★●◆ ホイットニー葬儀を見て思うこと | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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★●◆ホイットニー葬儀を見て思うこと

【Thoughts On Whitney】

葬儀。

ホイットニーの葬儀を土曜深夜、日曜早朝、結局最後まで見てしまった。その詳細は、昨日付けのブログにアーティスト、曲名なども含めて書いてあるので、興味ある方はそちらをごらんください。

http://ameblo.jp/soulsearchin/day-20120220.html

この葬儀を見ながらいろいろ考えた。ひとつには、バプティスト教会の葬儀がテレビ中継の前後も含めれば4時間以上も世界中に生中継されたのは、前代未聞のこと。歴史的快挙だということがある。

マイケルの葬儀も生中継されたが、二時間くらいで、これはファンに対しても公開されることを前提にしたもの。会場や規模もホイットニーのものとは比べ物にならないほど大きかった。

それがホイットニーのものは本来は公開されないプライヴェートなもので、しかし結局、4時間近く生中継公開された。参列者には、携帯の電源を切り、ツイートなどをしないように、注意がされたという。

歌いこみ。

ホイットニーとマイケルの突然の死というものは本当にいろいろなことを考えさせられてしまう。

トップに上りつめた、それもちょっとやそっとのトップではない、本当の世界のトップに上りつめたスーパースターのプレッシャーというのは、普通の人には到底想像できないものなのだろう。

僕がホイットニーの歌唱で一番好きなのものを無理して選べば、彼女の初来日から2-3回目くらいまでの来日時に歌っていた「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」だ。本当に声が出ていて、声につやがあり、声自体が輝きを持っていた。その歌詞の内容ともあいまって、真に歌に聞き惚れることができた。その会場にいる全員が、ホイットニーの虜になっていた。あのむずかしい曲をあんなに上手に歌えたら、ほんとに気持ちがいいだろうなあ、と心底思った。

ホイットニーはレコーディングがはやい。大体2-3テイクで録音が終わる。マイケル・マッサーのレコーディングは何度も部分部分をやり直させられたかもしれないが、大体基本的なところは2-3回で終わる。だから、レコーディングされて残ったものは、まだ歌いこんでいない。それがライヴで年間何十本と歌えば、どんどんその歌唱がよくなっていく。だから、レコードよりもライヴのほうがもっともっとうまい歌が聴けることになる。

ホイットニーがライヴを重ねて歌う「グレイテスト・ラヴ・オブ・オール」は(もちろん、その他の曲も)、どんどんソウルが込められていくのだ。

ナンバーワン。

ホイットニーは間違いなく20世紀を代表するシンガーの一人、ナンバーワン・シンガーになった。しかし、そのナンバーワンのポジションが彼女にプレッシャーをかけ、それが死に追いやったなら、一体その成功とは何なのかと思わざるをえない。

ホイットニーが帰還したニューホープ・バプティスト教会で歌っていた頃、彼女は歌うことが大好きで、その歌に皆が興奮していることが嬉しかった。それが仕事となり、そのスケールが大きくなった。歌うことが好き、観客が喜ぶ。そこだけを追求すればいい。しかし、ビッグ・ビジネスになると、たくさんの要素、人が入り込んでくる。

歌への愛と観客の喜び、それ以外は、すべてハイプ(虚像)だ。そう割り切るしかない。それを肝に銘じるしかない。しかし、そんな簡単に物事はいかない。それもまた人生だ。

「ナンバーワンになるのは簡単だ。難しいのはナンバーワンを続けること」とはエンタテインメントの世界ではよく言われる。誰もがそれを目指す。しかし、今この言葉にはもうひとつつけ加えなければならない。

「ナンバーワンになるのは簡単だ。難しいのはナンバーワンを続けること。さらに、もっと難しいことは、生き続けること」

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ARTIST>Houston, Whitney