
先日にも一部ブログで触れた書籍を読み終わったので、
それについてまた書くことにします。
成長経済から成熟経済に突入した日本では、昔と違って単に良い商品・製品を提供するだけでは限界があります。市場には多くの競合企業がひしめき、皆似たような商品・製品を開発してくるので、昔のようにただ市場に投下したり広告をばらまくだけでは尻すぼみになってしまいます。
では、「成熟経済」では何が重要になってくるのか?
それは、「顧客ロイヤリティ」。顧客とのつながりを大事にすることでその顧客が自社製品・サービスのファンとなり、鼓吹者(他に推薦してくれる人)となってくれ、顧客が膨らんでいくという仕掛けです。
企業が顧客ロイヤリティを得るために、重要になってくるのが、
ワンストップサービスを提供できるマルチプロセッサ社員。
つまり専門領域外の仕事もこなすことで、顧客に対してワンストップでスピーディなサービス提供をすることができる社員を抱えられるか、ということです。
その例として、前回も記事で紹介した、■サウスウェスト航空 に加え、以下の企業が事例として挙げられています。どこも顧客の心をつかむことに成功し、躍進している企業です。
■大田区にある仕出し弁当屋「玉子屋」
→業界でもトップクラスの利益率を誇るトップの経営手腕を学びに、スタンフォード大
MBAの学生が見学に来たり、カンブリア宮殿で採り上げられるほどの躍進企業。
■ハワイのレストラン「LikeLike(リケリケ)ドライブイン」
→ごく普通のレストランでありながら、ウェイトレスのサービス度は抜群で、オーダー
から盛り付け、接客、レジまでワンストップでこなす。この店で働いた経験のある
従業員はどの飲食店も採用したがるほど。
■ハワイの著名なインプラント歯科医、ウェスバーグ医師
ページ数はさほど割かれていませんが、最後のインプラント歯科医は特に共感できるところなので、
そのサービスのポイントを紹介します。
①コア技術
腕前は素晴らしく、たとえば治療後、痛み止めを飲む必要がないほど高い
技術を持つ(コア技術においてプロフェッショナルの領域)
②前工程
患者への事前のヒアリングや事前の説明の丁寧さが徹底的。患者は絶対的な信頼
と納得感を持って手術・治療に臨むことができる。
③フォローアップ
手術後すぐ、その後も定期的に手紙が患者に届く。感謝の気持ちや手術後の経過に
関する患者への気遣い、歯の磨き方や定期健診の案内etc.
④顧客リレーション
患者が知人を紹介すると、即座にお礼の電話と丁寧な礼状。紹介された人の初診料はタダ。
僕たちが携わっている人材紹介のビジネスと非常に重なる部分が大きいと思います。
ただ、落とし穴があるとすると、何よりも
①コア技術において万全(プロ)であるのが前提だことを忘れてはいけません。
どんなに話がユニークで顧客の心をつかんだり、リレーションを盛んにしたとしても、肝心のサービスの品質が充分でないことには、顧客はどんどん離れていってしまいますから。
もちろん同時に「コア技術を試してみようかな」という気持ちに沢山の人をさせられるような仕掛けも
次々と編み出していかなければならないのですが。
