樹原アンミツ「東京藝大仏さま研究室」
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東京藝大を扱った本は二宮敦人「最後の秘境東京藝大」がとても面白かった。藝大の音高、美高各部を詳しく細かくインタビューしたもので、日本最高峰の芸術大学生の生態がよくわかり、やはり並の人では入れない大学です。
こちらの本は東京藝大大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室、通称「仏さま研究室」の修士生4人の話です。人物やエピソードはフィクションですが、研究室は実在し、研究や実作業は現実に即したものです。
修士課程の卒業制作は模刻制作。実像の仏像と同じものを制作当時と同じ技法でつくることです。
4人はそれぞれ藝大に入った背景や藝大生というネームを背負い、将来の不安を感じながら、制作に取り組んでいく。制作を通じ、またその中で出会った人たちを通じて、それぞれの進路を決めていきます。
4人の制作過程で仏像の説明や制作技法の説明が入っています。それもまた興味深かった。また、研究室の修復への考え方も書かれていて、それを担う若者たちが輝いていました。
日付が変わってしまいましたが、2023年最後に面白い本に出会えました。
今年もたくさん素敵な本が読めますように。