8人のジャーナリストやルポライター,放射線医学関係の医師などによる論文を集めたものです。
2011年5月30日発行なので,それまでに報道された話題についてだけ書かれています。当然ながら,その後,徐々に明らかにされてきた事実もありますが,ここでは震災1ヶ月から2ヶ月くらいのことを取り上げていると思って読んでください。
<震災から2ヶ月間>の報道の様子を専門家の立場から見たこの論文集を読んでいると,これまでのマスコミ報道には,国民の知りたいことや本当のこと,国や電力会社に対するするどい批判や国民を守る視点などが欠けていることに気づかされます。
震災後の原子力資料情報室の臨時会見では,いち早くメルトダウンや水素爆発の危険性が指摘されており,その後の報道が,彼らの言う通りだったことを教えてくれました。そんな専門的な報道が,公共のマスコミを通事でほとんど全くなかったのはなぜなのかが,本書で明らかにされています。
まさに国も電力会社も御用学者も「原子力村の住民」だったのです。