離乳食は遅くしない方がいい。 | jasmin jasmin 女医の子育て。

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ほぼ毎日、描いているマンガなどです。

おととい、2014.2.5のmsn産経ニュースがありました。




「食物アレルギー そば・ピーナツ
母親9割が離乳食で与えず 環境省調査」




これが↑見られない場合のキャッシュ(1)(2)




要約すると子どもにアレルギーが心配で、そばやピーナツをなるべく
あげないようにする人が多いけれど、離乳食でいろいろなものをあげる
のは遅くしない方がいい、遅くするとむしろアレルギーが増えると
考えられるからという記事です。

私も外来をやっていると、早い離乳食がアレルギーを増やすと
考えている人が結構、います。
まだ「卵はあげないでおこうと思います。」と言われます。




なので、私も本に書きました。

小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK‐間違った助言や迷信に悩まされないために/森戸やすみ

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51ページを見てくださいね。
離乳食の開始を遅らせたり、アレルギー性の高い物質を
除去した離乳食にしたりしても、アレルギーの発症は予防
できないのです。(私が引用したのは成田雅美「チャイルド
ヘルス」vol.14 no8 2011 p1457-1461ですが、最近刊行された
アレルギーの本にはいろいろな調査で同じ結果になったことが
書いてあります。)

チャイルドヘルス 2011年 08月号 [雑誌]/著者不明

¥1,260 Amazon.co.jp





また、アレルギーは食べた時だけ起こるのではなく、触ることに
よっても起こります。妊娠中のお母さんがピーナッツを食べず、
子ども自身も生まれてから食べていないにも関わらず、
ピーナツでアナフィラキシーショックを起こすことがあります。
触ったことによりアレルギーが出来上がってしまうんですね。
むしろ食べて、腸を通して出来上がるアレルギーの方が、
耐性誘導効果というのが起こることがあります。
耐性って、食べてもアレルギー反応を起こしづらくなる
という意味ですね。それが誘導されます。
(栗原和幸「食べて治す食物アレルギー 特異的経口耐性誘導
(SOTI)」診断と治療社2010)

食べて治す食物アレルギー―特異的形口耐性誘導(SOTI)/栗原 和幸

¥3,570 Amazon.co.jp




離乳食で悩んでいるお母さんは多くて、私も外来で
質問を受けますし、こういうサイトもありました。



赤ちゃん&子育てインフォ





小児科ではこういった離乳食は遅くしない方がいい、
除去食はなるべくしない方がいいということはコンセンサスに
なっています。
成長発達のためには多様なものを食べた方がいいし、その方がむしろ
アナフィラキシーショックが起こりにくいのです。
確かな根拠なく、食事制限するのはよくありません。
軽い食物アレルギーは3歳前後で自然に治って、なんでも
食べられるようになることが多いのです。
何かを食べると具合が悪くなるということが繰り返しあるようなら
近くの小児科に行ったり、ご自分で調べたかったらこういった
本↑を読むのもいいですよ。




家でお母さんと子どもだけでいるといろいろなことが
心配になるようです。
最近、こういうブログを読みました。

■[雑談]娘1歳誕生日を記念して育児トンデモを3つ紹介します



育児に夢中になっている時には、別の視点からのツッコミが
大事だよという内容です。
私も全くそのとおりだと思います。
お父さんのツッコミ視点がナイスGOOD







うちの2人はなかなか離乳食を食べずに困りました。
ほとんど柔らかいものは食べないでいきなり普通食に近かった。






追記:皮膚科医へのアンケートで”米国小児科学会は、「食物
アレルギーの予防のためには、ハイリスクの乳児では高アレ
ルギー食品(乳製品、鶏卵、ナッツ類、魚)の摂取を遅らせるべき」
とした2000年の声明を2008年撤回しています。この事実を
ご存知でしたか。”
という質問に75%が知らなかったと答えていました。
(2014年1月号MED)

なので、”医療界でのコンセンサス”と書いていたんですがそれは
小児科でのコンセンサスと書き換えました。小児科以外では
まだ「離乳食は遅くにしたら?」とか「卵は(乳製品は)もっと
大きくなってからあげれば?」とか言われる可能性がありますね。
小児科医としては他科の先生にも読んでほしいニュースでした。