魔女はかく語りき | 林瀬那 文庫 〜あなたへの物語の世界〜

林瀬那 文庫 〜あなたへの物語の世界〜

作家の林瀬那です。

私が
描いた物語を載せてます。

本棚から本を手にするように
自由に読んで下さい。

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コメント欄に感想書いてくれると
すごく嬉しいです。

 

 

 

 

私は

疲れると

たまに

魔女に話しをしに行きます

 

 

魔女は

森の奥深くに

住んでいます

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは

作家の林瀬那です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女の住む森は

とても

深い森なので

 

たまにしか

行けないんです

 

 

 

 

 

場所は

地図にも載っていなくて

 

看板もなくて

 

お問い合わせセンターもないので

 

いつも

突然

訪れるしかないのです

 

 

 

 

 

みんなが寝静まった深夜に

月明かりをたよりに

訪れることが多くて

 

真っ暗な夜には

たまに

道に迷ってしまいます

 

 

 

 

 

何度も

通ったことのある道なのに

 

 

性懲りも無く

私は

迷ってしまいます

 

 

 

 

 

 

やっとの想いで

辿り着き

 

魔女に

私が

話しをしても

 

 

 

魔女は

話しを

聞いているのか

 

聞いていないのか

分からない様子で

 

いつも

苺ジャムの

鍋を

かきまぜています

 

 

 

 

鍋の中身ばかり気にして

 

私が話す話しの内容には

いつも

興味がない様子なんです

 

 

 

 

あたたかいお茶をくれ

 

 

そして

突然

よくわからない薬草だのを

煎じてくれます

 

 

 

 

 

それから

なんか

よくわからない

ヒントの言葉をくれます

 

 

 

 

 

その時には

本当に

よくわからないのですが

 

後になって

分かったりもします

 

 

 

 

 

分からないままの時も

 

もちろん

往々にしてあります

 

 

 

 

 

 

 

私は

魔女に逢ったり

 

こっそり

ロケットで

月に行ったりで

 

夜中は

けっこう忙しいんです

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば

魔女といえば

 

私の好きなシェイクスピア作品の

「マクベス」

魔女が出てきます

 

 

 

 

 

 

「マクベス」は

3人の魔女

の場面から

物語が始まります

 

 

 

 

 

 

3人の魔女は

荒野の中で

 

「きれいは 汚い

 汚いは きれい」

 

と言いながら

踊っているんです

 

 

 

 

 

 

とても

素晴らしく

惹きつけられる

冒頭です

 

 

 

 

 

 

私が

初めて

「マクベス」を読んだ時に

驚いたのは

 

魔女が出てくる

場面が

あまりにも

痛烈だからです

 

 

 

 

 

そして

その魔女達は

 

他にも

いろいろと

とても

芯のついたことを

言うんです

 

 

 

 

 

もう

魔女をも

巧みにあやつる

 

シェイクスピアの世界たるや

すごいんです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シェイクスピアは

魔女を

どう思っていたんでしょう

 

 

 

もしかしたら

私と同じように

 

魔女の存在を

知っていたのかもしれません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女は

よく私に

 

「私は

占い師ではない」

 

と言います

 

 

 

 

 

そして

私も

 

「未来が

知りたいわけじゃない

 

いや

むしろ

未来なんて

知りたくもない」

 

 

と言います

 

 

 

 

 

 

 

それは

私の

本心で

 

 

 

 

 

 

私は

どこに行こうが

誰と逢おうが

逢うまいが

 

 

自分の力で

生きていくって

 

深く

覚悟しているからです

 

 

 

 

 

 

 

 

魔女と話すと

たいてい

時間を忘れてしまいますが

 

帰りは

いつも

魔法で

私の家まで

帰してくれるので

 

 

 

 

 

 

魔女の家の

扉を開けて

気がつくと

 

自分の部屋のベッドの前に

私はいます

 

 

 

 

 

いつも

すぐに

扉は閉まるのですが

 

 

 

 

 

 

今日は

妙に微笑んでいて

 

 

 

 

 

 

去り際に

 

「はい

 道明寺でしょ」

 

ぶっきらぼうに

言ってきました

 

 

 

 

 

 

 

そして

私の部屋の机の上に

 

かわいらしい

道明寺の桜餅が

 

いつのにか

置いてあるじゃないですか!

 

 

 

 

 

 

そうです

皆さん!

 

私が

こだわっている

道明寺でございます!

 

 

 

 

 

 

私が

慌てて振り返ると

 

魔女は

幸せそうに微笑みながら

 

いつもみたいに

扉を閉めて

消えてしまいました

 

 

 

 

 

私が

道明寺の桜餅にこだわっているのを

どうやら

ちゃんと聞いていて

 

覚えててくれていたみたいで

嬉しかったです

 

 

 

 

 

そう

覚えくれていたのが

嬉しかった

 

 

 

 

 

 

 

でも

私が

魔女の家までの

道を覚えられない理由は

 

 

きっと

いつも

気がついたら

 

自分の部屋に

帰ってきてしまっているという

 

その

不思議な扉のせいだと

 

 

 

さっき

気がついたので

 

 

 

今度

魔女に逢った時には

文句を言ってやろうと

たくらみながら

 

 

真夜中に

ひとり

道明寺の桜餅を

ほおばって

 

 

今日の眠りにつく

私でございます

 

 

 

 

 

 

さて

明日は

私の1年の元旦

春分の日でございます

 

 

 

 

なので

また明日

 

 

 

 

 

 

最後まで読んでくださって

ありがとうございました

 

 

あなたの大切な

人生の時間を

共有できていること

心から感謝しています

 

では

また明日ね