ゴールデンカムイがこんなに壮大なエンターテイメントの面白さに満ち満ちていたなんて、映画公開中に気づけて良かったです。
カムイといえば、あのダークな抜け忍のカムイが強烈に頭にあった私、アイヌとか明治の時代背景とか、どうなんだろう??
で、絵柄ももろ少年マンガだし…
が、
「セクシー田中さん」の一件で、ある漫画家さんが、原作の実写化が上手くいっている作品があるとして、映画「ゴールデンカムイ」を挙げたのです。
そこで初めて食指が動きました。映画どんなんかなあと
玉木宏は良しとして、主演が山崎賢人っていうのが、キングダムを連想すると…
ところが不思議なもので、CSでアニメ「ゴールデンカムイ」を一挙放送しているのを見つけました。
一期と二期は終わってしまっていて、三期と四期を録画できました。
ちょっと見てみるかで三期の始めを見だしたものの、やっぱり前がないと話がさっぱりだったのでU-NEXTを探すと、ありました。
一期から四期まで。
各期に30分弱で12話あり、一期毎にトータルで約6時間かかります。「呪術廻戦」みたいな構成ですね。そしてかなりのボリューム
原作コミックは31巻で完結したとのことですが、アニメの四期で描かれているのは25巻くらいまでで、
残り最終巻までとなるアニメ五期は今年の秋まで待たないとダメと分かりました。
いや、これは待てないです
チマチマ隙間時間で1話から見始めて、やめられない止まらないの拍車がかかって、49話一気見してしまいました。なんて面白いんだ‼️
めちゃくちゃ引き込まれるじゃないですか
「ゴールデンカムイ」
「呪術廻戦」も「鬼滅の刃」も面白く見たし、呪術はコミックも買いましたが、また全然違う魅力に溢れていて、断然私好みだったとアニメ観て初めてわかったのです。
北海道が舞台で、スケール感あるアイヌの金塊探し冒険譚なんですが、主人公の杉元佐一はその荒涼たる北の大地がよく似合う。
日露戦争を生き延び、幼馴染の梅子の目を治すために一獲千金を狙ってて、
窮地に陥ったとき
「俺は不死身の杉元だあ!」
と雄叫びをあげて自らを鼓舞。
戦場で生きるために何人もの命を奪ってきたのはやむなしとしても、一旦火がつくと放たれた狂犬さながらに牙をむく。その闘いっぷりは容赦なく、そのくせふと見せる憂い顔や純な優しさ。それをまだ大切にしたいと思うが故なのか、バディを組むことになったアイヌの少女アシリパを命がけで守るという杉元。
惚れてまうわなぁ、アシリパちゃん。
いろんなバディものがあると思いますが、アイヌの少女アシリパはまだ12歳くらいで、杉元だって最初はもう少し年齢上かと思ってたら24歳くらいだそうで。。
それにしても一回りくらい離れているのに、アシリパは杉元を「杉元っ」と呼び捨てにして、
杉元はアシリパを「アシリパさん」と呼ぶ。
この関係性がとても新鮮でいいのです。変なロリコン臭もまったく無し
ヒグマに襲われたところを助けてもらったアシリパにはアイヌの知恵がギュッと詰まっていて、それを杉元は尊敬するから「アシリパさん」と呼ぶのでしょう。
「手を汚すのは自分がやるから知恵を貸してくれ」
とアシリパにバディを組むのを持ちかける杉元の声(小林親弘)がね、これまたすごく素敵でして、、
だからもうちょい落ち着いてる歳かなと感じたのですが、シリアスなセリフ言ってるときの杉元にはゾクゾクします。
後に烏合の衆(杉元曰く)の一員になる白石に
「お前の犬か」
とアシリパを侮蔑されてキレる杉元を
「慣れているから大丈夫だ」
と制すアシリパ。
杉元は拳を下ろしてポソリ
「慣れる必要なんてないんだよ」
ここかなり萌ポイントでした。
アニメから入ったのは私には正解でした。他のキャラクターも声優陣がハマり過ぎてて。
個人的には尾形(津田健次郎)と、アイヌの女性インカラマッ(能登麻美子)が、声で魅力倍増です。
鶴見中尉も土方歳三も、途中退場したキロランケも鶴見チルドレンの月島軍曹も鯉登少尉も二階堂ツインズも宇佐美も皆すごくキャラに合ってて、濃すぎてイキイキしてるから、コミック読んだときには楽しさマシマシでしょうね。
ストーリー展開も油断できないです。普通なら単純な対立関係の線引きで進んでいくのでしょうが、杉元チームと鶴見軍団に土方一派が入り乱れての三つ巴は目が離せないし、
そこにアクの強ーい囚人たちが次々と登場しては絶命して、それぞれが人生背負ってここにいる上にその物語が途中語られたりするのですが、それがまたなんともいえない人間ドラマで、目頭熱くなったりします。
すごいですね、野田サトル先生。
北海道のご出身らしく、肌が覚えている空気感ってあるんだろうと思います。
北海道の歴史や時代考証など、もちろんかなり念入りな取材に基づいてに違いないのでしょうが、二百三高地とか八甲田山とかを映画で知っていても、新鮮な興味深さが沢山あり、
特に未知のアイヌの伝統や文化、自然と共に生きる暮らしにも触れさせてもらって、文明に浸されきってる俗人は羨望の眼差しを向けることしかできないです。今だからこそ、これほどの吸引力もあるのかなと思う次第です。
全体を通して切ったはつった飛び散ったのバイオレンスがとどめ刺しても浄化があるし、随所にギャグをかましてくるから重苦しさもふっと和むのがクセになりますね。さっきまで眉間に皺よりそうになってたのが締まりなくニヤついてしまう。
ふつうなら下品極まりないようなやり取りもいやらしさを全然感じなかったり、笑い飛ばせたりするのは、こちらまで食欲そそられるような生を礼讃するアイヌ食文化が健全に描かれてることで、性も裸も丸ごと健全な人間って思わされるからでしょうか。
リスの皮を服脱がすように丸ごと剥いで骨も肉もチタタプ言いながらミンチにしてつみれ汁にするし、新鮮な脳みそもうまそうに食べてヒンナヒンナ言うあどけない少女が「ウ◯コ」とか「チ◯ポ先生」とか「ボ◯キ」とか口にしても、アッハッハになるのだから、恐るべしゴールデンカムイ。
時代や設定としても大掛かりな武器はなくて、銃や刀での戦闘シーンやリアル拳の肉弾戦ばかりでも、迫力に欠けるなんてことは全くなくて、杉元の狂気を孕んだ目は鳥肌モノです。
なぜか野郎どもが裸体見せることも多く、鍛え抜かれたマッチョには見惚れます。笑
怒涛の展開と息を詰める瞬間の混ざり具合も絶妙で、刀の持つ鋭い妖力みたいなものも大きいかなと思ったりします。
函館で死に損なった土方歳三が時代遅れと軽口叩かれても意に介さず、「幾つになっても男子は刀を振り回すのが好きだろう」と返します。
これは土方歳三だから決まるというものですね。
金塊のありかを示す暗号が24人の囚人の上半身に彫られた刺青で、皮を剥がして集めていくというのがそもそも気色悪すぎなんですが、
登場人物みんなシリアスだけではなく、どこか愛嬌があるというのも種々に厚みのある人間ドラマを構成していて、そこにハマるようです。
杉元は普段の言葉遣いにどこか可愛いらしさもあるんですよね。なのに、ここぞとなると鬼神に変容。そのギャップはたまらんです。
そしてアシリパとの信頼関係も冒険が進むにつれて揺るぎないものになっていき、そこに育っていくサブストーリーもめっちゃ気がかりな要素。
アシリパの父の秘密を突き止めるために辿り着いた網走刑務所で杉元がスナイパー尾形に撃たれ、生死も不明のまま、アシリパは白石や父の旧友キロランケたちと樺太へと旅を続けるのですが、杉元はやっぱり不死身で、三期の最後に二人はオホーツクの氷上でやっと再会。ここはかなりの胸熱ものでした。
ぎゅっと抱きしめ合って動かない二人
どう見たってこれは…
とポワポワ気持ち漂う私。
白石のツッコミもあって、やっぱり…
と浸ろうとするも
メガトン級のギャグで場面転換。
この笑いのセンスには脱帽です
アシリパはこの旅を通して顔つきは少女のそれになり、杉元への気持ちに変化が生じていることが見え隠れするようになります。
杉元は気づいてないし自覚もないけど、アシリパはすごおく大切な存在なんですよね。
四期の終盤で登場する海賊房太郎がそれを鋭く嗅ぎ取り、かまをかけるようなこと言います。こういう人もいてくれなくっちゃおもしろくないのですが、それによってアシリパの覚悟を確認することにもなりました。
「そういうのは今はいい」
アシリパは自分に言い聞かせるようにそう言うのです。12歳の女の子のセリフは胸にグッときました。
杉元は深く考えずに金塊探しの相棒としてアシリパを選び行動を共にするのですが、欲にくらんだ大人たちの金塊争奪戦に巻き込んだことを後悔するようになります。アイヌを知ることで尚更アシリパの高潔さを穢したくないという思いが強まるのです。
アイヌの未来を背負うのはアシリパでなくても良いはずだと杉元は言います。
アシリパとはアイヌ語で「未来」とかいう意味らしいのですが、父親から託されたものが幼くて理解できなかったのが、旅を通じて自分の役割を自覚するようになっていくのです。
アイヌの信仰では、神が天から下ろすものに役割がないものは何もないということです。
四期の終わりは自らの意志でアイヌの金塊を探し当て、アイヌの未来を築いていく覚悟を口にします。カッコ良すぎるアシリパちゃん。
早く続き見たい!
どこへ着地するのか、見届けたい!!
で、とっても迷ってます。半年以上待つか、それとも完結をみたコミックに手を出すか。。。
アニメは画面に展開する山や森、川、そして街並みなどの色出しがとてもクオリティ高いです。そして人物がピッタリの声で動き、絡み合っていく。音楽の効果も大きいから、それらを楽しむために待てるかなあ、というところです。
多分無理…
実写映画公開記念ということで、YouTubeで1期は無料視聴できるようです。
あとはU-NEXTとアマプラで1〜4期が見られます。会員の方なら見ない手はないですね。
次は映画。
実写化成功例ということで期待パンパンに膨らんで見ました。
確かに原作リスペクトというのが感じられました。といってもコミックは未読なんですが、アニメ基準にしてもいいかと思います。
かなり忠実に実写化されていました。そして、映画ならではの手に汗握る見せ場もありました。
監督はグッズをコレクションするほどの原作ファンらしいです。愛があるってことですね。おっきいですよね。
山崎賢人は予想以上にすごく健闘してました。
が、
私にはやっぱりちょっと薄味というか、噛みごたえが弱いというか。眼光の鋭さがもっとほしいかなぁ…
山田杏奈のアシリパは合ってました。ぷくぷくした感じも
その他のキャラも再現度としてはかなりのものでした。玉木宏の鶴見中尉は言うまでもなく、舘ひろしの土方に、ひょうきん白石もピッタリ。
でも欲を言えば、
全てアニメ声優陣で吹き替えやってほしいとなるのです。それくらいアニメは完璧な布陣でした。
あっ、玉木宏は玉木宏の声でないと違和感ありまくりですね。
実写化に当たっては杉元を誰にやってほしいかというアンケートも実施されたらしく、1位が長瀬智也だったらしいですね。あと鈴木亮平とかも上位だったとか。
私もアニメ見てなかったら長瀬智也に一票かも。でもワイルドが勝ちすぎのような気がしないでもなく、杉元の微かにしろ繊細な乙女の部分はほしいんですよね。
ということで
鈴木亮平は違う!となります。
じゃあ誰?となると…
うーん、難しい。
強いて言えば横浜流星かなぁ。。。
いやいや
やっぱり
山崎賢人くんに頑張ってもらうしかないです。
映画版は原作の5、6話くらいまでということで、終わり方も明らかに続編を匂わせる感じだったし、今後少なくとも2作くらい予定があるとか。
インディジョーンズみたいにシリーズ化というのは大賛成。
山崎賢人くんには2作目3作目と演じ続けていくことで杉元が降臨したかのようになっていってくれるのではないかと期待します。
白いオオカミやヒグマがCGでしたが、チャチさはかなり薄くなってますね。日進月歩のありがたさよ。馬は本物を使ってたのかな。
最後に
「撮影に際し動物には危害を加えていません」的なテロップが流れてました。時代ですね。
社会通念として過去はOKだったものが今はNG。
アップデート必須ですね。
その意識にも十分応える面白さがゴールデンカムイにはあると思います。
よくこれだけの作品を無から産み出せるものだとつくづく驚嘆します。すごいです。
野田サトル先生はもちろんですが、漫画という表現の素晴らしき世界を享受できる幸せに、自分の好みを超えて改めて全ての漫画家さんたちに感謝の気持ちと敬意を表したいと思うのでした。作品は残ります。
最後までお付き合いいただきありがとうございました😊