このページは高校生の古典の学習を意図してつくったものです。
古典文法公式11:助動詞:まし
A・基本知識:覚えるべきポイント
1:「まし」は反実仮想・ためらいの意志、希望がある。また、中世以降は単に推量の意味で用いられるようにもなった。
2:反実仮想は事実と反することを仮に想定するということである。英文法の仮定法をイメージするとわかりやすい。「もし~だとしたら~だろうに」と意味を取る。解釈する場合は「~だろうに」の「に」に実現不可能な気持ちがこもるので、そこまで正確に解釈したい。また、提示されている「反実」に対して「事実」は何であるかも考えたい。
3:反実仮想は、仮想の条件を伴う形で次の四つの呼応関係を押さえたい。A:未然形+ば・・まし・B:せば・・まし・C:ませば・・まし・D:ましかば・・まし。「鏡に色かたちあらましかばうつらざらまし」「世の中に絶えて桜のなかりせばば春の心はのどけからまし」などのように用いられる。
4:「まし」には他に、「しやせまし。せずやあらまし」(しようかしら、やめようかしら)のように、ためらいの意志・実現不可能な願望の意味があり、この場合には疑問詞や係り結びなど疑問表現とともに用いられる。
■→接続と活用:未然形接続の助動詞。活用は特殊型(ましか・○・まし・まし・ましか・○)なので覚える必要がある。
B・基本問題:意味・口語訳を確認!
ア:鏡に色かたちあらましかばうつらざらまし
イ:世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
ウ:わが背子と二人見ませばいくばくかこの降る雪のうれしからまし
エ:これになにを書かまし
解答
ア~ウ:反実仮想・エ:ためらいの意志
ア:鏡に色や形があるとしたら、映らないだろうに
イ:世の名全く桜がなかったとしたら、春の心はどんなにのどかだっただろうに
ウ:夫と一緒に二人で見ることができたとしたら、この降る雪はどんなにかうれしかったことであろうに。
エ:これに何を書こうかしら。
C・入試問題
■ 次の文を現代語訳せよ。
(和歌をほめられた藤原公任がこう述懐する)さてかばかりの詩(漢詩)を作りたらましかば、名のあがらむこともまさりなまし。くちをしかりけるわざかな
解答
これほどの漢詩を作ったなら名声のあがることも今以上であっただろうに