新しい義歯の使い方
取り外し式のいわゆる「入れ歯」を使ったことのない人が初めて新しい入れ歯を入れた日は、「入れているだけにして、食事の時ははずしてください」とお願いしています。入れ歯を入れたことのない歯肉は、圧力に慣れていません。入れ歯の「床」と言われるところ(赤い部分)から急に強い力を受けると歯茎に痛みを起こしたり、傷ついたりします。「翌日から、やわらかいものから順番に痛くないか試しながら咬んでください」とお願いしていますが、普通に食事をして「痛いから削ってくれ」という注文を翌日に受けることがよくあります。注文どおりに「痛い」と言われるところを順番に削っていくと次々に痛い場所が変わっていって、入れ歯の原型がなくなるほど削って実際には咬めてない状態になって、はじめて「痛くなくなった」ということになる。長いこと歯医者をしていると、こういう結末が初めから見えているので調整に来られても「1カ所しか削りませんよ」と前置きしますがこういう方々は、ほとんど聞いてもらえませんね。「総入れ歯でタクワンでもなんでも噛み切れる」というのは長年、入れ歯を使ってこられて入れ歯の下の粘膜が硬くなっているからです。そういう方は入れ歯無しでも、歯茎だけで食事できる方もおられます。「入れ歯を、調整無しで入れて何でも噛める」ようにするのが名医だと思っておられる方も多いです が、簡単な風邪なら医者でなくても治せるのと同じですよ。