僕も夜通しネットで調べて同じような状況を探した。
一件だけだったけど、ほとんど同じ状況の人を見た。
結果が違っても何かの兆しが見えて嬉しかったから。
ただ僕に鳥の生態の知識はないです。
専門的な事ができたわけではないです。
「スズメ」「雛」「ヒナ」「拾った」
何かのワードでひっかかればいい。
かなり長いです。
でもこれを読む人は本当に必要だから読んでくれるだろうし、まもなく梅雨入りするだろうから、どこかでまた同じ状況に遭遇する人も出てくるでしょう。
解決したのは翌日の2016年5月17日。
拾ったのはその前日の2016年5月16日。夜。
夕方から土砂降り。
区民センターで英会話授業を受けた帰りの21:30。団員がアスファルトの上を土砂降りに打たれて羽をズルズル引きずって這いつくばっている小鳥を見つける。小鳥は「ピー」というよりは「ギャー」に近い悲痛な鳴き声。
暗い中で一見、ツバメかスズメか判断がつかなかった。
ズルズルと逃げようとするが容易に捕まえる事ができた。
捕まえると今度は人差し指にしっかりと捕まり、離れない。
手のひらで包むとブルブル震えているのがわかる。
オスかメスか最後まで知らなかったけど、便宜上「彼」と記します。
団員の一人が暖かい缶コーヒーを買ってきて、もう一人がハンドタオルを渡してくれた。
どうにかこうにかタオルに熱をあてて、彼に暖をとらせることができた。
送ってくれる人の車に乗って、帰路につく。(真っ直ぐのルートではないので、二時間ほどは彼は車中にいることになる)
手とハンドタオルと缶コーヒーの暖で、次第に羽が乾いてくるのがわかる。
乾いてくるとやっぱりスズメだとわかった。
スズメだとわかるくらいに乾くと活発になり、手のひらから抜けでようとする。
一時間ほど経つとスルリと抜けて車中を下手くそに飛び回りだした。
軽い車内パニック(笑)
何とか捕まえて、車内にあった薬の小箱に押し込めた。
しばらくすると、うんともすんとも言わなくなり「死んだのでは?」と怖くなった。
昔々ハムスターを飼っていた時に「小動物は外敵が多く襲われやすいため、弱っている事を最後まで隠して元気を振る舞うし、身体が小さいために1日でガン細胞が全身を回って、昨日まで元気でも次の日死ぬ事も珍しくない」と医者に聞いて以来、小動物の元気は信用していない。
高校の時もヒメウズラの雛が元気だったのに数時間後にパタリと死んだ。
そのために次の瞬間死んでもおかしくないという不安が常にある。
送ってくれる人が心配する僕に「暗くなったから寝たんやで」と言ってくれた。
後で調べて知ったのだが、スズメは夜の7時くらいには寝るそうで、ならば三時間も就寝時間が遅れているので、確かに寝てもおかしくないな。
帰宅したのが0時。
洗濯カゴをひっくり返して、入れていた箱にかぶせる。
すると箱から出てきて、カゴの中を飛び回った。
「良かった。元気になった」
と安心したけど、まだまだ明日まで安心できない。
明日は晴れだと聞いたので、家の近くで離そうと思っていた。
少し飛び回った後に自分で箱の中に帰ってしまった。そしてぴたりとも動かなくなった。
ラインでもらった情報を元に何かを食べさせたいけど、スズメの雛にあげれるものが何もない。
せめて水をと小皿に水を入れて箱の隣に置いた。
箱の中のティッシュに糞の跡があったので、昼間は何かを食べただろうと、気持ちを安心させようとした。
テーブルの下までカゴを移動させて、光が入らないようにした。
あれこれネットで検索すると、色んな意見があって、どれが最適かわからない。
ただ、とにかく「スズメは体温が高く、雛は特に寒さに弱いので温めろ」との事。
新たな小箱の下にカイロを敷いて新聞紙を敷いて置いても、移動する気配はない。
電気カーペットも、この時期なのに付けてみたけど、いまいち彼が温まるほどには熱を発していない気がする。
なら、入っている箱の下にカイロを敷こうと箱を退ける。
そっと覗くと爆睡している。
人間がこんなに近くを見ているのにピクリともしないほどに。
死んでいる姿勢ではない。
また安心して、箱の下にカイロを敷いた。少しでも温まってほしい。
数分後にカサカサと音がしたので、温まったのかな?と思った。
部屋の電気を消してスマホでその後のために検索しまくった。
正直「飼おうかな?」とも思った。でもそれはエゴの情だとわかっていた。
わかっているのに勝手に自然界と公害を照らし合わせて、エゴに寄せようとする思考が働く。
パンくずを置いたけど「雛にパンはダメ」とあった。「緊急の場合は、かたゆで卵、青菜、ぬめりを取った米」を読んで、ご飯とほうれん草ならある、と思って小皿に置いた。けどすぐに「ほうれん草はダメ」とあった。
「ミルワーム」が必要とあるけど、深夜にミルワーム売ってるお店なんて奈良の田舎で聞いたことない。
自転車で30分のとこのドンキならあったのだろうか??
「お湯でふやかしたドッグフードでも可」とあったけど、我が家にはドッグフードもない。
「スズメの雛は何度もエサを食べる」とあるので、何とか一晩の気休めでもと思った。
「食べずに衰弱死」か「ちょっとお腹が痛いけど野生の力で生き残ってくれるか」だ。
寝ずに色々調べると、やっぱり体の大きさから雛だとわかる。
ただ、巣立ち開始か、巣立ち完了の雛なのかは不明。
微妙なライン。
何故そこが気になるかというと、翌日に家の近くで離すか、大阪まで出て拾った場所の近くで離すかという事。
巣立ち完了したのならば奈良でもいいかなと思うけど、まだかろうじて親に飛び方を教わってエサももらっているなら、やっぱり元の場所に帰すべきだ。
「もし障害があって親が見捨てた子ならば、拾ったからには最後まで責任を取って飼ってあげてください」という文を見つけた。
野鳥は勝手に飼ってはダメとあったけど、市や区に相談しても「スズメごときで」という対応もあると書いてあった。
ならば「野生に帰れない子は責任を持って最後まで飼うべき」という責任と同じく「野生に帰れる子で、親がいる可能性が高いなら、責任を持って親元に帰そう」と決めた。
だったら「雛は親鳥からもらうエサだけを食べる」と書いてあったので、お昼や夕方だと遅い。
僕のあげたものなんて食べない可能性が高い。
といって雨が上がったばかりの早朝は冷え込みすぎる。8時から9時までは通勤ラッシュにぶつかって彼のストレスになるかも知れない。
なら、ラッシュが終わった直後の9時に電車に乗って大阪に向かおうと思った。
幸い仕事休みを取っていたし、約束のあった用事は11時過ぎからなので大丈夫だ。
寝れずに5時頃。
外は寒い。
何度が外のスズメが鳴いた。
それと同時に一瞬暗闇で小皿をコツコツと叩く音がしたけど、少しでも食べたのかどうかはわからない。
スズメは夜の7時に寝て朝の5時に起きるとあったけど、昨夜は0時を回って寝たし、部屋はまだ暗いしまだ眠たいかもな、と思った。
けど、やっぱり生きているかどうかが心配なので、そっと小箱を覗いた。
うずくまっているが目をパッチリと開けている。
僕を見て全く動じない。
そのままそっと置いて7時頃。
箱の中でカサカサと動き出した。
外のスズメの声が気になるのだろうか?
7時半に玄関を閉めて、部屋との仕切りを閉めて、小箱を置いた。
朝陽がガラス窓を照らすので暖かい。
10分ほど箱の中でカサカサしていたけど、様子を伺うように顔を出して、途端にパタパタと玄関の中を飛び回った。
何度も窓の向こうを気にするし、外のスズメも頻繁に鳴く。
そっと扉を開けてコーナンプロに行った。
早朝にコーナンは開いてないので、コーナンプロに何か鳥を入れれるようなカゴでもないかと。
ミルワームも期待したけど、コーナンプロは建材用なので、やはり無い。(他の支店は知らないけど…)
プラスチックの網とゆったりめの段ボール箱を買って帰宅。
途中、7時から開いてるスーパーでドッグフードを買うが種類を失敗した。お湯でふやけないタイプ。
ドッグフードの種類や用途が多すぎて選別しきれない。
とりあえず箱の底にカイロを敷いて、ティッシュを敷き詰めて、ほうれん草と米を入れて天井に網を貼る。
玄関で遊んでる彼と格闘すること15分。
15分で捕まってくれたのは、それほど警戒していないのかなぁというポジティブシンキングと、もしかしたら弱ってるのかなぁというネガティヴシンキングが混じる。
捕まえると大人しくなって、箱の中でもじっとしている。
電車に乗って大阪へ。
彼は全く動かない。
餌も食べない。
阿倍野橋で降りてJRで桃谷へ。
動かない。
桃谷駅からワンメーターだからタクシーに乗って急いだ。
そして拾った場所に着くと、バタバタと騒ぎ出した。
やっぱり親がいるかも!と、箱を花壇に置いて10メートルほど離れて待つ。
親がいるなら箱に来るはずだ。
「箱を開けてるとカラスや猫が襲うから中が見えるように閉じて待ってくれ」とあったので、じっと待つ。
遠くからでもわかるほどに箱が揺れている。
でも、肝心のスズメの鳴き声をひとつも聴かない。
区民センターに入って昨日の事情を説明すると「区民センターの付近はスズメの巣は撤去しているのでここにはほとんど飛んでこない」との事。
100メートルほど先に公園があるので、そこに移動。
朝とは違って活発的に暴れる。
多分、やっぱり何かが近いんだなと思う。
公園に着くと至る木々でスズメが鳴いている。
小さな立て看板の下に置いて少し離れて待つ。
将棋を打ってるおじいさんたちが不審に思って箱を覗こうとするけど事情を説明して離れてもらう。
箱はガンガン揺れている。
すると立て看板に一匹の大人スズメが止まって箱を見た後、周りに向かって泣き続けた。
そして飛んでいった。
スズメの生態はわからないけど、親は長いこと箱に止まるとあったので、親でなければ兄弟だろうか?
もうストレスもピークだろうから、一か八かで箱を開けた。
彼は2秒ほど空を眺めて、そして、一気に真上の木に飛んでった。
枝に止まると、別の枝のスズメが「チュン」と鳴く。彼は「チュン」と返して、それを3度繰り返した。
そしてもっと向こうでスズメが合唱している木に向かって一気に飛んでいった。
スズメは同世代で生活するとも聞いた。兄弟がいた事を期待したいけど、自然の前では人間の期待は単なるエゴだ。
彼は彼で生きていく。
でもやっぱり家の前で離さずに、元の場所に帰して良かったと思った。
しばらくはスズメの鳴き声を聴いたら、フー子を思い出すのび太の心境かな(笑)
素人が経験した事ですが、どこかの誰かの気持ちの参考になります事を願って。