晴れ

 

あと何回このレポを書けるでしょうか。

 

あじさい알앤제이(R&J)

 

学生1:박정원(パク・ジョンウォン)

学生2:황순종(ファン・スンジョン)

学生3:한동훈(ハン・ドンフン)

学生4:배훈(ペ・フン)

 

ジョンウォンさんの「溜め」がめちゃくちゃあったせいで(?)1幕95分という、今期最長の1幕だったこの日。

めっっっちゃくちゃいい公演でした!

 

冒頭で、学生1はお祈りを捧げる他の学生3人を見ながらこっそりその場を抜け出します。その時のジョンウォンさんの眼差しが「ついにこの時が来た。ずっと待っていた4人の夢の時間が来た!」という雰囲気に満ちあふれていて、結論から言うとこれがハッピーエンドに繋がったので、この日の公演はこれ以上ない最高にいい流れでした。

 

 

クローバー冒頭

学生たちが劇中劇を始めるも、まだ「学生が台本を読みながら演じている」感じを全面に出しています。ここでロミオ(学生1)は、マーキューシオ(学生2)を呼び「実はとある女性を愛しているんだ!」と告白します。ここで呼ばれたスンジョンマーキューシオ、ジョンウォンロミオのそばに駆け寄るとジョンウォンロミオと向かい合ってまったく同じ姿勢で立ったので客席大爆笑!スンジョンさんってあんまりこういうアドリブをする方ではないということもあり、びっくりもしました笑。とても細かい点ですけど、こういう遊びが入ることで「マーキューシオ」という役よりも「学生2」という人間の方がこの時点で大きく占められていることが分かります。

 

 

クローバーロミオを探すベンヴォーリオとマーキューシオ

自分の恋した相手がキャピュレット家の娘だと知ったロミオ(学生1)は、自分の身を隠すように逃げます。そんなロミオをベンヴォーリオ(学生2)とマーキューシオ(学生3)が舞台上を走り回って探すというこの場面。どうしても動き回るベンヴォーリオとマーキューシオに目が奪われがちなのですが、学生1も必ず観ていただきたいところです!台詞こそないものの、学生1がどのように振る舞うか役者によってまったく違うのです。第三者的な立場として二人の動きを面白そうに眺める役者もいれば、ジョンウォンロミオは、机の下に隠れながら見つからないように二人の動きを注意深く見守っています。

 

 

クローバーバルコニー

ジョンウォンさん自身も気に入ったのか、ジュリエット(学生2)が両手で自分の顔を覆うと、そのあまりの可愛さに衝撃を受けたロミオ(学生1)が懐中電灯を落とす演出。ジョンウォンさんのオリジナルなのですが、最近毎回やってくれます笑。それからジュリエット(学生2)を指差しながら「(客席に向かって)見て見て〜!!」というテンションが毎回毎回面白すぎて客席も笑いをこらえられません。ここ、別に笑うシーンではないですし、初演も再演も笑ったことなんてないんですけどね。

 

お互いの存在を認識したロミオ(学生1)とジュリエット(学生2)は密会し、お互いに自分の気持ちを告白します。

このときのスンジョンジュリエットが完璧にいい!!!

スンジョンさん演じる学生2は、感情が抑圧されてきた人生であることがすごくよく分かるので、この密会シーンでロミオ(学生1)に対して自分の気持ちを爆発させられる喜びが誰よりも大きく見えるのです。自分の感情を表現できることへの喜びがあり、またそのような感情が自分の中に存在していたこと自体をも喜んでいるように見え、だからロミオ(学生1)に告白する瞬間にテンションが振り切れる理由が納得できます(因みにこの告白の瞬間のスンジョンジュリエットがめちゃくちゃめちゃくちゃ、もうめっちゃくちゃ可愛い)

お互いの気持ちを告白しあった後、しばしロレンス神父のお説教を聴きにいったはずのジュリエット(学生2)はすぐにその場を抜け出してロミオ(学生1)の元へ戻ってきます。その時、ロミオの後ろから近づきながら彼の左手に自分の手を添えるのは既定の演出なのですが、スンジョンジュリエットは両手でしっかりと彼の左手を握ります。めっちゃ萌える・・・。何その可愛いジュリエット・・・・・・・。愛に溢れすぎてるスンジョンジュリエットめっちゃきゅんきゅんします・・。

 

 

クローバー乳母のお遣い

9時にロミオ(学生1)の元へ遣わせた乳母(学生4)の帰りを待ち焦がれるジュリエット(学生2)。この日は学生2と学生4がカンパニーの末っ子ペアだったということもあり、もうお互いやることがいちいち可愛い笑!!!!そしてめちゃくちゃ笑わせてもらいました。マンネペア最高w

学生1が学生2の「愛」という感情そのものを引き出せば、学生4は学生2の「感情の波」を引き起こす存在であり、スンジョン学生2の表情がいろいろな感情を経て段々と豊かになっていく過程がよく見える場面であります。

 

 

クローバー結婚式

冒頭で、この日のジョンウォン学生1は「ついにこの時が来た」という雰囲気であったことを述べました。そしてこの結婚式では「ついにここまで来た」という喜びが全身から溢れていて、学生1の願望が少しずつ叶えられていってることに、学生5(この演劇において、観客はしばしば学生5と例えられます。)として胸がいっぱいになってきました。

しかし「愛」というものにくすぐったさを感じる学生3と学生4は結婚式の進行を妨害し、その過程で学生3は思わず学生1の頭を本で殴ってしまいます。頭を叩かれた衝撃で一度は床にうずくまる学生1なのですが、自分のやりたいことがはっきりとしている学生1はすぐに姿勢を直して一心に学生2の目を見つめます。この時のジョンウォンロミオからは「簡単にいかなくても、絶対にここで終わらせない」という意志の強さが見て取れ、学生3がその雰囲気に少し気圧されたようにも感じられた日でした。

こうして学生1と2の本気度を理解した学生3は

 

「진실한 두 사람의 결혼에 어떤 이의제기도 용납되지 않는다. 변화를 따르는 것도, 움직여 가는 것도, 사랑이 아니므로. 」

(真実の二人の結婚にはいかなる異議申し立ても許されない。変わっていくことも心が移ってしまうことも愛ではない。)

 

とロミオ(学生1)とジュリエット(学生2)を祝福すべくソネットを唱え始めると、学生2がその続きを言いながら学生3に手を伸ばします。この時のスンジョン学生2の表情がとても穏やかで幸せに満ちた感じでして、この学生2の人生がもし抑圧されたものでなかったのならば、きっと普段からこういう顔を見せていたんだろうと思わせられて気づけば泣いていましたわたくし。。

 

こうして物語の最高潮を迎えた瞬間、学生たちを現実に引き戻す鐘の音が鳴り響きます。ここでジョンウォン学生1は、自分のベストのエンブレムを掴みながら他の3人にこの場へとどまるよう訴えかけけます。

この演劇においては、学生たちが身に着ける制服も指輪も彼らを抑圧する象徴として扱われており、ジョンウォン学生1はおそらくそのエンブレムを引きちぎってしまいたかったのだろうと思っています(衣装だからできませんけどね笑)

すると、スンジョン学生2もジョンウォン学生1に完全に答えるように自身の制服のエンブレムを掴みながら立ち上がり、先にネタバレしてしまうと、2幕のラストシーンでもフン学生4が自身のエンブレムを掴んだという流れが出来あがりました(なんですが、私はラストの学生4が見えなかったので他の方のレポによれば、です・・)

 

 

クローバーロミオの追放(1幕ラスト)

ティボルト(学生4)を殺害してしまったことにより、追放となるロミオ(学生1)。

以前にも書いた内容と重複しますが、領主が下す「ロミオを追放する!」という判決を敢えて学生1(ロミオ役)に言わせるという演出である故、学生1がどういう言い方をするのか注目すべきポイントになります。ジョンウォンさんはこれまでずっと「ロミオ」としてこの台詞を弱々しい声で言っていたのですが、この日はなんと「領主」としての台詞!うそん!びっくり!彼の中で何がどう変化してこの日は領主になったのかめちゃくちゃ気になります。知る由もないですが。。

 

 

クローバー2幕

ロミオ(学生1)が追放されたことにより、ジュリエット(学生2)はパリス伯爵との結婚を勧められます。しかし当然受け入れられないジュリエットはその提案に反発し、折檻されます。このシーンは、学生2の反応が役者によってまったく異なるところであり、スンジョンジュリエットは叩かれる瞬間一切目を瞑りません。今まで感情を抑圧されてきた彼には、最早恐怖などというものは存在しない。あるのは絶望のみ。「ああ、やっぱり自分の人生はこういうもんなんだな」という学生2としての絶望感。

そんな学生2とは対照的に、自身の内面に潜んでいた暴力性が表面化する学生3。学生1は、最初こそその暴力性に衝撃を受けますが、最終的には学生3の行動をとめに入ります。この時、基本的に学生1に台詞はなくただ黙って学生3の行動を制止するのですが、最近のジョンウォン学生1は声にならない声を上げるようになり彼の必死さがとても伝わってくるようになりました。各学生が抱える痛みがそれぞれに違うけど、どれも違うつらさがある。

そんな学生たちの叫びが

 

「제 슬픔을 알아줄 자비의 신은 저 구름 속에도 없는 건가요?」

(私の悲しみを分かってくれる慈悲の神は、あの雲の中にもいないのですか?)

 

という台詞に繋がります。

わたくし、昔はこの台詞が学生2の叫びだと思ってたんですけど、救いを求める学生たち全員の叫びなんですよね。

 

 

クローバー2幕ラストシーン

朝を知らせる鐘が鳴り、学生1以外の3人は現実へ戻り始めます。一人戻ることのできない学生1は、3人を引き止めようと

 

「지금 깊은 밤…!!」

(今は真夜中だ)

 

と泣き叫びます。

そんな学生1に対して、学生2がかける

 

「만약, 네 기분을 상하게 했다면 이렇게 생각해. 어떤 환상이 보이는 동안 잠들었던 거라고. 그럼 괜찮을 거야. 그리고 끝을 내지 않았다고 해서 꿈처럼 헛된 일이라고 절망하지는 마」

(もしきみの気持ちを傷つけたのなら、こういうふうに考えて。ある幻想が見えていた間、それは本当だったんだと。そう思えば大丈夫だ。そして終わらせなかったからと言って夢のように無駄なことだったとは絶望するな。)

 

という言葉。

スンジョン学生2はこの台詞を言いながら一筋の涙を流しました。彼は自分の抑圧された人生がいかに味気のないものか身をもって知っていながらも、その人生に戻ることを自ら選んだのです。それなのにこの涙によってその選択に対する後悔も同時に見えたスンジョン学生2。

人生でどんな選択をしても「違う選択をしていれば」って、現実でも考えることありますよね。まさにそれだったので、自分自身の人生にも重なるこの場面、本当に泣かされました。

 

こうして学生2から宥められるも、3人が離れていくことに耐えられずこの場にとどまってほしい学生1は、最後の切り札的に

 

「우리가 친구라면 내 손을 잡아」

(僕たちが友だちなら、手を握ってくれ)

 

と訴えかけます。
そうして4人が手をつないだところで、学生1の

 

「우리... 이 슬픈 사건에 대해 더 이야기 해보자. 이 세상에서 줄리엣과 로미오의 이야기보다 더 슬픈 이야기는 없으니까」

(この悲しい出来事についてもっと話をしよう。この世にジュリエットとロミオの物語以上に悲しい話はないから)

 

という言葉を聴いたスンジョン学生2がまたここで一筋の涙を流しまして・・・。

「ロミオとジュリエット」の物語を通して悲しみという感情が自分の中から引き出されたスンジョン学生2。

その悲しみが涙として表現されたスンジョン学生2、もうこっちが涙なしに観られるわけがなく、舞台観たいのに視界がめちゃくちゃぼやけて大変でした・・笑。

 

3人が現実へ戻り、舞台上に一人残された学生1。自分も戻るべきなのかと制服を着てノートを手に待ち3人がしたように現実に向かって足踏みを始めるのですが、どうしても気持ちがついていかない。前に向かって行進をしながら自分の後ろに残された「ロミオとジュリエット」の本を振り返り泣き崩れたジョンウォン学生1。この作品にこれ以上ぴったりな学生1の姿はないでしょうと思った瞬間でした。

そしてそんな学生1に3人が力強く劇中劇の台詞を送ります(ここでの3人の言葉が日に日に力強くなっていくのが、これまた学生5たちの涙を誘うのです)

3人から力を得たジョンウォン学生1は、自分を抑圧するものを封印し、ラストは笑顔で赤い布を空中に舞わせながら

 

어젯밤에 꿈을 꿨어!!」

(昨晩夢を見たんだ)

 

自分が待ち望んだ時間を通して3人を引っ張りともに歩み、愛を与え、またもらい、痛みを分かち合ったジョンウォン学生1は確かに殻が一枚破れた最後を見せてくれました。

この回、「알앤제이」という作品として、完璧だったと言っても過言ではないです!