こうして振り返ってみると、

わたしはOくんとの恋愛以降は、

「たすけたい」と感じる人ばかりを愛してきたような気がする。

 

Oくんと別れてまもなく、大学の1つ学年が上のRさんと親しくなり、ほどなくおつきあいをしようという話になった。

 

Rさんも、はじめてのおつきあいだった前の彼女と4年近く交際していたが、数ヶ月前に別れたばかりというところだった。

 

大学生のころは、長い年月をひとりの恋人と過ごしたという体験をしている人が周囲にまだ少なかったから、わたしは自分と似た体験をしているRさんと話すと、どこか安心できた。

 

しかし、まだRさんとの交際がはじまったばかりというタイミングで、

わたしはKくんという別の大学に通う同い年の子と出会う。

 

Kくんは遊び人に見えたが、わたしにはそれは「装っているだけ」のように感じた。

 

なぜかKくんのことが気になったわたしは、

はじめは「そういうのよくないよ」みたいに余計なお節介を焼きつつも、次第にKくんに惹かれていった。

 

「うるさいなあ」と煙たそうにしていたKくんも、口ではそう言いつつも、次第にわたしに心を許していくのを感じた。

 

わたしはRさんにKくんを好きになったことを話し、別れを告げた。

別れると言っても、つきあうことにしてからまだ1か月も経っておらず、なにもはじまっていないに等しかった。

 

今になってようやく、あのときわたしは、より「たすけたい」と感じるKくんのほうへ引っ張られたのだと理解できる。

 

Kくんは、前の彼女にさんざん浮気をされ傷ついていた。

その傷を埋めるかのように、特定の恋人はつくらずに、一夜だけとか、身体だけの関係を重ねていたのだった。

 

しかし実際、わたしとつきあっているときのKくんは、いたって真面目だった。

 

大好きなサッカーと歴史の勉強に打ち込み、公務員としての就職を目指していた。

 

わたしはそんなKくんの影響を受け、自分も公務員の勉強をはじめたのだった。

 

ふたりとも現役では合格できず、公務員浪人をすることになった。

 

大学卒業後は山形の実家へ帰ったKくんから、5月くらいに別れを切り出された。

 

約1年の交際ではあったが、出会ったときの「遊び人」のイメージはその頃にはすっかり消え去っていた。

 

当時は、より「スリル」を感じたKくんに惹かれたと解釈していたが、

実際は、より「たすけたい」と感じたから惹かれたのだなあ。

 

ちなみにRさんは、こんな身勝手なわたしのことも受け入れるような、優しいひとだった。

こんなことがあったあとも、友人としてのつきあいを続けてくれた。

わたしもつい、困ったことが起こるとRさんを頼ってしまうということが、その後も何年か続いた。

Kくんと別れたときは、「思ったより長くつづいたね」と若干嫌味は言われたけど。笑

 

あのときRさんを選んでいたら、わたしの人生はもっと楽だったのかなあ、と考えることがある。

 

今となっては、もうわからないけどね。

 

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