逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」読了 | ソンブーンのブログ

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2024年3月12日(火)

 

2022年の本屋大賞受賞作品。第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞。

初めて読んだ作家です。本作品が読み応えはありましたが、約500ページはやや長過ぎると思いました。

舞台は第2次世界大戦下のソ連。主人公は、母も含めて、住んでいた村の全住民をドイツ兵に皆殺しにされた10代少女。その彼女が強者の狙撃手に成長していく様子を描かれています。独ソ戦争の分岐点となったスターリングラードの戦い以降という史実をベースにしていますので、攻防戦も実にリアルで迫力も切迫感もあります。とても本作品が著者の初長編小説だとは思えない程の高レベルの仕上がりです。作品にはソ連に実在した伝説の女狙撃手リュドミラ・パビリチェンコが登場します。彼女はドイツ兵309人を射殺したという記録が残っているそうです。

 

ソ連という国はモスクワ公国という小国からスタートして戦争によって今のような大国になったわけですから、侵略戦争というのはかの国のDNAなのかも知れませんね。21世紀になった今でも、ウクライナに大義名分の無い侵略戦争を仕掛けているのですから。

 

2021年11月、早川書房発行。492ページ。

 

作品紹介(早川書房のサイトより)

第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。独ソ戦、女性だけの狙撃小隊がたどる生と死。

独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために……。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?