シトロ―エン・C5X SHINE PACK
↑2022年に乗ったC4でPHCを初体験。第一印象は「それほど」
巨匠はシトロ―エンがお好き
編集部(以下、編):テスラには感動しました。正直言って、他のメーカー何してんだって感じですよ。
損小神無恒(以下、損):大層な物言いであるな。
編:なんといっても他を寄せ付けない近未来感!インパネだけでも他のクルマとは全然違います。アメリカでは既に赤信号で勝手に止まってウインカー出して曲がってくれるみたいです。
損:日本の道路はゴミゴミしていて危なそうだ。
編:昔は「先進性」と「個性」といえばシトロエンでしたが、今は間違いなくテスラですね!
損:いま、お主はクルマ好きの半分を敵に回したな。
編:ええっ、何故ですか?
損:旧くからシトロ―エンはマニア垂涎のブランドである。大概のクルマ好きはポルシェかシトロ―エンを最後のクルマに選ぶ。悟りの境地に達したクルマ好きにとって、ポルシェが極楽浄土ならシトロ―エンは涅槃だったのだ。
編:へえ、そうなんですね。
損:シトロ―エン・マニアはいちど怒ると中々許してくれない。謝罪の菓子折りを持参してなお門前で土下座すること三日三晩、ようやく門番を通じて口をきいてくれるという超が付く頑固者なのだ。
編:とはいえ、僕は譲りませんよ。そりゃあ「DS」とか「CX」とか、過去のシトロエンを偉大だとは思いますけど、今のシトロエンはその栄光にすがって遺産を食いつぶしているようにしか…。
編:はっきり言って、今のシトロエンは「プジョー」と一緒ですよ!
損:歯に衣着せぬ物言いは立派だが、この瞬間、お主は全世界から命を狙われることになった。枕元には武具を備えて用心しておくように。
編:いやいや、まるでミッキーマウスなみのタブーじゃないですか!
損:隙ありだ。必殺逆さ十字固め。
編:ぎゃあ!何するんですか…ってアンタが犯人かい!
損:不肖損小神無恒、『ユーノスと共にシトロ―エンを考える会』の顧問としてマニアの末席を汚させて頂いている。
編:ゲホッゲホッ、そんなん初めて知りました…。
損:そんな私をしても、「C5 X」には賛同しかねる。
編:…「CX」の焼き直しというか、劣化版ですからね。
損:シトロ―エンならではの先見性や独創性が希薄で、終始驚きが無かった。
編:言わせてください!「C5 X」はSUVなのに背が低いので、頭をぶつけそうなくらい窮屈です。これは昔の「カリーナED」みたいな国産ハードトップ軍団と同じで、スタイリング優先の悪しき時代に逆戻りしています。もはやシトロ―エン独自の高邁な設計哲学なんてどこにもなく、つまり過去のデザインにすがり付いてるだけなんですね。
損:…。
編:おまけにエンジンは眠たいしで。も~う期待外れでガッカリしました!
損:さりとてPHCは中々うまくやっておる。快て~きだ。
編:「快て~き」?
損:「~」が重要だ。シトロ~エンって感じになるのが穏やかでいい。楽しくていい。
編:そうですか。それじゃJRのお買い得定期券と同じだなと思って。
損:お主だって「も~う期待外れ」と言ったじゃないか。「~」の部分があたかもハイドロ・ニューマチックの響きじゃないか。
編:損小神語は理解に苦しみます。
損:そうなのか…。
編:じゃ、「カニ食べいこう~~~~」はシトロエンですか?
損:ウウム、このうえなくシトロ~エンだ。ついでに「乗ってくれHa~Ha~」もトレビア~ンである。
編:それはアリエ~ヘンですね。僕が思うに、PHCみたいな技術はもっと安価な、例えばC3なんかに採用すべきですよ。というかシトロエンには高級ブランド「DS」があるのに、なんでC5 Xをシトロエン銘柄で売るのか。いまひとつブランドの確立が出来てませんよね。
損:いや違う。PHCのような鷹揚な乗り心地は小さくて軽いクルマには似合わない。
編:いずれにしても、シトロエンは木を見て森を見ず。絶対的な先進性でテスラに完全敗北です。
損:ま、みんな違ってみんないい。ここはひとつ、勝ち負けは忘れて平和にいこうじゃないか。
編:先生は輸入車に縁が無いからそういう事が言えるんです!
損:だって金が無いんだもの。
編:今話題の中条きよしから借りたらどうですか?
損:馬鹿言え。利子でロードスターが買えてしまうわ。
編:…南無阿弥陀仏。