夜へのフライト

　 　　　　　

　　2007年、09月30日、17:40頃の、これは羽田第二ターミナル５階の天麩羅

　　割烹のカウンターから見える滑走路の夕景です。週末に上京すると、いつも

　　帰りはここでてんぷらを頂いてボーディングを待つのだけれど、前回は

　　夏で、くつろぐ人々の姿はまだ熱い太陽を浴びていた。

　　でも今は皆、秋の穏やかな間接照明の中で、それぞれに、寛いでいる。

　　それぞれに、ささやかな思い出を持って・・、おそらくは、誰にも伝えがたい、

　　言葉になる以前の感情を抱いているのだ。

　　私もそうだ。軽いシャブリを飲みながら頬杖をついて。最初の一品が

　　カウンターの向かいで揚がるのを待って。

　　・・・前の日の、大切な思い出を貰って。独りではない、大切な時を得て。

　　そして今は独りここでその、時の香りを反芻しながら、・・感謝をこめて。