18■人の美の描写に関する語
受験生のための単語リストです。
ここでは「人の美の描写に関する語」を集めてみました。
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■次の語の意味をA→Bで確認!
A 単語リスト
1・きよらなり
2・きよげなり
3・うるはし
4・なまめかし
5・えんなり
6・あてなり(対:いやし・あやし)
7・やさし
8・いうなり
9・にほふ:にほひ
10・いまめかし
11・かたち
B 語義と語感
人物の美に関しては、それぞれの語の漢字と「感じ」をイメージしておけばよい。
1・きよらなり
=清らなり:上品で清らか
■→最上級の人に用いられる完璧な美
2・きよげなり
=清げなり:上品で清らか
■→きよらなりに次ぐ人物に用いられる
3・うるはし
=麗し:きちんとしている
■→整った端正な美
4・なまめかし
=生めかし:優美だ
■→生の素材が生きた上品さ・優美だ。「めく」は、~らしくなる。生は未熟さを表すが、生の素材が生きた新鮮な感じ。今の女性だったら薄化粧に相当するか。
5・えんなり
=艶なり:あでやかな美
■→華やかで魅惑的な美を言う。平安文学では源氏物語や枕草子など限られた使用。
6・あてなり
=貴なり:高貴な美しさ。
■→貴賤という熟語をイメージしたい。「貴」は身分の高さ、そこにある美を表し、「賤」:いやし(賤・卑)は身分が低くみすぼらしい様子を表す。
7・やさし
①身もやせる思いだ
②優美だ・繊細だ
■謙虚さ。原義は痩す→痩せるほど肩身が狭いことから、➀恥ずかしい→②その様子が謙虚なことから上品だの意が派生。
8・いうなり
=優なり:優美・上品
9・にほふ・にほひ
=つややかに映える。視覚的美。
■→原義は「丹秀ふ」で、赤い色が表に出て目立つこと。香る(嗅覚)の意味もあるが、視覚的美を表す用法に注意。
10・いまめかし
=今めかし:現代風だ・当世風だ。
■→「めく」は「~らしくなる」。例えば「春めく」。「めかし」は「それっぽい」感じ。古めかし・なまめかしなど。
11・かたち
=容貌・顔だち
■→かたちは、すがた(容姿・スタイル)ではないことに注意する。
■例文C→Dで演習!他の単語、文法も。
C 例文
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世になくきよらなる玉の男皇子さへ生まれたまひぬ。
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夢にいときよげなる僧の、黄なる地の袈裟着たるが来て、
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すずろに飲ませつれば、うるはしき人もたちまちに狂人となりて、
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なまめかしきもの。ほそやかに清げなる君達の直衣姿。
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何心なき空のけしきも、ただ見る人から、えんにもすごくも見ゆるなりけり。
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一人はいやしき男の貧しき、一人はあてなる男もたりけり。
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四十ばかりにて、いと白う、あてにやせたれど、
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人わろくて添ひものしたまはむも、人聞きやさしかるべし。
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いくさの陣へ笛もつ人はよもあらじ。上﨟はなほもやさしかりけり
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なほことざまのいうに覚えて、物の隠れよりしばし見ゐたるに、
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紫草のにほへる妹をにくくあらば人妻ゆゑに我恋めやも
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(紫の筆跡を見て)いまめかしき手本習はば、いとよう書いたまひてむ、と見たまふ。
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さかりにならば、かたちもかぎりなくよく、髪もいみじく長くなりなむ。
D 例文の解釈
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この上なく上品で美しい玉のような男の皇子までお生まれになった。→文法:の=比喩の格助詞・さへ=添加の副助詞
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夢にたいそう清らかに美しい僧で、黄色の地の袈裟を着た人が現れて、→文法:の(同格の格助詞)
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むやみに(酒を)飲ませてしまうと、きちんとしている人もたちまち狂人となって、
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優美で上品なもの。細やかで美しい君達の直衣姿。
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無心な空の様子も、ただ見る人によって、優美にもぞっとする感じにも見えるものであるなあ。→:文法:けり=詠嘆
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一人は身分が低い男で貧しい者を、もう一人は身分が低い男を持った。
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四十歳くらいで、たいそう白く、上品でやせているけれど、
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体裁悪く連れ添っていらっしゃるのも、人の手前恥ずかしいだろう。
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戦陣に笛を持っていく人はまさかあるまい。身分の高い人はやはり優美だなあ→文法:じ=打消推量(よも~じ)・けり=詠嘆
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やはり事の様子が優美に思われて、物陰からしばらく見ていると、
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紫草の色のようにつややかで美しいあなたを憎らしく思うなら、人妻なのに私が恋しく思うだろうか。→文法:めやも=三語からなるが、連語として反語と覚えてしまおう。
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現代風な手本で習ったら、とてもうまくお書きになるだろう、と御覧になる。→文法:ば=仮定条件・て=強意
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年ごろになれば、顔だちもこの上なく美しく、髪もきっとたいそう長くなるにちがいない。→文法:な=強意