仮想世界5 | +++ 三度のメシより ~腐女子の萌え語り +++

+++ 三度のメシより ~腐女子の萌え語り +++

※(18禁。ご注意ください)
声萌え 腐女子の萌え語りブログです。 中井和哉サマ、佐和真中サマ、内山昂輝サマ   絶賛応援ちう!



「…こないだは、ゴメン」



彼がか細い声でつぶやいた。


昼休み、いつもの中庭。
昼メシを終えるといつも。
二人でひなたぼっこする場所。


俺の八つ当たり以来、
ぎくしゃくとした関係が続いてる。



隣り合わせの席ってのが
いっそう始末におえない。

挨拶すら交わさない。
一度なくしてしまった謝るきっかけは
日を追うごとに遠ざかる。


半分意地になってる俺は
当てつけのように彼以外のクラスメートとつるむようになり。


彼を一人にしとくのはマズすぎる。
俺という、いつも隣にいた用心棒がいなくなった途端に
理由をつけては彼を取り囲む。
男も、女も。



彼とは昼メシも別にとり
しかし他のヤツらは適当にまいて、中庭へ。
彼以外のヤツとつるむのは
正直しんどい。



芝生にごろり横になり
漫画雑誌で日光をさける。



髪を乱す緩い風。
眠ってはいない。
眠れるわけない。


いつも、どの瞬間も
俺の意識の隅にある彼の面影。


真っ白できめ細かい肌。
日焼けはご法度だ。
すぐに赤くなりやがる。
頬が染まってるのは
日焼けなのか、照れているのか。


体毛の薄い、ほっそりとした肢体。
微かにカールした天然パーマは
彼いわく、「神様がかけてくれたパーマだよっ」


太陽に透けて渦巻く髪の束が
彼を天使じみた印象にみせる。
ちくしょう、白人系クォーターは得だな。
碧がかった瞳とあいまって色素の薄い髪やまつげ。
純真無垢を絵に描いたような。


こんな容姿のクセして。
性格は温和で誠実。
学校での人望も厚く、ほっておくと連日の告白イベント。
列をつくる不届き者ども。


そんな自分の魅力に気づいてないのは
ある意味、罪だろう。


カンペキ人間。
彼の欠点が見当たらない。

いや、あった。

その、ド天然ゆえに
俺の気持ちに気づかないとこ。
彼を狙う輩から、俺がガードしてるのにも気づかないで。






彼の声で、物思いから現実に引き戻される。


眠ったフリ。
俺の反応を伺い。




返事をしないでいると、
眠ってると勘違いした彼が
次にとるべき行動を決めかねてそわそわしている。



俺を起こそうか。
それとも立ち去るべきか。



逡巡した末に。


彼はちょこんと腰を落とした。
俺の隣に。


いつもの定位置。
もうずいぶん長い間、当たり前になっていた
俺の左側。




俯いて足元の雑草を毟る彼が
まだ迷っているのは
容易に想像できる。


俺が怒っている理由が思い浮かばず、悩んでいるのは。




俺だってもうずっと考えてるんだ。

何事もなかったように振る舞うこともできる。
彼はホッとしはしても
俺の理不尽な態度を責めたりはしない。


だけど。

言ってしまいたい、この気持ちを。
俺だけのもの寝にしてしまいたい。

例え彼が予想だにしていなくても。




休み時間のおわりを告げる予鈴だ。
タイムアウト。



俺は今目覚めたフリで
上体を起こした。