眼中 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

吉岡正晴のソウル・サーチン

ソウルを日々サーチンしている人のために~Daily since 2002

【キース・スウェット、女性のためだけに歌う】

眼中目NG

キース・スゥエットが17年ぶりの来日を果たして、ブラコン・ファンの間ではちょっとした話題になっている。昨日のライヴ、ファーストとセカンド、微妙に曲順などが違うようだ。また、今日のセットリストとも少し違うらしい。ちなみに、月曜のファーストはアンコールがなかったが、僕が見たセカンドはアンコールありだった。ところが、火曜(2日目)セカンドでは、なんとあろうことか、「アイ・ウォント・ハー」をやらなかった、というではないか。まじか。

昨日はキース作品をどっとCD棚から取り出し、すっかりキース・モードになった。月曜の深夜には、Jウェイヴの松尾潔さんの『ユニヴァース』でキース・スウェット特集2時間をやっていた。それを聴きながら昨日はブログの原稿を書いたが、番組中で僕が書いた8作目『ディドント・シー・ミー・カミング』のライナーノーツが紹介された。

僕もさすがに昔書いた原稿だと、書いたことさえ忘れているが(笑)、改めて読んでみて、ライナーに書いたドン・トレイシーとのことをまたまた思い出した。1987年12月にロスにいったときに、ドンと会い、彼の運転するホンダのシビックでLAのフリーウェイを走っているときに、ちょうどキースの「アイ・ウォント・ハー」がかかって、「これが今、すごくはやってる」と教わった。僕は個人的にあのシーンは、ほんとに昨日のようにフラッシュバックする。夕方だったと思う。でも、僕がなぜ彼の車に乗っていたのかが、今となっては思い出せない。LAに行ったときはまず僕もレンタカーを借りる。車社会なので、車なしだと動きが取れないからだ。だから、誰かと待ち合わせても、どこかに移動するときは、車2台で移動することが普通だ。

いずれにせよ、あのときのロス・アンジェルスのラジオでは、本当にひんぱんに「アイ・ウォント・ハー」がかかっていた。これを聴くと、この曲はニューヨークのサウンドなのに、そういうわけで、LAのフリーウェイが思い出される。

僕も2000年10月に彼に電話インタヴューをしたことがある。その様子もライナーノーツに書いたのだが、低音のものすごくいい声の持ち主で、かっこよかった。だが、質問に対する答えは短く、インタヴュー自体は盛り上がらない。ラジオ番組で松尾さんも言っていたが、「この人ほどインタヴューが盛り上がらない人はいない(苦笑)」というほどなのだ。

月曜もエロエロのステージを見ていて、このキースは女性のためだけに歌っているということを痛烈に感じた。「レディ~~~~~ス!!」とは言うが、決して「ボ~~~イズ」とか「ジェントルマン」とか言わない。深町さんも、自分は女性のためだけにピアノを弾いてきたと公言してはばからないが、キースもそのスタンスは「俺は女のためだけに歌ってるんだ」。そんなキースに男が話を聴いても、これは盛り上がらなくてもいたしかたない。男は眼中になしだ。いや、これぐらい徹底すればいいじゃないでしょうか。(笑) 

(2007年10月29日月曜、六本木・ビルボード・ライヴ=キース・スウェット・ライヴ)
ENT>MUSIC>LIVE>Sweat, Keith
2007-143