だいぶ前になりますが、「子どもにステロイド剤を塗ることをどう思いますか?」というご質問をいただいていました。アトピー性皮膚炎については魑魅魍魎の情報が蔓延し、ステロイド剤についてこわいイメージ持たれている方も多いと思います。

私は皮膚科は専門ではありませんが、自分自身がアトピー性皮膚炎と子どもの頃から付き合っていることもあり、保湿剤やステロイド剤、タクロリムス軟膏は使い慣れています。また、信頼出来る皮膚科専門医の友人がたくさんいて、いつも相談に乗ってもらっているので、私の知識の範囲内で答えさせていただきます。(もしも的外れなところがあればご指摘ください)

うちの娘は乳児期にはまあまあ乳児湿疹に悩みまして、首、肘の裏、足首に湿疹を繰り返していました。特に夏はあせももできて、肌状態はあまりよくありませんでしたので、朝晩の状態をチェックし、適切と思われる保湿剤(処方薬で、ビーソフテンのローション、クリーム、アズノール軟膏の3段階)を部位ごとに選んで塗っていました。あせをかく部分にはパウダーの入ったカラミンローションが著効したことも度々ありました。
まずは保湿が基本。べったり塗ればいいということではなくて、適度に保湿します。そして、娘は私に似て冬場の乾燥する季節はかさかさして粉をふくので。石けんで身体を洗わないようにしています。これも皮膚科専門医のおすすめで、全然違います。
1歳をすぎてからの肌状態は非常にきれいで安定しています。季節によってあせもができるくらいです。

ステロイド剤については、あせもを搔き壊してしまった時や、痒くて眠れなくてかわいそうな時に、一番弱いステロイドクリームを塗っていました。今も蚊に刺された時にちょこっと塗ることがあります。

ステロイド剤使用のポイントは、湿疹や皮膚病変を「これは保湿では治らないな」と判断したときに、早いうちに使うことです。使いたくないなと思って粘っていると、結局はたくさんのステロイドを使わないと治らないし、子どもに長い間痒くて辛い思いをさせることになります。
(面積がそんなに大きくない乳児湿疹やあせもについてのことなので、面積が非常に大きい場合や、重症のアトピー性皮膚炎などについては皮膚科専門医にご相談ください)

ステロイドは正常な皮膚からも吸収され、副作用もあります。病変部分以外の正常な皮膚に塗らないよう注意してください。また、ステロイドには弱いものから強いものまでいくつも段階があります。大人に使っているものを使い回したりするのは絶対にやめてください。

ステロイドに限らず、薬には作用と副作用がありますが、子どもの皮膚病変でもステロイド剤のメリットがデメリットを大きく上回る場面も多々あります。肌状態を良好にし、皮膚のバリアを保つことは食物アレルギーを防ぐ観点からも重要です。(→参考に読んでください 離乳食は遅くしない方がいい

子どもは親を選べませんから、適切なスキンケアや治療をしてもらえるかどうかも子どもには選ぶことができません。「ステロイド=悪」のような先入観を親が持ってしまわずに、何でも上手に使ってくださいね。