2日目は陜川(ハプチョン)。
 
 
海印寺の八万大蔵経は、モンゴルの侵攻を前に16年かけて8万枚を彫り上げたもの。
 
国が崩れかけている最中にそれをやった..
 
刀で人を斬るのではなく、刀で版木を刻みながら信心で耐えた時間。
そして、はるか後の世まで受け継がれてゆく記録。
 
 
1930年代の京城を再現したセットでは、看板がハングルと日本語を並べて掲げていました。
 
 
統治の言語と生活の言語が、同じ壁面に。
 
 

そして陜川湖(ハプチョンホ)の裏手、湖の一部を利用した水遊び場……

プール・ヘブン・ウォーターワールド (Pool Heaven Water World)……

名前は本当によく考えて付けるべきだと思いました。

 
 
誰かにとっては水遊びの天国。でも私にとっては、天国へ連れて行かれかけた水路だった、とでも言いましょうか。
ライフジャケットを着ていても足が底に着かない深さ。

 

水深16メートル。せめて一部でも子ども用の遊泳区域があるものと思っていたのに、誰もが16メートルの上で遊ぶ場所だと、到着してから知りました。

 

 
この数字を見て、思わず苦笑いが出ました。港湾で水深16メートルといえば、8千〜1万TEU級のコンテナ船や11万トン級のアフラマックス型タンカーが、荷を満載して入り、着岸できる深さです。全長300メートルを超える船がまるごと浮いていられる水。その上に、ライフジャケット一枚で浮かんでいたわけです。
 

遊園地で高いところから地面へ急降下する乗り物に乗って以来、どんなに人生がつらくても高いところから地面へ身を投げたりはしない、と心に決めました。そして昨日、ライフジャケットを着ていながら水に落ちて以来、絶対に水の中には沈まない、と心に決めました。

生きようとする意志というのは、こんなにも具体的に固まっていくものなのだ, そう気づいた日でした。

 

 
 
翌日、国立晋州博物館で 論介(논개, ノンゲ)の肖像の前に立ちました。
癸巳の年、第二次晋州城の戦いによって城は陥落し、城内の兵士も民もことごとく凄惨な最期を迎えました。
そのとき彼女は倭軍の戦勝祝いの宴に入り込み、敵将を抱きかかえたまま、南江(ナムガン)の義岩(ウィアム)から共に身を投げたと伝えられています。
 
 
前日の恐怖がまだ体に残っていたので、水に沈むというのがどういうことか分かる気がして。
 
 
その勇気と苦痛を思いながら、深く哀悼しました。
 
#陜川 #海印寺 #八万大蔵経 #晋州 #論介