その出来事は、
仕事の時間の中で起きたことだった。
だから私は
ちゃんとしていようとしたし、
平気な顔もしていた。
でも心の奥では
「大切にされていないのかもしれない」
そんな言葉が
浮かんでいた。
本当はただ、胸の奥が
少しざわっとしただけだったのに。
期待していた配慮が
そのまま返ってこなかった。
それだけのことなのに。
気づいたら私は
出来事より先に
自分の価値に結びつけていた。
「私だから、そうだったのかな」
そんな風に
世界の理由を、
また私の中に探していた。
怒っているわけでも
責めたいわけでもなかった。
ただ
ちゃんと扱われたかった。
それだけだった。
でも私は
その気持ちをそのまま感じるより先に
意味づけをして、
自分を疑う方を選んでいた。
「私が悪いのかもしれない」
そう思えば、
この出来事を
静かに受け取れる気がしたから。
でもそれは
私を守るための
ひとつのやり方だった。
胸のざわつきを、
責めに変えることで
私は
自分の心を
必死に守っていた。
そして
あとから気づいた。
あれは
舐められたとか、
軽く扱われたとか、
そういう言葉の前に、
私の中に
かすかな違和感が残っただけの出来事だった。
その感覚を
私はずっと触れずにいただけだった。
そして今。
私はようやく
そのときの私に
こう言える。
「そう感じても、よかったんだよ」と。
「ちゃんと、何かが痛かったんだよ」と。
その感覚を 置いていかなくていい。
感じても、
壊れなかった。
