今、本書についてブログ何記事分書こうかという究極の選択に迫られています。
できればラクをしたいという弱い自分がいます。

今回は、就職先の仕事の条件についてです。
数百名の大学四年生を対象にしたこんな実験結果が紹介されていました。
就職活動初期から活動終了(就職先決定)までに3回に分けて以下をはじめとした13の属性を提示し、理想的な仕事の条件を順位付けしてもらうという実験。選択肢は、
●高収入
●昇進の機会
●雇用の保証
●創造性を発揮する機会
●意思決定を行う自由
などです。
結果は、「なるほど~」と思わさせられる展開に。初期段階においては、「創造性」や「意思決定」などの順位が高く、選考が進み、ある程度就職先の選択肢も限られ、就職が現実味を帯びてくる中盤段階の調査では「昇進の機会」などの順位が高くなり、就職先が最終決定した後の3回目の調査では「高収入」が最優先。
その後の調査では、驚くべきことに学生の多くは、就職に対する自分たちの優先順位が時とともに変化していることを認識しておらず、そもそも何を優先していたか誤って記憶していたり(自分の価値観が一貫しているように)、「意思決定の自由を勝ち取りたいから昇進の機会が多く収入が期待できる会社を選んだんだ」というように自分が一貫した人間なんだと辻褄が合うようにストーリーを作ったのでした。
そして注目すべきは、価値観が一貫していないことを自分の都合の良いように物語を作って自己解決することが巧くできている人ほど、現在の仕事への満足度は高かったという結果です。納得感がなかったり、「自分らしくない」「こんなはずでは」と引っかかりながら就職し、仕事をしている人とでは満足度に差があり、結果としてパフォーマンスにも差が出ているのでしょう。
ここで出てくる自己矛盾が生じている状態は「認知的不協和」(ジレンマ)と呼ばれ、「自分は裏表がなくて理性的な人間なんだ」という自己像が脅かされることで、不安、罪悪感、困惑を引き起こすおそれがあるそうです。それを解決しようと、自分の都合の良いように記憶を捻じ曲げたり、ストーリーを作るのだそうです。
著者も言っているように、「昔から同じ自分でなくても、自分であることに変わりはない」と価値観や性格が柔軟に変わっても、自分の信頼性が損なわれるわけではない、という考えを持つことが大切だそうです。
現在勤務している会社に転職した際の優先順位ははっきり覚えていますし、変わっていない(はず・・・)ですが、新卒で入社した会社をどんな優先順位で「選択」したのか、と改めて考えてみると、正直なところもう9年も前のことなので、まったく記憶がないです。。これもジレンマを解消するために記憶から消し去られているのかもしれません・・・。そう考えると人間の脳はすごいですね。
皆さんは就職先や転職先を選んだ優先順位は時間とともに変わっていますか?