色にいでにけり  | soralibro

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通勤時の読書の備忘録です。

坂井希久子さんの新たな時代物シリーズ「江戸彩り見立て帖 色にいでにけり」

 

以前読んだアンソロジーに載っていて、続きが気になっていた作品でした。

日蔭町の長屋に住むお彩は天性の鋭い色彩感覚を持っていた。腕のいい摺師だった父辰五郎は工房が火事になり失明してしまい、弟子も散り散りになり、今は酒浸りの生活でお彩の縫物の内職だけでなんとか生活していた。ある日絵草紙屋の店先で錦絵の色に文句をつけていたお彩に目をつけた謎の京男右近に菓子屋の意匠について相談に乗ってほしいと強引に頼まれる。それから右近が持ち込む様々な難題を解決していく。
 
次々とでてくる色の名前に戸惑ってしまいました。歌舞伎や錦絵にちなんだ色や着物の柄などもふんだんに出てきて、知識不足で全く思い浮かべられず、ネットで調べながら読みました。日本は色の名前が多い。ネットで見ていた「日本の色 伝統色のいろは」には489色もの色の名前が紹介されていました。
厭味なほどの京ことばの右近に反発しつつ、色のこととなるとついアイデアが浮かんでくるお彩。右近はお彩の大家や父辰五郎までうまく取り入りお彩に難題を解決させようとします。最後に右近の正体がほぼわかり、正式に仕事として働くことを依頼される。父親は右近の紹介で仕事をすることで少し立ち直り、許嫁も訳ありで離れていったよう。色々と伏線を残しておしまいでした。
3巻まで出ているようなので、また続きを読んでみたいと思います。色も着物ももう少し勉強したい。