棄てようと思った詩ぃをここに棄てとく(2024年05月) | 悠志のブログ

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ぷくぷくぷくぷくぷくぷく。

 

こころあおぞら

 

 

心があって

蒼空がある

ひとの心が

蒼空をつくっている

わたしもその

ひとの心をもっている。

 

 

 

堪らえている

 

 

声をあげると痛いから

囁いている

囁いて 伝わらないときは

頭を抱えている

痛みを堪らえている。

 

 

 

詩を記す

 

 

言葉を連ね

(ポエトリー)を記す

記すことでわかるのは

自身を正直に映すということ

自身を正直に

詩に映す

するとひとりでに

心の景色が見えてくる。

 

 

 

 

 

雲ひとつ無いのに

何故なのだ

空は泣いているようにみえて仕方がない。

 

 

 

雨の日

 

 

雨の日は胸のうちを静かにさせる

雨の風景を窓辺にみていると

もう何にもしなくていいから

だからこうして雨を観ていなさいと

言われているようなきもちになってくる。

 

 

 

ことば

 

 

伝えたいことはあるのに

何て言ったらいいのかわからない

ただ、何も言わないでいるのが苦しいのだった

   *

言葉があるから私は生きている

言葉を失ったなら

私というものはどうなるのだろう。

 

 

 

みつめること

 

 

見る のではなく

見つめること

雨を見るのではなく

雨の奥にあるものの

そこに存る何かを

見つめること。

 

 

 

人生が縮む

 

 

人生がまた縮んで

淋しくなった

生きていることがつまらなくて

つらかった。

 

 

 

はつ夏

 

 

木を見ていても

草を見ていても

つくづく

美しい季節になった

さようなら

さようなら。

 

 

 

木洩れ日

 

 

木洩れ日は

どの光もみな笑っている。

 

 

海のむこうの宇宙

 

 

海のむこうに宇宙(そら)がある

海は宇宙(そら)の妻であり

宇宙(そら)の果てにも広がっている。

 

 

 

山のなか

 

 

こどもの頃のいつの日だったか

私は父母(ちちはは)と山のなかにいた

 

父は母と下草を刈っていた

私はその間

山中を遊び歩いて飽きなかった

 

辺りいちめん

白雨(ゆうだち)の降ったあとのように濡れ耀いていて

  刈った草のみずみずしい匂いにみちていた

 

山の空気を存分に吸った

お昼のお弁当の

あまり美味しくはない白いご飯の味を

私は未だに憶えている

  もう帰らぬものとして懐かしく

 

帰りぎわ

山には激しい蜩の声が鳴りひびいていた

 

  誰に植えつけられたでもない

  こんな想い出を

  私はいまも(かな)しいと思っている。

 

 

 

星の風景

 

 

目をつむっていると

星の風景が

眸のまえに見えてくる

そこには

宇宙だけがあり

地球も月も太陽も消え

空間を浮いている

私のようなものが

悄々(しょうしょう)と銀河へ還ってゆく

……そんな夢を、みたのだった。

 

 

 

花ひらく

 

 

花はふざけるように咲いている

生きているというのは

いっしょけんめいふざけるのに似ているのかも知れない。

 

 

 

万緑

 

 

蒼空の下で息をしていたら

私は口から

火を噴いているような気がした。

 

 

 

夕日

 

 

頬にさす

夕日は

涕いているようにみえる。

 

 

 

こころ

 

 

抱きしめていると

消えてしまう気がする

でも

手放すと

いなくなってしまう気がする。

 

 

 

雨のあがってゆく匂い

 

 

雨のあがってゆく匂いが

梅林にたちこめている

朝、それは思いつめた言葉のようだったが

いまは死んでしまって物も言わない。

 

 

 

女性

 

 

女性こそが ひと だとすれば

かれらを 虐げる男性は

絶対に ひとではない

と ここに

怒りを込め 刻みつけておく。

 

 

 

石をひろう

 

 

傷ついた石を拾う。

 

 

はつ夏

 

 

光りたいと思う

そして、(くるい)(おそ)れず

(およ)いでいたいと

おもう。

 

 


朝のひかり

 

 

朝のひかりが窓に射した

はつ夏の

〈朝〉は語感に激しさをもたないのに

炎えるように明らかで

美しいのは

何故なのだろう。

 

 

 

山のスケッチ

 

 

することがないから

ひとりで山々を見ていた

山々には緑が繁っており、

下手な私でもいい()が描けるかもと思ったので

スケッチブックをひらき、描いてみた

描いているうちに

風景は夕焼けに染まってしまい

それが余りにも優美(うつく)しすぎるゆえ

私は悲しくなり、

結局描くのを諦めてしまった。



 

あの雲

 

 

もしもあの雲が

ひとのふるさとだったならどんなにいいだろう。

 

 

 

生きてゆくので

 

 

私は死んでゆくのではなく

生きてゆくので

人生の最後の一行まで生きてゆくので

そのために生きているので

人を無意に傷つける人のまえで

生きてゆくので

つらいけれど

傷ついても、傷ついても

見えない血を流し乍ら生きてゆくので。

 

 

 

断章

 

 

つよく思うことが

こころだと 感じられる。

 

 

 

音信

 

 

しばらく手紙を書かなかったから

何かあったんじゃないかって

心配された

私にはそれが嬉しかった

自分がいないと

寂しがってくれるひとがいるなんて

どんなしあわせだろう。

 

 

 

蠟燭に火

 

 

蠟燭に火を点けてみる

息をしていることが

うつくしいことに思える。

 

 

 

 

 

凛々と生きる

激しい(ひかり)

それは竹のことである。

 

 

 

雨の夜

 

 

雨の夜

うつくしいのは何だろう

私は夜雨の音を耳にしながら

震えるようなことを考えていた。

 

 

 

莫迦

 

 

声を出すのを忘れ

突っ立っていると

私という人間は

莫迦にみえるらしいな。

 

 

白雨

 

 

白雨(ゆうだち)は激しすぎて

まるで私の心が

無くなってしまったような気がする。

 

 

 

蒼いため息

 

 

夜風を感ずる窓辺に

独りになりきって

蒼いため息をついたり

赫い咳をしたりしていた。

 

 

 

こどもが寝ている

 

 

こどもが寝ている

こどものかたわらに

私も寝そべっていると

うつくしい心が

うたうように

上からふってくる。

 

 

 

しあわせ

 

 

私は、私を生きている

この世の花よ、生まれよ。

 

 

 

冷たい雲

 

 

痛く、

苦しい

夜を

冷たい雲が

過る。

 

 

 

雨がこたえる

 

 

雨に昏くなった

路上に

私の心が立っている

 

つまんないね、

つらいね、といっても

雨は応えない

 

ただ、雫でもって

うん、という。

 

 

 

いにしえの夢

 

 

風を生み

やがて日は暮れたが

まだ空は明るい

昏くなりかけた山々の

尾根を行く

  ひとりの影

いにしえの旅びとは

老虎のような

  眸をしている。

 

 

 

風のつよい日

 

 

風のつよい日

私はつまらぬ棒切れのように

ひょろっと立っている。

 

 

 

 

 

夏は 不純だったものが 消え

空気に混じりけが 無くなってくる

小鳥が高らかに 鳴いてくれるのも

夕焼けがあんなに綺麗なのも

夏が 清んでいる所為だと思っている。

 

 

指田悠志