■● 江守藹さん、『ソウル・ブレンズ』に登場~ドン・コーネリアス追悼して語る | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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■● 江守藹さん、『ソウル・ブレンズ』に登場~ドン・コーネリアス追悼して語る

【Emori Ai Talks About Colleagues Don Cornelius】

生出演。

ソウル・イラストレーター、ソウル・ダンサー、作家でもあり、ブラック・カルチャー、ダンスなどについて詳しい江守藹さんが『ソウル・ブレンズ』に生ゲストで登場。2012年2月1日に亡くなったドン・コーネリアス緊急追悼特集を放送した。いろいろなエピソードを聞かせていただいた。

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左から、オッシー、吉岡、江守氏、マーヴィン、ちさと

江守さんは、1999年、日本の商社が権利を獲得した「ソウル・トレイン・プロジェクト」にかかわることになり、ドン・コーネリアスと知り合った。その中で、ラジオ番組や「ソウル・トレイン・カフェ」をお台場に開店など総合的にプロデュース。その開店レセプションが1999年8月末行われ、ドン・コーネリアスが来日。ちょうど偶然そのときに、スティーヴィー・ワンダーがコンサートのために来日していたので、ドンがスティーヴィーに連絡をしたところ、そのレセプションに現れた。

「そのとき、ドンも大きなストレッチ・リムジンで移動してきて、スティーヴィーもすごいリムジンで、そのリムジンが2台並んだところは壮観だったんですよ。あの2台並んだ絵はかっこよかったですよ!」

江守さんも、それより前、初めてロスでドンに会ったときには緊張した。「70年代からずっと『ソウル・トレイン』を見て、育ってきた自分だから、そのあこがれの人に会えるだけで興奮し、緊張した。だが、徐々に時間が経つにつれ打ち解け、カフェで飾るものをたくさん、ちょーだいと言えるまでになった」

そうしてもらってきたもののいくつかをこの日スタジオに持ってきていただいた。「ソウル・トレイン・アワード」のトロフィーのレプリカはしっかりと重かった。

「ソウル・トレインの文化は、音楽、ファッション、すべてにわたっていて、当時はみんながそういうものを取り入れてきた。僕も福生のテイラーで、いわゆる『ソウル・ファッション』のスーツを作ったり、一時期はアフロにしたりした」

「やはり、日本でこれほどブラック・ミュージック、ブラック・カルチャーというのが今のように広まったのは、ヴェトナム戦争が大きかったと思う。これがあったために、多くの黒人兵が日本に滞在して、横須賀や横浜、横田などの基地からみんな週末に六本木のディスコなんかにやってきた。そんな中で、彼らから『ソウル・トレイン』というのがあるんだよ、って教わったりした。そして、これが日本で放送されるようになってからは、かじりついて毎週見てた。当時は録画機がなかったから食い入るように見た。毎週見ていると大体同じようなダンスが何週か踊られるので、最終的には踊れるようになった」

これに、マーヴィンが「僕は富士のベースにいたので、毎週末、金曜の夜富士から六本木に行って、月曜の朝、ほとんど寝ないで、仕事に戻ったなんてやってた」と振り返る。

江守さん。「ソウル・トレインのダンサーたちから人気が出た人もいる。ジョディー・ワトリーやジェフリー・ダニエルズは誰でも知ってると思うけど、ダミタ・ジョー・フリーマン、ドン・キャンベル、スクービー・ドゥー、パトリシア・デイヴィスなんかがいた。ダミタは、第二回の『ソウル・トレイン・ダンサー・コンテスト』の優勝者、翌年かジェームス・ブラウンがゲスト出演したときに、ブラウンの周りでずっと踊ってた。アーティストの周りでずっと踊るというスタイル。そのコンテストの第一回の優勝者がスクービー・ドゥー。スクービー・ドゥーとドン・キャンベルは、ともにロックダンスのオリジネーターだ」

「(ドンを)招聘した商社が、それなりの車とホテルも用意したが、ドンはそれが気に入らなかったようで、自分で長いリムジンと、フォー・シーズンズのスイート・ルームを取っていた」

「(カフェをやるにあたって)ドンに一言だけ言われたのが、ダンスをしっかりやってくれということ。それに対して、大丈夫です、僕もダンサーですから、と応えた」

「日本独自のソウル文化っていうのがあるでしょう。それは、アジアのほかの国や、ヨーロッパにもそういうものはないでしょう。『ソウル・トレイン』が与えた影響も大きい」

『ソウル・トレイン』のテレビ放送第一回でゲスト出演したエディー・ケンドリックス、グラディス・ナイトなどの曲をかけた。

約45分の出演時間だったが、あっという間、いくらでも話が尽きない。

その模様、期間限定でポッドキャストで。冒頭にニュース、途中にCMがあります。トータル59分

『ソウル・ブレンズ~トリビュート・トゥ・ドン・コーネリアス・ウィズ・江守藹』2012年2月5日放送
http://soundcloud.com/soul_searchin/soul-blends-2012-02-05-special

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昼夜逆転。

江守さんと、生放送後、ひさしぶりにお茶。そこでも話は終わらない。

江守さんとは、1970年代から、ソウル、ディスコ関係で知り合い30年以上になる。一緒に『ギャングスター』というソウル雑誌というか、ディスコ雑誌を作ったりしたこともある。これは、10冊までいかないが、数冊発行された。一度ヤフオクかなにかで高い値段がついているのをみたことがある。江守さんは持ってないという。僕は持っているはずだが、どこかの段ボールに入っていると思う。今度しっかり探しておきたい。

彼は2005年2月、大きな手術をし、その年はほとんど仕事もせずに治療に専念した。それ以来、それまでの夜型の生活から昼型の生活に戻し、今では10時には就寝、朝5時には起き、6時朝食、12時ランチ、6時か7時に夕食という、以前とはまったく考えられないような生活スタイルになった。その病気は5年で再発などがなかったため、完治したという。

健康的になり、その秘訣はというと、「ウォーキングとダンス」だという。ダンスの効能について、江守さんはこういう。

「運動をジムにいったりすると、結局、自分をいじめるような闘いでしょう。でも、ダンスは楽しい。踊ってても苦痛にはならない。そうして楽しいことをやっていると、体のあちこちが活性化してよくなるんだと思う」

江守さんとは、以前から日本のソウルの話を本にまとめようということになっていて、そろそろ力をいれてやらないと、と改めてお互い確認しあった。

■ 江守藹監修DVDについて

江守さんは、ダンスを教える先生用のDVDを作った。↓
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10867795287.html

■ 江守藹著『黒く踊れ!―ストリートダンサーズ列伝』

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RADIO>Soul Blends>Emori, Ai
OBITUARY>Cornelius, Don