『聖アンナと聖母子』 つえを持つ者 | レオナルド・ダ・ヴィンチの小部屋~最後の晩餐にご招待

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レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画の謎解き・解釈ブログです。
2021年5月末から再度見直して連載更新中です。

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ダ・ヴィンチの『聖アンナ聖母子』の絵の中で、
聖母マリヤの腰の下から、【つえ】が見えます。
この【つえ】は、聖アンナが左手にでも持っているものでしょう。

自分は、この【つえ】のアイテムが、聖アンナの正体を示す【鍵】だと思うのです。



【つえ】は、誰が持っているものなのか?

【つえ】という単語で、旧約聖書の『創世記』を検索してみました。
『創世記』の中では【つえ】を持つ者が1人いました。
それは、ユダです。
創世記 49章 8~10節 
ユダよ、兄弟たちはあなたをほめる。
あなたの手は敵のくびを押え、
父の子らはあなたの前に身をかがめるであろう。  
ユダは、ししの子。
わが子よ、あなたは獲物をもって上って来る。
彼は雄じしのようにうずくまり、雌じしのように身を伏せる。
だれがこれを起すことができよう。  
 
つえはユダを離れず、立法者のつえはその足の間を離れることなく、
シロの来る時までに及ぶであろう。もろもろの民は彼に従う。 

ユダといっても、最後の晩餐のイエスの弟子のユダとは別人です。
新約聖書の『マタイによる福音書』第1章で、アブラハムからイエス・キリストまでの系図が、つらつらと示されているのですが、その中のヤコブから産まれたユダの方です。

このユダの子孫が、聖母マリヤの婚約者である聖ヨセフになるわけです。

また、『出エジプト記』では、モーセが民をエジプト脱出を導く時に【つえ】を使用しています。

また、『サムエル記上』では、ダビデがペリシテびとと戦う場面で【つえ】を使用しています。

新約聖書の4福音書で【つえ】を検索すると、イエスが弟子達に伝道活動の指示を与える時に
「つえをもっていくな」という指示がある場面だけでしたが、絵画の世界においては、【つえ】をもっているのは、洗礼者ヨハネの【十字の杖】と、聖母マリヤの夫の聖ヨセフです。

そして、ヨハネの黙示録で【つえ】を検索すると、
女が産んだ男の子も【つえ】を持つ者なのです。
ヨハネの黙示録 12章 5節
女は男の子を産んだが、彼は鉄のつえをもってすべての国民を治めるべき者である。この子は、神のみもとに、その御座のところに、引き上げられた。  
このヨハネの黙示録12章の男の子を産む女性が、『モナリザ』のモデルであることは以前記事にしましたね。


【つえ】は、誰が持っているものなのか?

【つえ】は、男性が持つアイテムと言えるでしょう。
しかも、ただの男性ではありません。
イエスの父方の血統・・・人を導く者・・・羊飼い・・・民を治める者などです。

聖アンナは母方の血統であるし、導く者でも羊飼いでも民を治める者でもありません。

何故、聖アンナが【つえ】を持っているのか?

ダ・ヴィンチは、聖アンナを描いたのではないからです。
教会の建前上、聖アンナを描くようにみせて、実は違う人物を描いたのです。

聖アンナは、誰か?

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ユダ・ダビデ・ヨセフの血統・・・人を導く者・・・羊飼い・・・民を治める者

・・・それは。




続く!