『聖アンナと聖母子』 消えた聖アンナ | レオナルド・ダ・ヴィンチの小部屋~最後の晩餐にご招待

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レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画の謎解き・解釈ブログです。
2021年5月末から再度見直して連載更新中です。

謎を解く2つめの鍵は、弟子の描くヴァリエーション作品にある


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『聖母子と子羊』 1515年頃 ポルディ・ペッツォーリ美術館
この絵を描いたのは、ダ・ヴィンチの弟子の一人のチェーザレ・ダ・セストです。


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聖母子と小羊のポーズからいって、明らかにダ・ヴィンチの『聖アンナと聖母子』のヴァージョン作品といえるでしょう。

しかし、彼の絵には聖アンナは描かれていません。

替わりに、背景に入道雲のような雲が目立って描かれています。





・・・なぜでしょうか?





何故、チェーザレは聖アンナを描かなかったのか?

推理1:聖アンナは描かなくても良いと思ったので描かなかった。

推理2:何らかの理由があって、聖アンナを描かなかった。

推理3:描くのを忘れた。(これは冗談です)


自分の推理は、2の何らかの理由があってのことだと思いました。

チェーザレは、ダ・ヴィンチの指示により、聖アンナ抜きで描いたのではないかと思います。

何故、聖アンナを消したのか?


『岩窟の聖母』では、弟子のルイーニ達のヴァリエーションがありました。
それらは師の描いたルーブル版『岩窟の聖母』の本当の意味を知らしめるためだと解釈しました。

『最後の晩餐』でも、弟子のルイーニがスイスの教会にヴァリエーションを残しています。
これも、師の『最後の晩餐』の謎を解く鍵になっていると解釈。

そして『モナリザ』も、弟子達の描くヴァリエーションの絵が謎を解く鍵になっていたのです。

レオナルド・ダ・ヴィンチの描く作品と、弟子達の手によるヴァリエーション作品との【違い】の中に、ダ・ヴィンチの絵の謎を解く【鍵】がある、ということです。

この発想からすると、『聖アンナと聖母子』の絵の謎を解く【鍵】は、やはり【聖アンナ】にあるのです。


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チェーザレの描く『聖母子と小羊』には、
聖アンナを描かずに、背景に【雲】を目立たせて描いています。

この【雲】の意味するものとは・・・?




次回!回答編。