仮想世界7 | +++ 三度のメシより ~腐女子の萌え語り +++

+++ 三度のメシより ~腐女子の萌え語り +++

※(18禁。ご注意ください)
声萌え 腐女子の萌え語りブログです。 中井和哉サマ、佐和真中サマ、内山昂輝サマ   絶賛応援ちう!



「なに」



怖がらせないように優しく。
先程とは真逆の声音で。
陽の光に輝く頭にポン、と手をおく。
同時に彼の隣に座る。



まだ俺の顔を見れずに俯く小さな頭を
わしわしと掻き混ぜる。


彼には馴染みの仕種。
俺が彼にしかしない仕種。


ようやくに、少しずつ顔をあげる。
ほらな、今にも泣き出しそう。
目、潤んでる。鼻の頭、赤い。


「…ヤだよ、俺」


繰り返す言葉は聞き取るのに苦労するくらい。



「だから、なにが」



彼の口許に耳を近づける。

イジメすぎた。
そもそも俺が悪いのに。
気持ちを隠しとおせなかった俺が。

彼に泣かれると、困る。




可愛すぎて、困る。





いきなり、ギュッと首にすがられ
またもやバランスをくずす。


予想外の行動。
がっちりと俺の頭を抱き込む彼の。
お日さまの匂い。
ふわふわの髪から漂う、心地いい温もりの。




「なんかした、俺。なんで無視すんの」



答えを聞くまで
離す気ねぇってか。


「苦しいって」



ぎゅうぎゅう力を込めるから。
一瞬でも離したら逃げ出しそうと言わんばかりに。



「ごめんっ」


慌てて力を緩めた彼に
今度は俺の番。


細い肩を抱き込み
骨伝導。


彼の頭のてっぺんにつけた顎から。


「苦しいんだ」



今度は彼が苦しいはず。

誰にも渡したくないから。
体温を吸い取って、
俺の熱で溶かしてやりたい。
抱き合った体が
一つになればいいのに。


「えっ」


「なぁ、苦しいんだ。どうすればいい」


しばらく無言で彼の髪に鼻を埋めていた。
たった数日、彼に触れなかっただけで。
彼の匂いが懐かしく鼻くうを満たす。



抱きしめあっている異常な状況。
端から見れば立派なおホモだち。

なのに彼は、ふっと力を抜いて
俺の背に回した手の平で
ぽんぽんとあやすように。


「ダイジョーブだよ。ダイジョーブだから」



なんだコレ。
お前わかってんの?



…わかってるワケ、ねぇか。




「そうかな…」

「そうだよ。ダイジョーブだって」


背中の手が気持ちいい。
彼の優しさが染み入るようだ。

抱き合ったまま、俺は彼の髪に口づけた。

チュッという微かな音が聞こえたはず。

俺の唇の感触も。





「授業、フケよっか」

髪に顔を埋めたまま。


「仕方ないなーもう。…ま、たまにはいっか」


ゆるゆると抱擁を解くと、
安心しきった笑顔を見せる。

なに、「これで仲直りできた」って感じ、
喜んでんじゃねぇよ。
人畜無害か俺は。
ムカつく。


微かに頬が赤い。
だからソレ、日焼けなのかなんなのか
ハッキリしろっての。


赤くなった頬が情欲を掻き立てる。
潤んだ目ぇしてんな。
誘ってんのか。
んな顔すんじゃねぇ、
襲うぞコラ。




「だぁあああっ」



大きく吠えて芝生にごろり。

彼には勝てない。
恋愛は惚れたモン負け。




「気持ちいいねー。お昼寝日よりだ」



隣に横たわる彼は、さも安心したという風情で。

横向きになってあふっとあくびをする。



俺の腕に額を押し付けてんのは無意識なのか。
猫がひなたぼっこするみたく、
ぐりぐり擦りつけてきやがる。


…始末におえねぇ。


「おら、また日焼けすっぞ」


俺はさっきまで俺の顔に乗っけてた漫画雑誌を
彼に渡す。


開いて顔に乗せようとしたら。

スゥスゥ穏やかな寝息。
マヂか。


ホント、始末におえねぇ。



ひっそりとついたため息を、
柔らかな風が運んでいった。