【Hugh Masekela: Happiness Is Just Around The Laughing Corner (Door)】
笑。
なぜかヒュー・マサケラは、「俺は広島出身だ」という。たぶん、彼独特のジョークだと思うのだが。これを笑いながら言うので、実に楽しい。その場では言い方が面白いので、真実かどうかなどどうでもよくなってくる。(笑)
南アフリカ出身の超ヴェテラン・トランペッター、ヒュー・マサケラの8年ぶりのライヴ。心待ちにしていた。前回は2005年。
地元アフリカの人たちかアフリカ大使館の人たちか、めちゃくちゃのりにのっている一団がいた。この日は観客の外国人比率が高かった。彼らは実に楽しそうににこにこしながら、踊っている。それを見ているとこちらまで楽しくなってくる。笑いは百薬の長。
ヒューの音楽には底抜けの明るさと権力への反発の大きさ、そして、ばねの力強さが共存している。
1939年4月4日南アフリカ生まれ。現在73歳。長く同地の「アパルトヘイト(人種隔離政策)」のために母国に戻れなかったエグザイル(亡命者)だ。
僕は「グレイジン・イン・ザ・グラス」のヒットで名前を知ったが、詳しく学んだのは1985年、ジャイヴから出たアルバム『ウェイティング・フォー・ザ・レイン』のライナーノーツを書いたとき。いろいろ調べて彼の生い立ちやディスコグラフィーなどを詳しく書いたが、そのとき彼の数奇な人生を知り感銘を受けた。のちに「ソウル・サーチン」を書いたときの候補の一人だった。1985年から数えても28年経っている。
歌にトランペットにちょっとした踊りというか動くしぐさなどを見て、また体全体を使って声を出す様子から、南アのアル・ジャロウのようにも思えてきた。あるいは音楽世界のネルソン・マンデラか。ヒュー・マサケラはネルソン・マンデラに直接電話ができて話ができるらしい。すごい人なんだ。
ロックでファンキーなアフロ・ビートがブルーノートを彩る。
「マコッティ・ハレザマヘ(聴いた音をそのままカタカナにしただけ)」とは、「レッツ・ゴー・ブライド、お嫁さん、さあ、行こう」という意味らしい。
「アシコ」は、「ゲット・トゥゲザー、ユナイト(一致団結)」を意味するそうだ。この曲はオデッセイの「ゴーイング・バック・トゥ・マイ・ルーツ」を思わせるようなグルーヴ感あふれる作品で、観客ものりのりになった。
ヒューは本当に元気だ。渋い枯れたトランペットの響きと陽気なアフリカ大陸のダンス、というか動きが実に楽しい。
フェラ・クティー(3月13日のフェラブレーション)→ヒュー・マサケラという流れは東京の夜の演出としては最高だ。
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CD。
ライヴ後楽屋に行くと、その『ウェイティング・フォー・ザ・レイン』の、なんとCDがあり、ファンの方のサインを待ち受けていた。僕はCDになっていたのを知らなかったので、ちょっと見せてもらうと僕のライナーがついていた。
ヒューが言う。「これは、今、ここで買えるのか。何枚か欲しいんだよ。これは、ほら、ジャケットが違うだろう」
そうそう、これジャケット、日本盤はおしゃれな大草原のような風景写真に変えていた。思い出した。でも、今はもう廃盤だ。
「これは近年だしたアルバムの中では自分が一番気に入ってるアルバムなんだ」とも言う。「近年」「最近」がたぶん、ここ30年くらいの幅があるんだと思う。アフリカの人たちが、「ああ、あそこは隣町だからすぐだよ」という距離が50キロや100キロだったりするのと同じ感覚かもしれない。
このアルバムが出たときはまだ「アパルトヘイト」(1948年制定から1994年撤廃)のためにヒューはエグザイル(亡命者)だった。「この時代にはあなたの音楽は、ラジオで放送禁止(banned)だったんでしょう」とふると、「俺自身が禁止(I was banned)されてたんだよ」と笑いながら答えた。
彼の「I was banned」は僕に対して強烈なパンチだった。そうだった。アパルトヘイトが終わって20年近く経つが、きっとその傷跡はまだまだ残っているのだろう。歴史の一ページを垣間見た瞬間だった。
名刺を見ながら、「マサハル~~~、マサケラ~~。兄弟みたいだな」と大声で笑った。笑う門には福来る!
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そして、ヒューの今回のツアー・マネジャーであるジョッシュといろいろと話していたら、思わぬ展開が。なんと彼は例の『シュガーマン 奇跡に愛された男』のレコード店オウナー、シガーマンとも大の知り合いで、南アでロドリゲスがライヴをやったときのプロモーター的な役割を担っていた、という。
One thing leads to another. なんでもつながるなあ。で、この続きは明日へ。
(この項続く)
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■ 動画
Hugh Masekela Bring Back Nelson Mandela
In 1987, Hugh Masekela had a hit single with Bring Him Back Home which became an anthem for the movement to free Nelson Mandela.
http://www.youtube.com/watch?v=opUEIVlG1BQ&feature=share&list=AL94UKMTqg-9BMo_t696CxbXnWu9XVMTcJ
■ 過去関連記事
July 21, 2005
Hugh Masekela: Signed Autograph On His Autobiography
【ヒュー・マサケラ自筆のサインを貰う】
http://blog.soulsearchin.com/archives/000401.html
この本を久々に読もうと探したが出てこない。ずっとライヴに行く前から読み返そうと探してる。まだ出てこない。どこに行ったのか。まさかブックオフなんかに間違って出してないよねえ。(笑)
ワールド・カップ・キックオフ・コンサート~アリシア、ジョン・レジェンドなど
2010年06月12日(土)
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20100612.html
映画『ソウル・パワー』6月に日本公開決定 (パート1)
2010年03月14日(日)
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20100314.html
■ メンバー
Hugh Masekela(flh,tp,vo) ヒュー・マセケラ(フリューゲルホーン、トランペット、ヴォーカル)
Cameron Ward(g,vo) キャメロン・ワード(ギター、ヴォーカル)
Randal Skippers(key,vo) ランダル・スキッパーズ(キーボード、ヴォーカル)
Abednigo Zulu(b) アベデネコ・ズールー(ベース)
Lee-Roy Sauls(ds,vo) リー-ロイ・サウルス(ドラムス、ヴォーカル)
Francis Fuster(per,vo) フランシス・フスター(パーカッション、ヴォーカル)
■ セットリスト
Hugh Masekela @ Bluenote Tokyo, March 18, 2013
show started 21:34
01. The Boy
02. Chileshe
03. Marketplace
04. Ha Le Se
05. Lady
06. Makoti
07. Ashiko
Enc. Rekpete
Show ended
(2013年3月18日月曜、東京ブルーノート、ヒュー・マサケラ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Masekela, Hugh
2013-
■ ウェイティング・フォー・ザ・レイン
ウェイティング・フォー・ザ・レイン
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ヒュー・マサケラ
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■ ベスト
Grazing in the Grass: The Best of Hugh Masekela
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■ 自伝 (英語)
Still Grazing: The Musical Journey of Hugh Masekela
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