晴れ

 

これをラストにしてもいいと思うぐらい、神回でした。そして今期ベストケミ更新。

 

あじさい알앤제이(R&J)

 

学生1:지일주(チ・イルジュ)

学生2:강영석(カン・ヨンソク)

学生3:강기둥(カン・ギドゥン)

学生4:오정택(オ・ジョンテク)

 

 

開幕してからまるまる2か月が経過し、役者間のケミがものすごくいい感じに熟してきました。

 

1幕冒頭・教室シーン

4人で声を合わせて「욕망의! 노예가! 되지! 마라!」(欲望の奴隷になるな)と言わなければならないシーンで、3人より1テンポ早くでてしまったヨンソクくん。この時に「こういうことがある日は何か起こるな」という予感がしたところ、冒頭からビンゴしました笑。学生2が学生1から奪った本を勢い余って床に落としてしまったり、ジョンテクさんが本を手に取らなければならない時に、足元にある本を見つけられずに一瞬「あれ?」ってなってしまったようなことも。

 

 

1幕冒頭・ベンヴォーリオとロミオの会話

ロミオ(学生1)が

 

「実は、俺はとある女性を愛しているんだ!」

 

とベンヴォーリオ(学生2)に打ち明けると、二人は客席中央の辺りまで勢いよく走っていきます。その位置からベンヴォーリオは、舞台上にいる学生3(ここはマーキューシオでいいのですかね。そうすると学生4は誰なんだ、という話になりますが。)に対してキューピッドの矢を放つ真似をします。本来であれば。しかしこの日はいつぞやのリプレイ!キューピッドの矢が学生4に対して放たれました笑。前回同じようなことが起きた時、ジョンテクさんはあまりに無茶振りなアドリブに対応できませんでしたが、今回は自分の胸に刺さった矢を抜き、近くにいる学生3に対してその矢を投げると見事学生3の胸に刺さりました笑笑。なんて完璧な連携プレーㅋㅋㅋ

 

 

1幕中盤・ジュリエットの寝室

キャピュレット夫人(学生3)と乳母(学生4)により、ジュリエット(学生2)はドレスを着せられます。が。この日は過去最低レベルを更新するぐらい赤い布の巻き方が酷いものでした。ヨンソクくん可哀想よ・・。夫人と乳母がジュリエットの身体を巻こうにも、巻くことができたのはジュリエットのお尻より下の部分のみという酷さ笑。なんでそうなるwwwその状態から無理やりジュリエットの肩の辺りまで布を引っ張り上げて上半身にもドレスを着せましたが、無理すぎていくら布を引っ張りあげてもジュリエットの肩がさらけ出されてしまう始末。初演含め、ここまで下手くそなドレスはこの回が初めてでした笑。それでも巻き終わりの最後には「まあっ、できたわ!」と拍手する夫人と乳母のテンションの高さは変わらず、それが余計に笑いを誘ったような感じでした。

 

 

1幕中盤・舞踏会

ロミオ(学生1)とジュリエット(学生2)が初めて出会います。ロミオがジュリエットの手にキスをすると、ジュリエットは思わず立ち上がってその場を離れます。その行動を「避けられた」と思ったロミオもまた、その場を去ろうとします。そこで

 

「선량한 순례자님!」(善良な巡礼者様!)

 

と、ロミオを呼び止めるジュリエット。この時のヨンソクジュリエットの声がやたらと大きい。再演初期の頃はこの声の大きさが何を意図しているのかわかりにくかったのですが、最近はとてもしっくり来ます。

舞踏会でロミオと初めて出会ってからのヨンソクジュリエットは、「戸惑い」の気持ちが全面に現れています。これはもちろん「ジュリエット」としてだけではなく、「学生2」として学生1との距離が急激に近くに感じられるようになったこと、それがどのような気持ちなのか自分ではわからないゆえのように見えるのです。

学生たちは、「ロミオとジュリエット」という物語を通して今まで知らなかった感情を知るようになる、というのがこの作品におけるテーマの一つです。学生2は、その過程をまさにこの瞬間踏んでいるわけです(まあ他の学生たちもそうなんですけれども)。

自分で理解できない感情が自分の中に芽生え、それをどのように処理してよいのかわからないヨンソクジュリエットが、ロミオを呼び止めるために思わず大声を出してしまう、という一連の流れは人間の本能活動のようにすら見えます。

実はこの台詞の後の4人の行動が初演とは大きく変わっています。再演では、ジュリエットが言うこの台詞に対し、ロミオだけでなく舞台両サイドにいる学生3および4も反応します。その反応に焦った学生1及び2は「あ・・・、別に何もないで、大丈夫大丈夫。」という仕草で返答します。その返事に安心した(?)学生3及び4は再び学生1及び2から目を離し、舞台上では物語の続きが繰り広げられます。このように物語と現実の交錯が非常に難しくなったのが再演の特徴。初演はこのシーンで学生3及び4が反応することはなく、それゆえ1及び2は現実に戻ることなくずっと物語を続けていました。

なぜこのシーンがそのように変更されたのかはわかりませんが、個人的には考えることが増えたので難しいけど面白い。物語の沼へ入っていこうとしている学生1・2とまだ入り込めない3・4の対比なのか、学生3・4を障害物の例えにしているのか様々な見解が持てそうですが、私はここは単純に学生1・2と3・4との対比と見ています。この対比が後述する結婚式シーンにも繋がると思うので。

 

 

1幕中盤・ロミオの探索

ヨンソクくんの運動神経の良さが発揮される時間です(贔屓目)。

ロミオを探しながら大声を出すマーキューシオ(学生3)を黙らせようと、ベンヴォーリオ(学生2)は逃げ回るマーキューシオを追い掛け回します。ここ、マーキューシオはベンヴォーリオに捕まらないようにうまいことかわしながら逃げないといけないのですが、この日のギドゥンマーキューシオ、がっつりとヨンソクベンヴォーリオに捕まりましたwww初演でもこのハプニングはありましたけど、実際目の当たりにするとやっぱり笑わずにはいられない笑。

 

 

1幕中盤・バルコニー

バルコニーでの出会いから一時休戦状態に入った学生1と2。

お互いの手を握ろうとするロミオ(学生1)とジュリエット(学生2)は、それを学生3と4に邪魔されると寝たふりをします。この時のヨンソクくん、体勢は寝ているのですが目をつぶらずにずっと懐中電灯をいじっているのです。拗ねているようにも残念がっているようにも見えるこの仕草、この回で初めて気付きました・・。この仕草は学生2としてなのかジュリエットとしてなのか質問したら、おそらく「両方」って言われると思うのですが笑(他のシーンで同じ質問をした時にこのような回答をもらいました。)、そのどちらとも取れる仕草を入れてくるあたりが憎い。うまい。大絶賛。

 

ロミオを自分のいる側へと導いたジュリエットは、舞踏会以来再びロミオと正面から向き合います。ジュリエットが

 

「誰の案内でここまで来たのですか」

 

と聞くと、

 

「愛です。愛がここまで案内してくれたんです。」

 

と答えるロミオ。以前にも書きましたが、この時、イルジュさんロミオはジュリエッ

トの手をぎゅっと握り締めます。しかしまだ「戸惑い」の気持ちが完全に拭いきれていないヨンソクジュリエットは、その手を握り返すことができません。しかしロミオの言葉を聞くうちに段々と気持ちが動かされ、ついに手を握り返すようになります。この数秒の過程が私は大好きで!物語に入り込みたい学生1と、一歩を踏み出すことに勇気が必要な学生2の対比とも捉えられるシーンです。ひー、おもろ。

 

 

1幕中盤・ロレンス神父の司祭館

ジュリエット(学生2)との結婚を取り持って欲しいと神父の元へやってきたロミオ(学生1)。しかし、あれだけ熱を上げてたロザラインはどうなってん、と神父はロミオの心変わりに呆れ返ります。

このシーン、イルジュさんロミオ×ギドゥンくん神父(学生3)だとガチのプロレスになることも珍しくありません笑。←仕掛けるのは決まってギドゥンくん。

ですが、この日はプロレスに比べたらだいぶおとなしかったと思います。相変わらずロミオの腕を意味もなく必要以上にペチペチ叩くギドゥンくんは、もうとにかく叩きたくて仕方ないんだろうなwギドゥンくんがやる気満々の時は、プロレスになる前に両腕をぐるぐる回して準備体操を始めるので、その仕草が出たらプロレスが始まる合図です←

このシーンでも単なるロミオと神父の会話というだけでなく、学生同士の取っ組み合いという要素がふんだんに盛り込まれてます。会話は物語のものだけれども、行動は完全に学生のもの。

舞台上でやりあう二人もとても面白いですが、それを客席から眺めてるヨンソクくんも学生でありながらジュリエットであり、密かに観るべきポイントです。

 

 

1幕中盤・遣いから帰って来た乳母

ロミオに結婚式の詳細を聞いてくるようジュリエットから遣いに出された乳母(学生4)がジュリエットの元へ帰って来ます。

公演を重ねるごとにジョンテクさんの小技が隅々にまで効いてきて、ジュリエット(学生2)が「(乳母は)なぜまだ帰ってこないの!?」と一人で騒ぎ立ててる時に、舞台袖からスキップしながら舞台客席に出てきたかと思えば、舞台客席の間に置かれている机の上に寝転がったり(最近よくやる)、舞台客席の間に隠れたり(これはジュリエットが乳母を見つけられなくなるので、学生2役の人間がガチで戸惑うやつ←)、こちらとしたら、もうジョンテクさん大好きです!と叫びたくなります(心の中では叫んでる)。やっぱり学生4って、4人の中でも特に楽しいことが大好きなんですよね。人を楽しませたいという、人を思う気持ちが誰よりも強い。そんな性格がこのシーンでも表れているようです。ジョンテクさんにぴったり(知らんけど)。

遣いから帰ってきたにもかかわらずなかなかロミオの返事を教えてくれない乳母にジュリエットは半ギレになりつつもw、「足が痛い」という乳母に椅子を提供し、続けて「頭が痛い」と言えばまた椅子を・・と思ったらこの日のヨンソクジュリエット。なんと椅子をなかなか持ってこないスパルタぶりwwwさすがのジョンテクさんも「え、ちょ、早よ椅子!」みたいな顔になってました笑。公演を重ねると役者間にこのような余裕が出てくるのが、観ていて本当に面白いです。

 

 

1幕中盤・結婚式

ロミオ(学生1)とジュリエット(学生2)が結婚式の誓いを立て始めると、学生3及び4はそれを邪魔し、ついに学生3は学生1の頭を台本で叩いてしまいます。

このシーンは初演から解釈が非常に難しいなあと思っているところなのですが、今期の再演において、ギドゥンくんが退勤でこのシーンの解説をしてくれたようです。ギドゥンくんの解説によると、

・この演劇をやるうちにみんながどんどん深みにはまっていくから一度は結婚式を承諾したものの、いざやってみると男性同士で恥ずかしいし何よりそれは禁じられていることである。だからそれを止めるためにまずは台本の1ページを破る。

・台本を破ることにより「(学生1及び2に対して)これでもお前らは続けられるか?」という一種の挑戦状を送りつけるような意味がある。

・学生1を台本で殴ってしまったことについては、純粋に申し訳ないという気持ちもあるが、学生1がこの演劇にどれだけはまっているのか理解することはできないけれども、学生1がここまでやろうとしているのであれば自分も一度やってみようという気持ちに変わっていく。

という解釈のようです(初演時にこういうの聞きたかったわ・・)。

だからなのか、学生3が学生1の頭を台本で殴ってからそれを学生1に返すまでの「溜め」の時間がギドゥンくんは長いですし、自己嫌悪のような、戸惑いのような複雑な表情を見て取ることができます。

そしてこれは個人的な見解ですが、学生3が学生1を殴るという行為は、学生3がこれまで受けてきた暴力が自分自身の行動として2幕で爆発してしまうことの伏線だとも捉えています。

 

 

1幕終盤・決闘〜ロミオの追放

街中で遭遇したたマーキューシオ(学生3)とティボルト(学生4)は、ロミオ(学生1)の制止する声も聞かずに決闘を始めます。そして先にマーキューシオが殺られます。そのことに我を見失ったロミオはティボルトに決闘を挑みます。

 

「マーキューシオの魂が我らの頭上で揺れながら待っているぞ。

お前と一緒にあの世へ行こうと。

お前じゃなければ俺だ!

それとも俺たち二人ともか!」

 

ロミオがこの台詞を言う前にマーキューシオは舞台から降りるのですが、この回、初めて二人の頭上にマーキューシオの魂が見えました・・。ギドゥンくんがちゃんと魂を舞台上に残していったんです・・・。こんな感覚初めてで、身震いしました・・。

その決闘でティボルトを殺してしまったロミオはヴェローナから追放されることとなります。ベンヴォーリオ(学生2)は領主に対して懸命に慈悲を乞い、ティボルトを殺された夫人(学生3)は、ロミオも同様に死ぬべきだと訴えます(実はこのシーンも初演とは大きく異なっており、初演はここで学生3が夫人を演じることはありませんでした。最後まで「領主」側の立場でいたのです。)。なので物理的な構成からいうと、学生1と4が「領主」側の立場になるのですが、最後の「(ロミオを)追放する!」という台詞そのものは学生1が言います。ここ、学生4ではなく敢えて学生1自身に言わせる演出がとても興味深い。そして役者により、どの時点から「ロミオ」に戻るかが全然違う。イルジュさんは、言う前からロミオに戻るのが最近よくあるパターン。声も身体も震え、絶望しきっているのがわかります。自分が最も聞きたくない言葉を敢えてその人間に言わせるというのは、どのような演出意図なんでしょうか・・誰か教えて←

 

 

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ラストまでぶっ続けて書くつもりが結構長くなったので今回はここまで。

2幕は後日アップします。