季節は
うつろい
春から
次の季節へ
こんにちは
作家の林瀬那です
今回は
咲かなかった紫陽花の話しです
私は
毎年
大好きな
梅雨の季節に
家のすぐそばに咲く
紫陽花を
密やかな楽しみにして
生きています
そうです
じめじめした
雨の続く
梅雨の季節のことです
あの時期に咲く
あの
紫陽花の花のことです
梅雨に咲く
あの花の存在は
私の
心の
よりどころ
なんです
でもね
毎年
決まったように
きちんと咲く
家のそばにある
紫陽花が
去年は
悲しいことに
咲かなかったんです
毎年
同じ場所に
同じように
蕾をつくって
いつも
咲いていたのに
ずっと
咲くのを毎日待っていたのに
去年は
とうとう
咲かないままだったんです
そんな
ばかなはずがない
って
何度も
何度も
確認したんです
もしかしたら
もうすぐ
咲くのかもと
明日は
明日こそはと
毎日
いつか咲く日を夢みて
明日を
待っていたんです
でも
あの
紫陽花は
結局
咲きませんでした
咲くことなく
季節は
移ろいました
あの紫陽花が
咲かなかった出来事は
きっと
誰も知りません
私と
紫陽花とだけの
秘密の出来事です
なぜ
あの時
あの紫陽花は
咲かなかったのでしょう
紫陽花に
聞きたくても
紫陽花は
もくしてなにも語らず
私は
もの哀しいまま
去年
梅雨という
季節をやり過ごしました
私
これ
けっこう
本気で
ショックだったんです
だって
あの紫陽花
咲くと
本当に美しいから
紫陽花は
咲かないまま
夏になってしまい
そのまま
秋が来て
冬が過ぎ
そして
巡り巡って
今は
春で
すでに
雨が続く予感がしています
ということは
もう少ししたら
念願の
梅雨の時期になります
紫陽花の
季節が
また
人知れず
静かに
遂行されつつあるんです
私は
世界中の紫陽花の中で
あなたが
咲き誇るのを
心から
願っている
ねえ
だから
どうか
咲いて下さい
私は
心の底から
ずっと
ずっと前から
あなたが
咲く日に
恋焦がれています
どうか
静かに
あなたが
蕾をつくり
無事に
咲き誇りますように
そんな
未来を
信じて
私は
きっと
明日の朝も
紫陽花を横目に
朝の一歩を
踏み出します
今回は
咲いてほしい紫陽花の
お話しでした
今日の朝みたら
雨の中
小さな蕾を
つけはじめていました
最後まで読んでくださって
ありがとうございました
あなたの大切な
人生の時間を
共有できていること
心から感謝しています
では
またね