『選択の科学』(4)プロコン・リストは万能か? | ONもOFFもあらゆるものに興味を持つ欲張りな人のブログ

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「金融トレーダー」や「エコノミスト」は自分の為にその知見を利用したら億万長者になれるのでは?などと考えたことはありませんか?実際はどうなんでしょう。。気になりますね。

本書に、ある大学教員の重大な選択についての面白い事例が紹介されていました。「意思決定分析」の権威として期待された彼は、ハーバード大から招聘。慰留のために3倍の給与を提示された彼は悩みます。意思決定のプロであるはずなのに自分の意思決定となると判断に迷ってしまうという信じがたい話です。

そこで登場する、ベンジャミン・フランクリンによる「プロコン・リスト」。
1枚の紙に1本の線を引き、上半分にその選択をするメリット、下半分にデメリットを羅列。
3、4日かけてよく考え、その理由を記述します。
重要度が同じ位のもの同士を消してゆき、どちら側が残るかで最終判断をするというもの。
「心の慎重な代数」とも呼ばれているそうです。

ところが、企業ランキングや親・キャリアカウンセラーとの徹底的な話し合い、多数の企業への応募をするなど意思決定を徹底的に分析して就職先を決めた学生と、おおざっぱな就職活動をした学生とで、就職6ヶ月後の満足度調査をしたところ、意外なことに後者のほうが平均給与が低かったにもかかわらず満足度が高いという実験結果が。

研究熱心な前者の学生たちはそれだけ期待値が高かったことも結果の理由として考えられますが、この「プロコン・リスト」の大きな欠陥は、デジタルに測定可能な(就職活動でいえば、年収や会社規模や人気ランキングetc.)基準にとらわれすぎるあまり、感情面での考慮が欠けてしまっていることなのだそうです。

たしかに、職場の雰囲気や働いている社員と話をした印象はなかなか数値化できないですし、「縁あって入社しました」と良く言うように、何かの巡り合わせや、相性が合いそうといった「直観」や「嗅覚」のようなものも大切なのでしょう。

転職者がご自身にとって「正しい判断・選択」をするための充分な材料や情報を提供し、考え方を整理し、行動する後押しをするパートナーとなることが転職支援会社の重要な役目。後から「この会社に転職して本当に良かった」と満足していただけるようなサービスを提供できるように努力していかなければいけません。