エリア61 | 林瀬那 文庫 〜あなたへの物語の世界〜

林瀬那 文庫 〜あなたへの物語の世界〜

作家の林瀬那です。

私が
描いた物語を載せてます。

本棚から本を手にするように
自由に読んで下さい。

よかったら
コメント欄に感想書いてくれると
すごく嬉しいです。

 

 

 

 

 

私の部屋の

片隅には

 

「エリア61」

と呼ばれている

謎の空間があります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは

作家の林瀬那です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカにある

エリア51ではないので

くれぐれも

お間違いなきよう

お気をつけ下さいませ

 

 

 

 

残念ながら

UFOも

宇宙人の存在も

私は

隠しもってはいないのです

 

 

 

 

 

 

 

「エリア61」

には

手つかずの本や

読みかけの本が

まるで塔のように

積み重なっています

 

 

 

 

通称

「バベルの塔」

人はそれを呼びます

 

もとい

私は

それを呼びます

 

 

 

 

 

 

 

積み重ねすぎた本は

天に届けとばかり

どんどん

天高く

積み重なっていくのです

 

 

 

 

天高く

積み重なりすぎると

 

ある日突然

バベルの塔は

音を立てて

崩壊します

 

 

 

天から

本が

降ってくるのでございます

 

 

 

 

 

 

本のサイズなんて

気にしないので

 

小さな文庫本の上に

大きな本が重なったり

 

 

 

時には

間違って2冊買ってしまった

同じ名探偵コナンの漫画が

積み重なっていたりします

 

 

泥棒よけの

トラップです

 

嘘です

 

 

 

 

 

 

愚かな人間の私は

いつか

天に届くかもしれないと

 

性懲りも無く

本を重ねてしまうのです

 

 

 

その繰り返しです

 

 

 

バベルの塔

との付き合いは

もう

長いもんで

気がついたら

20年以上になります

 

 

 

 

 

前までは

枕元に重ねていたものですから

 

バベルの塔が崩壊し

天災のごとく

頭に本が降ってくる

という仕打ちに

何度かあいましたが

 

 

 

学習能力の高い

崇高な私は

今は

もう

枕元に

本を置いたりしません

 

 

 

顔が

本で埋もれたり

 

 

 

本の角が

頭に

ささったりしますから

 

 

 

 

いいかげん

それだけは

やめました

 

危険ですから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何年か前に

上野で

本物の

「バベルの塔」の絵画を観ました

 

 

 

 

 

バベルの塔のお話し

ご存知ですよね?

 

 

 

天に届けと高い塔を作った愚かな人間

神の怒りに触れ

 

人々は

言語をバラバラにされてしまった

 

というような話し

 

 

 

 

 

私は

外国に旅に行く時に

「言葉が違うのは

 バベルの塔を建てた我々人間の罪

 

 言語が違うのは

 仕方ない」

 

英語すら話せない自分への

言い訳の免罪符にしています

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこと

思っている人なんていないと思うので

 

人には

言ったことありません

 

 

 

 

 

 

 

 

「バベルの塔」の絵は

想像以上に

規模感の大きな絵画でして

 

 

 

 

バベルの塔の中に

人々は住んで

生活していたりするんです

 

 

絵画の緻密さに

目を奪われ

 

しばらく

大きなバベルの塔の絵の前で

茫然と

立ち尽くした私です

 

 

 

 

 

 

私の部屋の

エリア61にあるバベルの塔とは

規模が

違いすぎた

 

 

 

でも

まあ

そんなこと

当たり前の話しで

 

 

 

 

 

 

それを知りつつも

 

真実を知りつつも

 

 

 

今宵も私は

せっせと

エリア61で

バベルの塔を積み重ねながら

 

好きな時間を

過ごすのでございます

 

 

 

 

なぜなら

 

エリア61で過ごす時間は

とても私に

安らぎをくれるからです

 

 

 

 

毎年6月1日には

エリア61記念祭が

街を上げての

お祭り騒ぎで

夜通し行われます

 

 

来年は

パレードも行われる予定です

 

出店やマルシェも出るそうなので

私は

ポップコーン屋さんを出します

 

 

 

嘘です

 

 

 

 

 

 

 

なんだか

自己満足の世界に

たぽたぽと浸って

 

いい気分になっていたのですが

 

 

 

 

 

この度

エリア61が

都市計画の区画整理に

該当するということで

 

手つかずになっていた場所が

新しく

生まれ変わることとなりました

 

 

 

 

 

てか

単に

私が

机と椅子を

そこに置くことしたんです

 

 

 

 

でも

バベルの塔は

きっと

これからも

崩壊しては

 

また

新しいバベルの塔が

積み重なっていく日々です

 

 

人の癖って

そう簡単に

治らないですから

 

治そうと思ってないなら

尚更です

 

 

 

 

 

 

さて

今回は

誰も見たことがない

本当にあるかどうか

分からない

 

「エリア61のバベルの塔」

のお話しでした

 

 

 

 

 

 

最後まで読んでくださって

ありがとうございました

 

 

あなたの大切な

人生の時間を

共有できていること

心から感謝しています

 

では

またね