京都の高麗美術館の創設者 故鄭詔文さんの生涯とその家族たちが守る高麗美術館の姿を描いたドキュメント映画「鄭詔文の白い壺」の大阪特別上映会に行ってきた。
完成直前からほんの少しお手伝いをさせて頂いてたのだけど、諸事情に諸事情が重なって、編集を直したりで、最初に京都で拝見した作品に手直しが加わり、今回の大阪上映版でのお披露目となった。
26日には東京にて特別上映会がある。
短大生の頃に京都の下鴨に住んでいて、当時、長距離を歩く癖がついた僕はぶらぶらと散歩をしていて突然見つけた。
あの時代はもちろんインターネットなんてなくて、今のように名前を打ち込めば検索できるなんて術はない。
その不思議な美術館をじっくり堪能した後に、無目的に散歩をして見つけた場所なので、あの美術館がどこにあったのか、戻る道を覚えてなかった。
ずっと不思議な思い出のままに年を重ねて、ひょんな事から再会を果たした。
ドキュメント映画を観て、初めてどんな人があの不思議な美術館を設立して、どんな想いで守って、どんな想いで今に託しておられたのかを知る事になった。
この映画が現時点で日本で正式上映される予定はない。
この映画が日本でたくさんの人に観てもらう事は、今はその場が用意はされていない。
今はまだ。
しかし、この映画の一番の目的は、さりげない曲がり角に佇む高麗美術館をずっとずっと守り続けたいという事だ。
京都の四季は独特の空を彩る。
その空を見るために訪れる人は多い。
ならば。
訪れたついでにでもいい。ちょっと一時間ほどだけでも歩みにゆとりを持って、高麗美術館に扉を開けてほしい。
多くの人にそんな想いが広まるとは思わない。
ただ、こんな文を読んで1人だけでも「あ、行ってみようかな?」と思ってくれれば嬉しい。
何故なら、大声で手招きしても人は人通りの流れからこちらを見る事はない。
歴史の忘れ形見は、ある日何気ないタイミングで、あなたを「呼ぶ」。