占い処陽仙堂の統計科学 | soralibro

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通勤時の読書の備忘録です。

二宮敦人の本は久しぶりです。二宮敦人の作品で扱う職業は多岐にわたっています。鉄道員、医者、数学者などなど。そしてどれもよく調べて書かれているように思います。マニアックなのか、凝り性なのか。

 

今回は占いでの謎解きミステリー「占い処陽仙堂の統計科学」

11年前に行方不明になった妹晴菜を探す喜一はすべての手がかりを失い、すがる思いでよく当たると教えられた四柱推命の占い師ヨーセンを探す。ヨーセンのブログから探しあてた占い師は白衣を着た大学院生の恵水だった。四柱推命で占った鑑定結果を頼りに晴菜を探す恵水と唯一の友人芙蓉子だが、深い悲しみと絶望で家を出た晴菜をみつけるのは容易ではなかった。
 
女子大生らしい軽いタッチのブログが時折挟み込まれる形で始まった小説なので、軽いミステリーかと思ったら、内容は結構ハードでした。四柱推命に関してはかなり詳細に説明されていて、鑑定結果もはさまれています。見てもわからないけど。
占い全般に関する考え方、良い占い師の見分け方なども書かれていてなんか納得できる意見でした。恵水は四柱推命は古代中国からの長い年月で得られた統計から成っているという考えの流派で、自身も数理解析を専攻している。もう一人登場する占い師は水晶玉を使う直感型、俗に言うスピリチュアル系。占いも占い師も色々です。
人の運命は生まれた日時で定まっているとする四柱推命ですが、自分が強く望めば運命をも変えられる、芙蓉子や喜一との衝突や祖父の教えからそれを学び、読みとっていく恵水は晴菜を探し当てます。
文章と軽さ、占いの奥深さ、話の根底にある重さと気味悪さ。それらがうまく合致できてなくて、全体にちょっと雑な印象はあり少し残念でした。