認知的不協和理論とBITEモデル | ソニエリのブログ~マインドコントロールの功罪~

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真如苑の欺瞞について、経験に基づき掲載しています。

脱会カウンセラーのスティーブン・ハッサン著、「マインド・コントロールからの救出」において、心理学者のレオン・フェスティンガーの認知的不協和理論が紹介されていました。その理論には「行動コントロール」、「思考コントロール」、「感情コントロール」に三つの構成要素があり、個々の構成要素は他の二つに影響される関係にあるとされています。 
それらに対して著者は第四の構成要素である「情報コントロール」に気づきました。 
四つの構成要素をあわせて、BITE(Behavior=行動、Information=情報、Thoughts=思考、Emotion=感情)と呼び、マインドコントロールを理解する基礎を成すものとしてまとめられています。 
教えの手法として思い当たる要素を見てみると。 

BITEモデル 
I 行動コントロール 
3 重要な物事を決めるには、許可を得なければならない。 
→人生の転機には鑑定接心を受けるよう指導される。 
4 自分の行動、頭の中の思考、感情を上級者に報告する必要がある。 
→家庭集会、上求菩提という相談。 
5 報償と罰(行動修正の手法) 
→良いことは教えのお陰、悪いことは教え通りではないから。 
→何事も無いのは教えのお陰。 
→救われないのは因縁が深いから。 
6 個人主義を排し、「集団思考」を優先する。 
→教え絶対 

Ⅱ情報コントロール 
1 欺もうする 
b「受け入れやすく」するために情報を歪曲する。 
→お金はかからない。嫌ならばいつでも辞められる。有り難いお寺。 
→仏教の六波羅蜜を三つの歩みに簡略化した。 
2 外部の情報源への接触を制限または禁止する。 
b 批判的な情報 
→ネットで言われる悪いことは嘘。 
c 脱会者 
→「堕ちた人」として接触を避けさせる。 
d 常に忙しくさせ、考えたり調べたりする時間がないようにする。 
→修行が進むにつれて取り組みが増える。 
3 情報の区分けーー外部者向けの教義と内部者向けの教義 
a 情報に自由に接することをさせない。 
→外部向けには仏教の修行。内部向けには霊を信じさせ因縁と向き合わせる修行。 
b ピラミッド型の組織の中で、地位や任務の種類によって、与える情報を変える。 
→小乗、大乗、歓喜、大歓喜、霊能の階級によって与える情報を分ける。 
4 メンバーが相互に監視しあうよう奨励する。 
c 組織全体で個人の行動を監視する。 
→経親、導き親、所属による体制。 
5 カルトの手による情報や宣伝を過度に使う。 
a 会報、雑誌、機関誌、録音テープ、ビデオテープ等 
→親苑時報、歓喜世界、精舎内でのビデオ等 
6 告白を非論理的に利用する。 
a 人格的境界を破壊するために「罪」の情報を利用する。 
→先祖霊が救われなかったため、現在の自分の不幸の原因であるかのように思わせる。 
7 服従させ、依存させる。 
→「教えが無いと因縁にどう倒されるか分からない。」と思わせる。 

Ⅲ思考コントロール 
1 教義を「真理」として完全に習得させる必要性 
a グループが現実だと称して描いた地図を、本物の「現実」として受け入れさせる(地図=現実) 
→双親様、両道児様に仕えながら修行できる真如霊界 
b 白か黒かの思考 
→教えを信じるか信じないか。 
c 「神」対「邪悪な者」 
→伊藤家一族と霊、因縁。 
d 「私たち」対「彼ら」(内部者対外部者) 
→信者と衆生 
2 特殊用語の使用 
 特殊な内部用語が、理解を広げるのではない狭い範囲に思考を押さえ込み、思考を完全に停止させ得る。 
→協調=和合、勧誘=お救(たす)け、献金=歓喜・感謝、無償労働=ご奉仕、脱会者=堕ちた人 など。 
6 思考停止のテクニックを利用し、否定的な思考を停止させ「都合のよい」考えだけを認め、「現実検証」を遮断する。 
→無断入信は一部の心ない信者の仕業。教えは悪くない。 
a 否定、合理化、正当化、願望的思考 
→新興宗教ではない。伝統仏教の法脈がある新しい宗教。葬式仏教ではない真に救われる教え。千年続く教え。 
b チャント(詠唱など、単調な言葉を繰り返し声に出す。) 
→南無、真如一如大般涅槃経。 
c 瞑想 
→接心 
d 祈祷 
→護摩、施餓鬼 
7 合理的な分析、批判的な思考、建設的な非難を拒否する。 
 指導者や教義、正統と見なされる方針に対して、批判や疑問を持たない。 
→「あんな人を霊能者。」と言わない。「一点を磨いているのだから。」 
→「無断入信や会費を立て替えていても」、「教えに結ばれているだけで救われる。」と信教の自由侵害を否定しない。 

Ⅳ感情コントロール 
1 人間の感情の起伏を操作し、狭くする。 
→教えを否定されると切れる信者。 
2 何か問題が起きれば、原因は決して指導者や組織にはなく、必ず自分の落ち度が原因だと感じさせる。 
→勧誘して社会的信用を落としても信者個人の責任。 
→接心の霊言どおりに行動して失敗しても信者の責任。 
→無断入信は心ない信者の責任。 
3 罪悪感の過度な利用 
a 自己に関する罪悪感 
→まだ修行が足りない。 
b 社会的罪悪感 
4 過剰なまでに恐怖心を利用する。 
a 自立的に思考することへの恐怖 
→霊言や教えの指導者の助言を仰がなければならない。 
b グループ「外部」の世界に対する恐怖 
→世間は因縁まみれ 
c 敵に対する恐怖 
→脱会者や教えを否定する人 
d 自分が「救済」されない恐怖 
→教えを疑ったり、信じなかったりすると救われない。 
e 脱会する、または追放される恐怖 
f 受け入れてもらえない恐怖 
6 多くの場合人前で行われる、日常的な「罪」の告白 
→プルーフ、家庭集会 
7 恐怖症の植えつけーーグループから離脱する、あるいはリーダーの権威に疑いを持つことを極度に恐れるよう不合理な恐怖感を植え付ける。マインド・コントロール下にある人は、グループ外部での肯定的で充実した自分の将来を思い描けない。 
a グループの外の世界には、幸福や充実感はない。 
→教えを信じない人の幸福を否定する。 
b 脱会すれば恐ろしい事態を招くーー地獄に落ちる、悪魔の手に落ちる、不治の病になる、事故に遭う、自殺する、精神異常になる、一万回も転生を繰り返す等 
→因縁にどう倒されるか分からない。因縁が吹き出す。 
d グループからの離脱を説明できる正当な理由は、グループ内では存在しない。 
→脱会者は「心が弱い。」、「因縁に引かれた。」、「因縁が深い。」など。 

巧妙な情報操作をするカルトの手口を読みとって明文化するのは難しいことです。 
心が弱っているとき、勧誘されると頼りたくなることもありますが、立ち止まって考えてみることが大事です。