不起立について。

 

2017年8月11日、12日、このヴァージニア州シャーロッツヴィルで白人至上主義者たちの集会が行われた。そこに反人種差別の人たちが集まり、衝突。8月12日、集会参加者の一人、ヒーザー・ヘイヤーさん(反人種差別主義側)が白人至上主義者(人種差別側)が運転する車に轢かれ死亡。多数が怪我を負った。これを機に同地で人種差別運動に対する機運が一気に盛り上がった。

 

そこで、同地出身のミュージシャン、デイヴ・マシューズが音頭を取り、そのヒーザー・ヘイヤーさんを始め犠牲者を追悼し、サポートするために、ミュージシャンを集めチャリティー・コンサートを行った。同意して参加したアーティストは、同じく同地出身のファレル・ウィリアムス、ジャスティン・ティンバレイク、アリアナ・グランデ、コールドプレイのクリス・マーティンとジョニー・バックランドら。

 

このコンサートには、ヒーザーさんの母親、スーザン・ブロ・ヘイヤーさんも登場。

 

コンサートは夜6時頃から始まった。

 

さらに、このライヴより前、ロンドンのウェンブリーアリーナで行われたNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)のボルティモア・レイヴンズ対ジャクソンヴィル・ジャガーズの試合前に両チームの選手が国歌斉唱のときに、トランプ大統領に抗議の意思を表すために、それを跪いて、聴いた。これはアメリカ、トランプの人種差別に対して反対意見を表明するものだった。これに対してトランプ大統領は、「国歌は起立して聴くもの」として、ツイッターでNFLのプレイヤーを非難。これに対し、賛否両論が巻き起こっていた。

 

https://www.youtube.com/watch?v=dN9hA7J79VI

 

そして、スティーヴィーはスピーチの中で、「僕はアメリカのために跪く」と実際にステージで跪いた。これに隣のデイヴ・マシューズも同調し、跪いた。

 

この跪き、国家斉唱時不起立のルーツはこうだ。2016年8月26日、フットボールのプレシーズン・マッチで、フットボール選手、元サンフランシスコ・49ナーズ(フォーティーナインナーズ)のクォーターバック、コリン・ケイパニック(キャパニック)が国歌斉唱のときに、「黒人、有色人種への差別がある国に敬意は払えない」と起立を拒否したことから、以後、国歌斉唱のときの不起立が人種差別への反対意思表明の形になった。おおまかにいって白人はこの不起立に反対、黒人は賛成が多い。

 

国歌に対しての侮辱なのか、国家への、人種差別への反対意見表明なのか。議論は真っ二つに分かれている。

 

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スティーヴィーの9分超スピーチの一部。完全版が入手できたらまた修正します。

 

「今夜は僕にとってもとても感動的な夜だ。今夜、僕の母が天国で泣いているから。母は、いつか僕の目が見えるようになると信じながら亡くなっていった。そして僕には見える。だが彼女が思った形ではないけれど。母は僕に鳥、木々、空、地球、母の顔、僕の子供たちの顔を見せたがった。母は僕の友達、黒人の友達、白人の友達、アジアの友達、あらゆる色の友達を見せたがった。そう、今のところ僕は彼らを見ていない。きっと、これからも見ることはないだろう。でもそれで僕はかまわない。

 

 だが、僕の人生で見てきた多くのこと、それが僕の心をつんざく。指導者たちが人々の人生を破滅させることを話しているのを見てきた。彼らが愛しているといっている人たちの人生をだ。そして指導者たちは憎しみあう。指導者たちはその子供たちにいい子でいろという。教会で、モスクで、学校で人々が殺されるのを見てきた。平等のために涙しているにもかかわらず、憎しみの行進が街を行くのも見てきた。もしそれらの出来事を、本当にこの目で目撃していたら、なんてことだろう。みなさんはみていますよね。あなたの目だけで目撃するのではなく、その出来事を本質的に見てください、あなたのスピリット(心、精神)の中でそれを心底感じてください」

 

 そして、スティーヴィーはマシューズと腕を組んで片足、跪き、もう片足も跪いた。マシューズもそれにあわせ、両足で跪いた。

 

「恐怖が夢見ることを止めることはできません。今夜そんな世界を始めるために祈ります。今、まず片足をアメリカのために跪き、そして2本の足で僕たちの世界のために跪きます。エイメン」

                                                          

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スティーヴィー・ワンダーの未発表曲「フィア・キャント・プット・ドリームズ・トゥ・スリープ」

 

Fear Can’t Put Dreams To Sleep (Unpublished)

https://www.youtube.com/watch?v=bRWHzWINeP4

 

https://www.youtube.com/watch?v=SCCr2wxPuGU

 

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