◎ノラ・ジョーンズ7年ぶりのツアー来日コンサート:36羽の折鶴とともに | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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◎ ノラ・ジョーンズ7年ぶりのツアー来日コンサート:36羽の折鶴とともに

【Norah Jones: First In 7 Years Japan Tour】

(内容にふれます。これからごらんになる方で事前に内容を知りたくない方はご注意ください)

折鶴。

2002年「ドント・ノウ・ホワイ」の大ヒットでセンセーショナルなデビューを飾った女性シンガー・ソングライター、ノラ・ジョーンズのおよそ7年ぶりの世界ツアーが続いている。彼女の5本目の大規模ツアー『リトル・ブロークン・ハート・ツアー』だ。ノラの5作目CD『リトル・ブロークン・ハート』のリリースを受けてのツアーで2012年5月25日パリからスタートし、日本は名古屋からスタート。僕が見た11月8日の武道館はこのツアー通算46本目のコンサートになる。この後2013年2月のオーストラリア・パースまでトータル66本のライヴが続く。彼女の来日ライヴとしては、ショー・ケース・ライヴを行なった2010年1月以来2年10ヶ月ぶり。

武道館の駐車場が珍しく一杯で参ったが、7時40分頃到着。ちょうど前座は終わっていた。着席してまもなく7時50分、ノラとバック・ミュージシャンが登場。いきなり「こんばんは~~」といって歌い始めた。

ステージの上には、36羽の折鶴が吊るされている。あの折鶴は世界を周るのかな。

ドラムス、ギター、ベース、キーボードにノラという非常にシンプルな編成。黒と白のまだらのミニのワンピースでノラがキーボードの前に座って歌い始めた。

通常客席は作らないステージの裏側(北側の横、北西・北東側)のギリギリまでお客さんが入っていて超満員。曲間で客席から「ノラーッ」の掛け声がかかる。3曲目でキーボードから中央に来てギターを持ちながら歌ったり、もうひとつのキーボードで歌ったりする。

観客の年齢層は幅広く20代から50代まで男女比も若干女性が多いくらいか。5-5か6-4で女性という感じか。いやほぼ同じくらいか。

全般的にはやはりカントリー系、フォーク系のシンガー・ソングライターというイメージが強い。南部の暖かみ、サザン・ホスピタリティーが感じられる。あのデビュー作『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』(邦題、ノラ・ジョーンズ)こそジャズ風、ソウル風な雰囲気がひとかけらあったが、ライヴの全体的なトーンはテキサスのカントリー、シンガー・ソングライターという趣だ。一曲が比較的短く次々と曲が歌われていく。

なんといっても最大の魅力は彼女の声。あの声が武道館にこだまするとき、観客全員がうっとりしているような感じになる。ライヴ会場にいて、ノラはなにより皆に愛される「愛されキャラ」なんだな、と強く思った。

もう充分ヴェテランだが、大学生のフォーク・サークルのようないい雰囲気での初々しさ(ういういしさ)が今でも感じられる。好きな仲間たちと好きな音楽をやってお客さんが入ってくれる。それが一番だ。

普通だったらせいぜい100人くらい入るようなライヴ・ハウスでやってるタイプの音楽が、CDの爆発的ヒットでこのような8000人も入る武道館で2日も満員にして歌うのだから、すごい。

最新作『リトル・ブロークン・ハート』をサポートするツアーだけに同アルバムから6曲が歌われた。(下記セットリスト参照) 全20曲で、そのほか4枚のアルバムからもバランスよく選曲されている。

一曲目から観客は席に座ってずっと歌声に酔いしれる。観客が立ったのは本編最後の「ローンスター」が終わりメンバーがステージを去るとき。まさにスタンディング・オヴェーションのような形で客が立ち上がった。大人のコンサートだ。

この日のハイライトは、ホーギー・カーマイケルの「ザ・ニアネス・オブ・ユー」と出世作「ドント・ノウ・ホワイ」をノラが単独でピアノ弾き語りで歌ったところ。ピアノの横にはマグカップが置かれ、ときに手にして口を潤していた。このしっとりとした雰囲気は最高で、曲も彼女にどんぴしゃ。ショーの最後以外でもっとも大きな拍手を得ていた。(ちなみにバンドメンバーが一度ステージから去り、2曲歌われるこのピアノ・ソロのコーナーは、「ザ・ニアネス…」か「ペインター・ソング」(1作目)か「マン・オブ・ジ・アワー」と「ドント・ノウ・ホワイ」をやることになっている。最初の曲がどれになるかは、その日の気分のようだ。セットリストには[Nearness or Painter or Dog]と書かれているが、これはそのどれかをやるという意味。こういう曲ではない。これをそのまま表記しているセットリストがあったので参考までに。ちなみにDogは曲名ではなく、おそらく4作目の「マン・オブ・ジ・アワー」のことだ。下記2009年12月06日(日) 付け「ノラ・ジョーンズの新作ジャケットにはなぜ犬が映っているのか」を参照)

ステージ右側のそのキーボードが右向き(東向き)に置かれていたのだが、あれも正面向きでもいいのではないだろうか。あの向きだと西側の人たちには完全に背中になってしまう。あの角度は何か意味があるのかな。

ゆったり、まったり、のんびりした癒し系。誰もがほんわかした80分だと思う。僕個人としてはカントリー方向よりソウル、ジャズ方向のほうが好みなのだが、まあ、しょうがない。いずれ、ソウル・ジャズ曲ばかりをカヴァーしたアルバムでも作って欲しい。

このあと、大阪(10日)、広島(12日)、札幌(14日)と続きその後韓国へ。いったんアメリカに戻ったあとは、コロンビア、ペルー、アルゼンチンなど南米。最後がオーストラリアだ。

ノラ・ジョーンズの来日は、2002年4月(プロモーション)、2002年9月(初の一般公演来日)、2004年1月(プロモーション)、2005年4月(2度目の一般公演来日)、2007年3月(プロモーション)、2010年1月(プロモーション)。2012年11月(コンサート・ツアー)、ツアーとしては3回目の来日。

過去のツアーは、次の通り。今回のは5本目。アルバムが出ると世界ツアーに出るのが慣わしになっている。下記、3と4が一般公演での来日がなかった。

1 カム・アウェイ・ウィズ・ミー・ツアー
(2002年5月から2004年2月、約150本)(来日)
2 ノラ・ジョーンズ・アンド・ハンサム・バンド・ツアー
(2004年2月から2005年4月、約100本)(来日)
3 ノット・トゥ・レイト・ツアー
(2007年4月から2008年10月、76本)
4 ザ・フォール・ツアー
(2010年3月から2010年11月、68本)
5 リトル・ブロークン・ハーツ・ツアー
(2012年5月から2013年2月=66本予定)(今回の来日)

追記:

武道館2日目(11月9日)のライヴでは、セットリスト中8曲を変えた。

■ ノラ・ジョーンズ過去記事

ノラ・ジョーンズ・ショーケース・ライヴ@ブリッツ
2010年01月21日(木)
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10439136794.html

2009年12月06日(日)
ノラ・ジョーンズの新作ジャケットにはなぜ犬が映っているのか
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10404327194.html
「マン・オブ・ザ・アワー」の訳詞付き

2009年11月16日(月)
ノラ・ジョーンズ最新作『ザ・フォール』~「海賊を追いかけて」の意味
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20091116.html

2003/02/26 (Wed)
Experience you'll never go through again
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200302/diary20030226.html
2002年4月初来日時のショーケース・ライヴの模様を回想。

2004/01/20 (Tue)
Unchangeable Universality: Norah Jones Live @ Spiral Hall
http://www.soulsearchin.com/soul-diary/archive/200401/diary20040120.html
2004年1月のショーケース・ライヴの模様。

April 19, 2005
All That Simplicity Is Gold: Norah Jones
http://blog.soulsearchin.com/archives/000049.html
一般公演として2度目の来日。

March 24, 2007
Norah Jones: Show Case Live At Ebisu
http://blog.soulsearchin.com/archives/001668.html

March 11, 2008
映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20080311.html

ノラ・ジョーンズ・ライヴ『ヴェイカントな夜』(2002年9月7日)
http://www.soulsearchin.com/entertainment/music/live/jones20020907.html
2002年の正式な日本初ライヴにインスパイアーされたショートストーリー。

■ 今回のツアー・タイトル・アルバム

リトル・ブロークン・ハーツ
ノラ・ジョーンズ
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最新編集盤『ノラ・ジョーンズ・カヴァーズ』

カヴァーズ~私のお気に入り
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■ ファースト・アルバムにして最高傑作『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』(やはりアリフ・マーディン・マジックかな。全世界で2000万枚以上のセールスだそう!)

Come Away With Me
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ノラ・ジョーンズ・セットリスト、2012年11月8日(木)武道館 まだツアーは続いていますので、これからごらんになる方で事前に知りたくない方はご注意ください

■メンバー
Members:

Nora Jones (vocal, keyboards, guitar)
Josh Lattanzi (bass)
Pete Remm (keyboards)
Jason Abraham Roberts (guitar)
Greg “G Wiz” Wieczorek (drums)

Opening Act:
Jim Campilongo Electric Trio

■ ノラ・ジョーンズ・セットリスト
Setlist: Norah Jones, November 8, 2012 @ Budokan

(1) =From Come Away With Me (2002) 5曲
(2) =From Feels Like Home (2004) 4曲
(3) =From Not Too Late (2007) 2曲
(4) =From The Fall (2009) 2曲
(5) =From Little Broken Hearts (2012) 6曲
その他 1曲、計20曲
“Black” from Danger Mouse & Daniele Luppi f/ Norah Jones CD “Rome” (2011)

show started 19:50
01. Cold Cold Heart [Hank Williams cover] (1)
02. Out On The Road (5)
03. All A Dream (5)
04. The Long Way Home (2)
05. Say Goodbye (5)
06. Take It Back (5)
07. Chasing Pirates (4)
08. Broken (3)
09. Creepin’ In (2)
10. Black [guest on Danger Mouse]
11. Carnival Town (2)
12. The Nearness Of You (solo) [Hoagy Carmichael cover] (1)
13. Don’t Know Why (solo) (1)
14. Sinkin’ Soon (3)
15. Miriam (5)
16. Happy Pills (5)
17. Stuck (4)
18. Lonestar (1)
Enc. Sunrise (2)
Enc. Come Away With Me (1)
Show ended 21:21

(2012年11月8日木曜、日本武道館、ノラ・ジョーンズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Jones, Norah
2012-

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■ ノラ・ジョーンズ・セットリスト 2012年11月9日(金)
Setlist: Norah Jones, November 9, 2012 @ Budokan

(1) =From Come Away With Me (2002) 5曲
(2) =From Feels Like Home (2004) 3曲
(3) =From Not Too Late (2007) 2曲
(4) =From The Fall (2009) 4曲
(5) =From Little Broken Hearts (2012) 5曲
その他 2曲、計21曲
“Black” from Danger Mouse & Daniele Luppi f/ Norah Jones CD “Rome” (2011)
グレイトフル・デッドのカヴァーはこのところライヴでよくやっているようです

* denotes songs not played on first day of Budokan
*は、武道館初日で歌われなかった曲です

show started 19:50
01. Cold Cold Heart [Hank Williams cover] (1)
02. What I Am To You (2) *
03. Little Broken Hearts (5) *
04. Say Goodbye (5)
05. After The Fall (5)*
06. Chasing Pirates (4)
07. It’s Gonna Be (4)*
08. Rosie’s Lullaby (3)*
09. Tell Yer Mama (4)*
10. It Must Have Been The Roses [The Grateful Dead cover]*
11. Black [guest on Danger Mouse]
12. Painter Song – solo (1) *
13. Don’t Know Why –solo- (1)
14. Sinkin’ Soon (3)
15. Miriam (5)
16. Happy Pills (5)
17. Stuck (4)
18. Lonestar (1)
Enc. Sunrise (2)
Enc. Creepin’ In (2)
Enc. Come Away With Me (1)
Show ended 21:23

■メンバー
Members:

Nora Jones (vocal, keyboards, guitar)
Josh Lattanzi (bass)
Pete Remm (keyboards)
Jason Abraham Roberts (guitar)
Greg “G Wiz” Wieczorek (drums)

Opening Act:
Jim Campilongo Electric Trio

(2012年11月9日金曜、日本武道館、ノラ・ジョーンズ・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Jones, Norah
2012-