ジャズ・トランペット奏者サド・ジョーンズ作による名曲
「ア・チャイルド・イズ・ボーン」
この歌に、Blessed this morn という歌詞が出てきます。
その blessed という言葉を、トニー・ベネットも、カーメン・マクレーも、録音では ブレセッド みたいに発音しています。なぜ I'm blessed と言う時みたいに ブレスト て言わないのか？長年、疑問でした。
先週の TAEKO's Kyoto Women Jazz Band 2024年京都定期公演、生後８ヶ月の赤ちゃんのママであるメンバーも、ほかにも現役子育て中のメンバーも複数いるこのバンドでこの曲をお送りするにあたり、調べてみました。
↓TAEKO's Kyoto Women Jazz Band 2024年定期公演レポートはこちら
このお二人のDUOアルバムからたくさん曲を学びました。
A Child Is Bornもこちらに収録されています。
Blessedの発音
ルール１
祝福する、という意味の動詞blessの過去形や過去完了で使われる blessed は 一音節でブレスト (blest).
例: Before we ate, our uncle Tony blessed the meal.
I'm so blessed to have a great friend like you.
ルール２
幸いな・（神に）祝福された、という意味の形容詞 (blessed)
幸いにも・（神の恵によって）幸運にも、という意味の助動詞 (blessedly)
（神に与えられた）最高の幸福の状態を示す名詞 (blessedness)
で使われるときは２音節で ブレセッド bles-id
例: Yesterday we faced a lot of problems, but today we are blessedly free of stress.
The rain brought blessed relief from the heat.
We enjoy that blessedness here in this life, truly having heaven on earth.
この歌詞に出てくる blessed がブレセッドみたいに発音されてということは、ルール２の形容詞扱いということで、神の祝福に満ちた朝に子供が生まれる、という意味で歌われているのですね
A Child is Born
Music: Thad Jones (1969)
LyricsL: Alec Wilder
Now out of the night
Soft (New) as the dawn
Into the light
This child
Innocent child
Soft as a fawn
This child is born
One small heart
One pair of eyes
One work of art
Here in my arms
Here he lies
Trusting and warm
Blessed this morn
A child is born
a child という言葉を歌うのだけでも英語ノン・ネイティブな私たちには至難の技。
ましてや、 dawn や fawn という微妙な口の開きや耳障りでない n のニュアンスを獲得して感情を込めて美しくひとつひとつ決めていったうえで、肌に感じる温かさをarms や warm で伝えて、情景豊かに morn を空間に広げて、最後の力強い born にゆっくりたどり着くのには、なに人であっても、英語圏育ちのシンガーでも、相当な年月がかかると思う一曲。
作曲： Thad Jones サド・ジョーンズ
（March 28, 1923 – August 20, 1986）
ピアニストのハンク・ジョーンズHank Jonesを兄に、ドラマーのエルビン・ジョーンズElvin Jones を弟に持つ、偉大な音楽一家出身の巨匠トランペット奏者。ミシガン州ポンティアック生まれ。
長年のカウント・ベイシー・オーケストラ在籍を経てソロに、そしてドラマーのメル・ルイスとともに独自のビッグバンド「サド・ジョーンズ・メル・ルイス・オーケストラ」 the Thad Jones/Mel Lewis Orchestra を率いてビレッジ・バンガードに定期出演。一時はデンマークのコペンハーゲンに済み、またニューヨークに戻ってベイシー亡き後のカウント・ベイシー・オーケストラを率いるも、体調を崩して退団。
作詞： Alec Wilder アレック・ウィルダー
（1907-1980）
"Blackberry Winter" の作曲者。ニューヨーク州ローチェスターの大富豪の家系から法的に独立。
