目には目を、歯には歯を~キング牧師とマルコムX | 韓国語 英語トリリンガル♪楽習ブログ

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元フリーの英語・韓国語講師, 「なぞなぞ英語」編著者のブログです。最近はK-Pop のTWICE WEEEKLY STAYC aespa そして人気ユーチューバー歌手 J.Fla の応援ブログ的な性格が強くなってます 歌の歌詞やドラマの台詞、ジョーク、ことわざなどは必ず語学力アップに役立ちますよ!

An Eye for An Eye, A Tooth for A Tooth/눈에는 눈 이에는 이


「目には目を、歯には歯を」という表現があります。誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。

 

 

英語: An eye for an eye, a tooth for a tooth.

ルビ    アナイフォアナイ アトゥースフォアトゥース 

韓国語:눈에는 눈 이에는 이 

ルビ      ヌネヌン ヌン イエヌン イ

 

 

 

意味は大雑把には「やられたらやり返せ」という意味で知られていると思いますが、具体的に見ると、そんな単純なことではありません。

このフレーズは聖書/성서/Bibleに由来します。

旧約聖書/구약성서/The Old Testamentではこのようなフレーズが登場します。
 

And if any mischief follow, then you shall give life for life, eye for eye, tooth for tooth, hand for hand, foot for foot, burning for burning, wound for wound, stripe for stripe.
(しかし、何か被害が生じたは、命には命、目には目、歯には歯、手には手、足には足、焼き傷には焼き傷、傷には傷、打ち傷には打ち傷を持って償わなければ成らない。)

復讐ではなく、自分が罪を犯した場合に同等のもので償わなければいけないと諭しています。目と歯の話だけではないんです!人の命を奪ったら自分も死ねと。

新約聖書/신약성서/the New Testamentではこの部分の一部を引用し、このようなフレーズがあります。
 
 You have heard that it has been said, an eye for an eye, and a tooth for a tooth:
 But I say unto you, that you resist not evil: but whosoever shall smite you on the right cheek, turn to him the other also.
(「目には目を、歯には歯を」といわれていたことはあなた方の聞いているところである。しかし、私はあなた方に言う。悪人に手向かうな。もし誰かがあなたの右の頬を打つなら、ほかの頬をも向けてやりなさい。)

新約聖書の方では旧約聖書に登場したフレーズを「復讐」と誤解せずに、悪人には刃向かうな、逆にもっと暴力を使わせろ、と言っている訳です。

この部分はイエス・キリスト/예수 그리스트/Jesus Christが弟子たちに教え諭すことばとして登場しています。

僕がこのことわざに興味を持ったのは、1960年代の黒人指導者、マルコムX/Malcolm X/말컴(말콤)엑스の自伝を読み、映画を見たときでした。マルコムXはアメリカで差別される黒人にとって白人はすべて敵で、白人が黒人に暴力を振るったら、同じようにやり返せという意味でこのフレーズ、"An eye for an eye, a tooth for a tooth."を好んで使ったとされます。マルコムの宗教、イスラム経典にも同じようなフレーズがあるのです。

マルコムX

 

 

 

反面、公民権運動の英雄として崇められているキング牧師/Dr. King/킹 목사は後半の「右の頬を打たれたら左の頬も向けろ」という、本当のキリスト教儀に従って非暴力を貫いたのでした。

 

キング牧師マルコムX。対極的な方向を目指した黒人運動の2大指導者たちが、この同じ文脈の別々のフレーズで対立しあってたということが何とも奇遇に思えるのです。

あなたはキング牧師派ですか?それともマルコム派ですか?僕は以前マルコムの考え方に傾倒したことがあるだけに、今もどちらかといえばマルコム派です。キング牧師は白人とうまくやっていこうと努力したために、白人たちにも尊敬されて今も偉人として君臨できているのだと思うのです。公民権法/the Civil Rights Act も成立させましたが、50周年を迎える今年も未だに根強い黒人差別が残っていることがそれを証明しているのではないでしょうか。

「やられたらやり返す」の思想では平和を築くのは難しいと考える人も多いと思います。イスラエルパレスチナの争いを見ているとそう思えるかも知れません。しかし、もしパレスチナが抵抗せずに黙っていたらイスラエルに全ての領土を取られるのを黙って許しておしまい、ということになります。それで良いのでしょうか?善と悪の単純化は危険です。パレスチナの抵抗は抑圧されている者の抑圧者に対する抵抗なのです。今回の紛争も、受けた被害に対する数倍の報復を行っているように見えます。報復による報復による報復。際限なくなっています。

このような状況で、国際社会は無条件でイスラエルの暴挙を止めさせるべく一丸となって動くべきではないでしょうか。

 

 

出典:英語のことわざINDEX