晴れ

天才演出家김태형による傑作です!

あじさい더 헬멧(THE HELMET)

(ROOM SEOULキャスボ)


(ROOM ALEPPOキャスボ)


헬멧A:오정택

헬멧B:김수연

헬멧C:이예지

헬멧D:안창용

헬멧E:김건우



・各エピソードにおける共通項

【ROOM SEOUL】

韓国の歴史を語る上で避けては通ることのできない民主化運動。特に活発であった1980年代後半は、独裁政権に対するデモを行う人々とそれを鎮圧しようとする権力側の対立が顕著に現れた時代でした。
その中でも、デモを鎮圧するためにソウル警察の傘下に設立された"白骨団"は、その象徴とされる白いヘルメットで武装し、権力という名の下に容赦ない暴力を市民たちに振るったことで現在でも強権的な暴力の代名詞として使われています。

【ROOM ALEPPO】
シリア内戦が激化した2012年、爆撃による負傷者、建物倒壊による被害者等を救出するために"シリア民間防衛隊"(通称ホワイト・ヘルメット)がボランティアによって設立されました。設立後はその組織自体が空爆等の攻撃対象となりながらも、これまでに数万人以上の民間人を救ったと言われています。

さて、ここでこの2つのエピソードの共通点に気付かれましたよね。

"白いヘルメット"

まさにこれです。

"ROOM SEOUL"では権力側の象徴として、"ROOM ALEPPO"側では自由の象徴としてそれぞれ描かれます。
またこの作品の面白いところは、キャスト名がそれぞれA〜Eという記号のみによって表され、固有の名前が与えられていない点です。

なぜか?

"ROOM SEOUL"では、民主化運動を進める学生であるEが時を変えると白骨団のメンバーにもなり、"ROOM ALEPPO"ではテロ側の人間にもなります。
"ROOM SEOUL"では白骨団のメンバーであるAは、"ROOM ALEPPO"ではただサッカーが大好きな9歳の少年になります。

時と場所によって人の置かれる立場というのは常に変わり得る可能性を持つ、それを表すために固有の名前を与えなかった、私はそのように解釈しています。


・巧妙な演出による舞台の見せ方
この作品は、"ROOM SEOUL"、"ROOM ALEPPO"ともに、上演中に舞台が可動式のドアによってそれぞれ"BIG ROOM"と"SMALL ROOM"に仕切られます。
仕切られた向こう側の部屋において行われていることは見えず、ただ音のみが届いてきます。それもまたこの2つの時代を象徴する作りだと考えることができます。
"ROOM SEOUL"においては、白骨団に追いかけられていた学生たちが匿われた書店地下の密室(SMALL ROOM)と、そこに通じるまでの隣の部屋(BIG ROOM)。
又は、学生たちが連行された取調室(SMALL ROOM)と白骨団メンバーの待機部屋(BIG ROOM)。
"ROOM ALEPPO"においては、外の世界を知らない9歳の少年の部屋(SMALL ROOM)とホワイト・ヘルメットたちが生存者を探す倒壊した建物(BIG ROOM)。

【ROOM SEOUL】
デモ運動を行なっていた人々が連行された取調室では、公権力により激しい暴力が振るわれていたと言われています(現在その建物は人権教育施設として残されています)。外部との連絡を断つためにあらゆる工夫が施されたこの建物は、まさに舞台上をBIG ROOM/SMALL ROOMで仕切った世界そのものです。
外部からは建物内部の様子を知ることができない、建物内部からは外の世界を見ることができない。BIG ROOM側からは外部にいる人間として、SMALL ROOM側からは連行された人間として、それぞれの世界を擬似体験することになります。


【ROOM ALEPPO】
空爆・サイレンの音が日常の一部となっているALEPPOという都市ですが、9歳の少年にとってはその日常は自分の世界そのものです。日々空爆が激しくなっていく中、学校は閉校となり、両親は"部屋から出ないように"と少年に言い聞かせます。
一方でホワイト・ヘルメットのメンバーたちは、空爆もない、学校にも行ける、ここよりももっといい世界があることを知っていますが、9歳の少年は外の世界に出れば必ず今よりも必ず幸せになれるのかが分かりません。
このように、SMALL ROOM側からは部屋に閉じ込められた少年の視点で、BIG ROOM側からは自由の世界へ人々を導き出そうとする視点で観ることができます。




・役者の演技から見える現実の悲惨さ
実力ある役者さんばかりですから"何を今さら"と思われるかもしれませんが、本作において一部の役者さんは膝パッドをつけた状態で公演します。これだけでも、どれだけ激しいアクションシーンが用意されているのか想像に難くないでしょう。
実際、観客の目の前で警棒による殴打、床を転がり回っての揉み合い、髪の毛を掴んでの引き摺りなどのアクションが繰り広げられます。正直言って、観てるこちら側は気が気じゃありません。もちろん何度も何度も入念に練習を重ねてこられたことは重々承知しているのですが、それでも怪我されないか毎回心配になります。
それと同時に、人間は極限状態において性別など関係のないこと、自分を守れるのは自分しかいないことなどの現実を突きつけられます。


・加害者か被害者か
【ROOM SEOUL】
白骨団のメンバーであるEは、Dとの会話において"こんな(暴力を)やりたくてやってるわけじゃない。上からの命令だから仕方ないだろ"と話します。
市民側から見れば、公権力を盾に暴力を振るう白骨団は加害者に他なりません。一方で、独裁政権時代の警察という組織において、上からの命令に従わないという選択肢が白骨団にあったかと問われればその答えはおそらく"NO"です。

【ROOM ALEPPO】
ホワイト・ヘルメットはなんとしても部屋に閉じ込められた少年を救い出したく全力を尽くします。
"外ではお父さんもお母さんもお友だちもみんなきみのことを待っているよ"
でも外には自分が会いたい人たちがいないことを少年は知っています。"それなのになぜ外へ出なくちゃいけないの?"
シリア内戦における被害者たちを救うホワイト・ヘルメットは間違いなく彼らの味方です。しかしその戦地から救出した後、彼らの先の人生まで幸せを保証できるかと言われるとそれはやはりできないのです。


・観客はどの視点から見るか
上述したように、この作品はBIG ROOM側で観るかSMALL ROOM側で観るかで視点が大きく異なります。また、目当ての役者さんがいる場合は、メインの出演ROOMを知っておく必要があります。
と言うわけで、以下はキャスト別整理です。

【ROOM SEOUL】
BIG ROOM:A,C,D,E
SMALL ROOM:B,C,E

【ROOM ALEPPO】
BIG ROOM:B,C,D,E
SMALL ROOM:A,(B,C,E)

ストーリーとしてはそれぞれ独立しており、どちらから観ても、またどの部屋から観ても内容を理解できる構成となっております。とてもいい作品なので(特に【ROOM ALEPPO】のSMALL ROOMはオススメ。サッカーが大好きな9歳の少年の言葉には心打たれ涙なしでは観れません)

ぜひぜひご覧ください。