わざとらしい大あくび。
オーバーアクションの伸び。
隣に座っていた彼がびくりと震える。
俺はたった今、彼の存在に気づいたフリ。
「…」
「……」
気まずい空気。
なんか言えよ。
ずりぃな俺。
彼の出方を伺う。
そうだ、今後の行動は彼次第。
そしたら傷つかずにすむから。
俺ら二人とも。
結局はこれがベストだろう。
俺が気持ちを押し殺し、
今まで通りの親友ポジション。
そのうちお互いに、
彼女なんか作って、
ダブルデートとかしたりして。
…アホくさ。
んなん、できるか。
彼以外の人間に興味持てる気がしねぇ。
彼が俺以外の人間に触れたり
触れられたりするなんて
考えるだけで発狂モン、無理。
んじゃ、ダメじゃん。
こうなった以上、ダチにも戻れない。
何か言いたそうな、
だけど言葉を選んでいる風情の彼を見つめる。
所在なげに俯いて雑草抜きまくり。
やおら立ち上がった。
俺のほうが堪えられない。
「待って!」
ズボンの裾を掴む手は
思いの外力強い。
おかげで俺、若干バランスをくずす。
「なに」
冷たい口調。
わかってるけど、素直になれずぶっきらぼう。
「ヤだよ、俺」
震える声。
泣いてるかもしれない。
「なに」
さっきのより冷たさ倍増。
アンド、語気荒めで。
泣くなコレ。
俺がこんなだったら間違いなく泣くな。
必死に堪えてる彼を見下ろす。
自分のずるさなんて自覚済み。
彼を追い詰めてるのも。
ふるふる震えながら、ギュッと握った手。
答えない彼に、俺は。