春茶会 2014 @九条館 | 上智大学茶道部のブログ

上智大学茶道部のブログ

茶道部の毎日をつれづれ書きます

雨が通るたびに季節の変わり目を感じるころとなってまいりました。ブログ係の塚本です。今回は茶道部最大のイベントである春茶会の模様をお伝えします。

(朝、集合した女子着物勢)


前回のブログにも書かせていただきましたが、春茶会が行われたところは、上野の東京国立博物館の九条館でした。築200年、お公家様の住んでいた屋敷の一部だけあって、見どころがたくさんあります。春茶会で私が半東を務めていた時にはべらべらとその見どころを語りました。しかし、語るべき見どころの前に、九条館の所有者であった九条家についてお話ししましょう。

(九条館外観)


九条家は平安時代の藤原氏の中の有力家系で、摂関家を務めました。鎌倉時代には平氏政権や院政に対する見方が源氏と近かったため、実朝暗殺後にとだえた頼朝の血筋に代わって征夷大将軍を務めています。(実権はといえば執権を務めた平氏の北条家ですが)位に関していえば比類なき家柄なのです。その九条家の息吹を感じられる建築物の中でお点前や半東を行うことのできる喜びは私の文章力で表現することはできません。

九条家の家紋は藤原一族らしく、藤の模様があしらわれています。襖の取っ手に、釘隠しにとよく見れば藤が出現しますが、それはこの家紋や血筋から来たものでしょう。また、九条館の文化的意義の大半を担っているであろう、400年前の狩野派によって描かれた山水図はガラスなしで空気を共有できる数少ない文化財です。本来的な用途をいまだに果たす数少ない文化財として貴重です。(日本の美術品は工芸品が多く、使ってこそのものなのです。それをガラスの向こうで見るだけというのはもったいないと思いませんか?)

(山水図と2年生部員)


さて、九条館についてまだ語れるところはありますが、ここまでにしまして、春茶会での部員についてお話しいたします。部員は4年から1年まで全世代が参加しており、3世代の昨年とは少し違ったことでしょう。(昨年は正式に入部が始まる前だったので、私は客として招かれたまででした)4年生は受付と案内に、3年生は濃茶に、2年生は薄茶に、1年生は水屋などに回っていました。部員が多く、人手不足に悩まされることはありません。その分、我々はより高みを目指すことになりました。春茶の第一席目開始前からお客様には来ていただき、我々は毎一席ごとに日ごろの成果を見せつけるお点前を披露させていただきました。私自身に関しては主に半東の方に力が入っていた気もしましたが、こちらも日ごろの成果、お客様には退屈を与えない半東を務めました。外の天気は快晴で、受付の4年生は日差しとの戦いであったようです。1年生は初めての大舞台。しかし、お運びでもしっかりと畳を歩み、期待通りの活躍でした。


道具に関しても少しお話ししておきましょう。道具には木地のものを多く使用し、初夏らしい爽やかさを演出させていただきました。また、5月、征夷大将軍を輩出した家の屋敷ということもあり、出世、向上といった意味のある道具も使用いたしました。上智大学は今年で101周年で、新しい100年期に入ったところです。新100年期の門出にふさわしい道具だったのではないでしょうか。

(茶会式稽古の写真ですが、同じ道具です)


春茶会は部員一同にとって素晴らしい経験でした。お客様をもてなすことの大変さと素晴らしさを知り、人として成長する糧になるに十分なものです。(この記事からは大変なところが読み取れないかもしれませんが、準備と練習の段階は、時間と自分の癖と各々の美学との戦いでした)私たちはこれからも茶道を通じて己を磨いてまいります。これからも上智大学茶道部をよろしくお願いいたします。


おまけ

(成し遂げた顔の部員)


(上野公園にて)